2011-07-23

金融資本主義の崩壊、その実相追求 2.ギリシャは何故、巨額の国家債務を積み上げたのか

昨年のギリシャの財政赤字は国内総生産(GDP)の10.5%に達し、今年に入ってからも1─6月の中央政府の財政赤字が127億8000万ユーロ(182億8000万ドル)と、前年同期の100億ユーロから28%も拡大しました。
 
先月(2011年6月)には、ギリシャ長期国債の格付けが世界で最も低い「CCC」に引き下げられ(米大手格点け会社S&P)、国債価格の下落傾向が止まらず、短期金利は一時30%の大台に乗りました。
 
そして本日7月23日、欧州系の格付け会社フィッチ・レーティングスが、ギリシャの国債の一部について、長期格付けを債務不履行(デフォルト)扱いにすると発表しました。
 
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(写真はアテネのゼウス神殿。こちらからお借りしました。)
 
今回は、ギリシャが何故、巨額な国家債務を積み上げることになったのか、その背景を探ります。
 
1.ギリシャが抱える財政赤字体質
2.ギリシャの財政赤字が表面化した経緯 〜最初から財政状況を偽っていた〜
3.国家財政の「粉飾決算」をゴールドマンが指南
 
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1.ギリシャが抱える財政赤字体質
AllAbout「拡散する危機。ギリシャ財政はなぜ危ないのか?」より

現在のGDP比で12%という巨額の財政赤字は大変な問題です。なぜここまでギリシャの財政は悪化したのでしょうか? 考えられる原因はいくつかあります。
 
■公務員や年金の高待遇
ギリシャは公務員が大変に多く、待遇面でも恵まれている「公務員天国」の国です。ギリシャは人口が約1100万人の国ですが、その約10%が公務員。労働人口に対する比率で言えば、実に25〜30%が公務員と言われています。
 
そして国民の中で大きな割合を占める公務員が、かなり手厚く保護されています。例えば若年層の給料を比較しても、民間企業では1000ユーロ(約12万円)前後と低い月給もあるのに対して、公務員の場合は2000ユーロ(24万円)程度ももらえてしまうことも少なくありません。
 
年金制度もかなり手厚く、日本における年金支給開始年齢はすでに65歳なのに対して、ギリシャでは58歳から支給されます。
 
■横行する脱税
日本では考えられないことですが、ギリシャでは脱税がかなり行われているといわれています。高所得納税者が単純に所得を過少申告したり、あるいは小売店がレシートを発行せずに物を売って、それを「売上」として計上せずに税金を払わないなど、日常茶飯事で行われているとも。こういった脱税行為を今後取り締まって、しっかりと税金を徴収していかない限り、ギリシャの財政問題の根本的な解決は遠いでしょう。

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(緊縮政策に「憤慨する人たち」。写真は「ギリシャへ そして ギリシャから」さんからお借りしました。)
 
2.ギリシャの財政赤字が表面化した経緯 〜最初から財政状況を偽っていた〜
 
もともとの財政赤字体質に加えて、EU加盟以降は、ユーロ圏の低金利を利用して借り入れと消費を増やし、メルセデスやBMBを乗り回すなど、分不相応な生活を続けることが可能になりました。そして、年金の早期支給や社会保障などを国家に要求し、楽して消費する体質がさらに国家債務を積み上げることになったのです。
 
それにしても、放漫財政はすぐに財政赤字として統計に表れて、歯止めがかかるはずです。ところがギリシャの財政問題が表面化したのは2009年で、それまで「A−」だったS&Pの格点けが12月に「BBB+」になったのを皮切りに次々と格下げされていきました。
 
実はそれまで、ギリシャは「粉飾決算」によって財政赤字を隠してきたのです。
 
同じく、AllAbout「拡散する危機。ギリシャ財政はなぜ危ないのか?」より

ギリシャはユーロの一員であるため、本来は無茶な財政運営をしないようにユーロ加盟国としてのルールが決められていました。そのルールとは、年間の財政赤字を、GDPの3%以内に抑えることです。
(中略)
 
ギリシャは2001年にユーロに加入し、その前後は財政赤字がそれほど悪い状態ではないと発表していました。その後、2008年までも対GDP比での財政赤字額は3〜6%と、3%の基準は守れていませんが、それほど酷い状態ではないと発表。ところが、2009年10月に行われた総選挙で現在与党になっている「全ギリシャ社会主義運動」が勝ったため事態が一変しました。
 
それまで議会で与党だった新民主主義党政権は、ギリシャの財政赤字はGDPの5%程度と発表していましたが、新政権が発表した数字が約12%の高い値。これによって、ギリシャの財政問題は国際社会で一気に表面化したことになります。

3.国家財政の「粉飾決算」をゴールドマンが指南
くりっく365のカネツFX−気ままなブログ」さんより

「ニューヨークタイムズ」(2月14日)また(16日)の日経でも「ギリシャ債務隠し ゴールドマン荷担か」という見出しの記事で紹介されています。
 
これらによると、ギリシャ政府に対し、2000年と01年に、ゴールドマン・サックスが、将来の空港税や宝くじ収入を担保にギリシャ政府に対して数十億ドルの資金を提供したという。この金融取引では、融資された資金はローンではなく為替取引として会計上は記録されるようにしたため、財政赤字はGDPの3%にとどめるという、ユーロ圏独自の財政ルールに抵触しないように見せかけることに成功した、とニューヨークタイムズの記事は伝えています。この記事では、「サブプライム危機やAIGの経営危機の時と同様に、ギリシャの負債の急増にも金融デリバティブが関係していた」と指摘しています。
 
ニューヨークタイムズの記事が正しければ、ギリシャの財政悪化という現在の結果に対して、ゴールドマン・サックスは、金融商品の売り込みを通じて「粉飾決算を推奨する」という形で関与していた可能性がでてきます。ゴールドマンの最高執行責任者のゲイリー・コーンら銀行家達は、この種の「粉飾決算」をつい三ヶ月前までギリシャ政府に働きかけていたともいわれています。

 
ギリシャはユーロという枠組の中にあるので、通常の国が取ることのできる対処法がとれません。例えば財政赤字が拡大しても、通貨をどんどん発行してインフレにすれば、赤字額の相対的価値が下がり、借金が返済できる可能性もあります。しかし、ギリシャは自国で通貨を発行していないので、それができません。
 
いわば今回のギリシャ危機は、統一通貨というシステムの制度的欠陥を露呈した事件でもあります。発足以来2007年頃までは順調にきていたユーロですが、いま重大な岐路に立っていると見て間違いありません。
 
そこで次回は、
「ギリシャの債務救済がうまく行かない理由、EU大衆の意識の断絶」をお届けします。
 

List    投稿者 watami | 2011-07-23 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨3 Comments » 

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コメント3件

 トリーバーチ キャンバストート | 2013.10.23 16:54

トリーバーチトート

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