2018-01-11

反グローバリズムの潮流(チェコの反EU政権は信任投票に)

0171020at22_t前回はチェコで反EUを掲げる政党が総選挙で第1党に躍進したことを紹介しました。第1党になったとはいえ単独で政権が執れるほどの得票数ではなかったため、その時点では政権は取れておらず、連立政権の協議が始まるところでした。どうなったか気になっていたので調べてみました。

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第1党になった、新興政党「ANO2011」の党首は「チェコのトランプ」の異名を持つ富豪のアンドレイ・バビシュ氏ですが、連立の協議は不調に終わり、少数与党として大統領から首相に指名され、一応、反EU政権が成立しました。しかし、下院での信任投票がありそこで過半数が取れなければ、不信任となり解散総選挙が行われる可能性もあります。

新首相は共産主義者とオカムラ氏のSPDの左右政党から支持の確約を得ていると言っていますし、大統領は「信任投票でバビシュ首相が敗北したとしても、私は彼を再び首相に任命する。同首相の少数政権は数か月後には安定政権となると確信している」と言い切っていますので、政権が成立する可能性は高そうです。

新首相もチェコのトランプと呼ばれるユニークな人ですが、彼を首相に指名したゼマン大統領もかなり面白い人物です。チェコはEUに加盟しているのですが、EUの姿勢には反対し、ロシアや中国との関係を深めています。ウクライナ問題によるロシアの経済制裁に反対したり、中国の一帯一路にも賛同し会議にも参加しています。さらに、トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定したことにも賛成し、二期目の大統領選挙への出馬意図を表明した際に、プーチン、中国、アメリカのドナルド・トランプ大統領と、イスラエルの“代理人”だと発言したそうです。チェコでは、反グローバリズムの気運が盛り上がっているようです。

チェコと言えばプラハの春が有名で、ソ連による征服に反対した歴史があり、反ソ連から自由主義に走ったと言うイメージが強かったのですが、さらに古い歴史にはナチスドイツの支配があり、新しい歴史ではEUによる不利な経済政策の押し付けもあり、客観的な視点で両方を見ているようです。

そして、その結論として、「ロシアも悪だが米国も悪で、好戦的で世界秩序を乱してきた米国やEU主要国の方が帝国主義的な分、ロシアの方がまだましだ」という実感を持っているようです。

新首相の信任投票は1月10日なので、もう行われているはずですが、まだマスコミ報道はされていません。また、大統領選挙は1月12日13日です。この二人がどうなるか、結果が楽しみです。

 

■「チェコのトランプ」、新首相に任命される2017年12月14日

チェコのゼマン大統領は13日、10月の下院総選挙で第1党となった中道右派の新興政党「ANO2011」の党首で「チェコのトランプ」の異名を持つ富豪のアンドレイ・バビシュ氏(63)を新首相に任命した。バビシュ首相は来年1月10日に新政権に対する信任投票を行う方針を明らかにした。

ANOは、ユーロ導入に懐疑的で難民の受け入れ反対を唱える大衆迎合(ポピュリズム)政党で、総選挙では下院(定数200)の78議席を獲得した。連立を模索したが、バビシュ氏が欧州連合(EU)の補助金を不正に受けた疑惑が浮上。各党が難色を示して不調に終わり、少数与党となる。

企業グループを率いるバビシュ氏は、米誌フォーブスの長者番付で国内2位の実業家で、ANOが連立に参加したソボトカ政権では今年5月まで第1副首相兼財務相も務めた。

■“チェコのトランプ”は生き残れるか2017年12月29日

総選挙後、連立政権発足を目指したベビシュ党首は2カ月余り、連立パートナー探しをしたが、見い出せなかったため、ゼマン大統領は今月13日、バビシュ党首を首相とした少数政権を発足させた。バビシュ新首相は、欧州連合(EU)の難民受け入れの分担案に対しては、「受け入れることはない」と改めて強調した。

新政権発足後、議会に信任を問う信任投票を実施するまで最大30日間の時間が与えられるが、バビシュ新首相は来年1月10日に信任投票を実施すると明らかにしている。新首相は共産主義者とオカムラ氏のSPDの左右政党から支持の確約を得ているという。

バビシュ首相は食糧、農業、化学関連企業など250社以上の企業が連携する同国有数の大企業 Agrofert-Holding の創設者だ。新政権を「Agrofert-Holding政権だ」と指摘する声も

ゼマン大統領は今月25日の慣例のクリスマス演説で、「信任投票でバビシュ首相が敗北したとしても、私は彼を再び首相に任命する。同首相の少数政権は数か月後には安定政権となると確信している」と言い切っている。

ゼマン大統領(73)のバビシュ少数政権支持の狙いは、来年1月12,13日に実施される大統領選にゼマン大統領も再選を目指して立候補していることと密接に関係しているはずだ。反EU傾向のバビシュ首相と連携してチェコの外交重点をEUからロシア、中国寄りに路線修正できるチャンスと受け取っているかもしれない。

ロシアや中国寄りを見せるゼマン大統領の支援を受けたバビシュ少数政権は政権の延命のためこれまで以上に反EU路線を強めていくことが予想される。

■経済制裁を解除し、わが国のチーズを召し上がれ: チェコのゼマン大統領、140人の企業家を同行し、プーチン大統領と会談2017年11月24日

EUとロシア間の相互の経済制裁を廃止すべき時が来たと、チェコ大統領はソチで語った。彼の訪問に同行した実業家集団が、ロシアはチェコにとって、フランスの“10倍重要”であることを示しているとも語った。

ゼマンは自分の親ロシア姿勢について冗談を言うのを決して躊躇しない。3月、二期目への出馬意図を表明した際、チェコ大統領は、プーチン、中国、アメリカのドナルド・トランプ大統領と、イスラエルの“代理人”だと発言した。

■チェコ大統領 「EUは臆病者」、米のエルサレム首都認定問題で2017年12月10日

米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定した問題で、チェコのミロシュ・ゼマン大統領は、トランプ大統領を批判している欧州連合諸国を「臆病者」と非難した。イスラエルの擁護者を自認するゼマン大統領は9日、反移民と反EUを掲げる極右政党「自由と直接民主主義(SPD)」の集会で党員らを前に「臆病者のEUが、親イスラエルの運動よりも親パレスチナのテロリストらの活動が優位になるよう、あらゆる手を尽くしている」と発言した。来年1月の大統領選で2期目の当選を目指すゼマン氏は前日にも、トランプ氏が物議を醸しながらもエルサレムをイスラエルの首都と認定したことに満足していると述べている。

■チェコ大統領が南京大虐殺記念館を訪問2017.5.16

中国国営通信、新華社によると、訪中しているチェコのゼマン大統領は16日、江蘇省南京市の「南京大虐殺記念館」を訪れた。ゼマン氏は習近平国家主席が提唱する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」をテーマに15日まで北京で開かれた会議出席のため訪中

13年に就任したゼマン氏は経済分野の実利を狙って中国重視策を推進。15年9月には、北京で開かれた抗日戦争勝利70周年記念式典に、チェコ国内や欧州連合(EU)の反対を押し切って、EU加盟国首脳として唯一出席した。

■チェコ大統領がなぜ、中国抗日式典に?2015年08月26日

チェコ共和国のミロシュ・ゼマン大統領(71)が、9月3日に北京で行われる予定の対ファシスト戦勝利70周年記念式典と軍事力パレードに、欧州諸国首脳としては、唯一、参加を表明したことで、EU内の共同歩調を乱し、冷ややかな目で見られる結果となっています。

ゼマン大統領は、5月にモスクワで行われた対独戦戦勝記念式典にも、スロバキアのフィツォ首相とともに数少ないEU加盟国首脳として参加し、ロシアによるクリミア併合に反発して参加を取りやめた欧米諸国の顰蹙を買った経歴があります。

チェコを始めとする旧東欧諸国は、EUインフラ基金等の恩恵を受ける一方で、農業政策に代表される様々な規制と関与に反感を抱き、大国の影で、小国の発言力と存在感が薄れて行くことに懸念を抱いています。

中国の急速な軍拡や、南シナ海で人工島建設、尖閣諸島を巡る日中対立等は、チェコ国内でも報じられています。しかしチェコ社会の認識として、当然と言えば当然ですが、中国の脅威は、「遠い国の話」で直接的な脅威としては認識されていません。また、「ロシアも悪だが米国も悪で、好戦的で世界秩序を乱してきた米国やEU主要国の方が帝国主義的な分、ロシアの方がまだましだ」という意識が広く存在することにも注意が必要です。

List    投稿者 dairinin | 2018-01-11 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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