2020-03-19

どうなるアメリカ大統領選挙 コロナウィルス対策がトランプ大統領再選の最大課題に

200313162118-01-trump-0312-super-169 前回の記事で、民主党の大統領候補選挙では、コロナウィルスの影響で旧勢力であるバイデン候補が危機管理能力が高いと期待され優位に選挙戦を進めていることをお伝えしました。今週には、さらに3州の候補者選挙でバイデン候補が圧勝し、民主党の大統領候補はバイデン氏に絞られてきました。大統領本戦で勝つのはトランプ大統領でしょうか、それとも、バイデン候補でしょうか。 

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バイデン候補がコロナウィルスでのトランプ大統領の失政を大きく取り上げる中で、トランプ大統領も国家非常事態宣言、500億ドルの予算投入、感染の短期収束を撤回し長期化を宣言、中国人のウィルス発言、新型コロナ対策法案に署名など、矢継ぎ早に対策を講じて来ています。3月8日から10日にかけて行った世論調査によれば、感染拡大へのトランプ大統領の対応を支持する割合は、民主党支持者では1割程度に過ぎなかったのに対し、共和党支持者では8割を超えていたそうですから、トランプ大統領を支える岩盤層はいまだにトランプ支持で大きく変わっていないのかもしれません。

次の大統領選挙は今年の11月3日に予定されていますから、まだ、7カ月強の期間があります。それまでに事態が収束できれば、トランプ大統領は逆にこれを手柄にして、次の選挙を優位に戦えることになります。今の所、イタリア、スペイン、フランス、ドイツと言ったEUの主要国に比べれば、アメリカのコロナウィルスは抑え込まれていると言えなくもありません。

ところで、イタリア、スペイン、フランス、ドイツと言えば、政権がEUを支持しているグローバリズム勢力の強い国です。現政権はコロナウィルスの抑制で失敗しており、次の選挙はかなり不利になると思われます。トランプ大統領が上手くコロナウィルスを抑え込んで再選し、イタリア、スペイン、フランス、ドイツの政権が失敗した結果、選挙に敗北すれば、世界の勢力地図は、反グローバリズムに大きく傾くことになります。これは、偶然でしょうか。

■民主党候補、トランプ政権は「途方もない失敗」「無能」 大統領選、コロナ対応も争点に2020年3月13日

バイデン氏は地元の東部デラウェア州でテレビ演説に臨み、ウィルスの国内への影響を過小評価したトランプ氏の当初の対応により、「米国民は無防備な状態で危機に直面することになった。政府の信頼も失われた」と指摘した。さらに、希望するすべての人への無償ウィルス検査の迅速提供や、軍も活用した治療態勢や病床の確保などを柱とする対応策を発表した。 サンダース氏は東部バーモント州でテレビ演説した。「大規模な戦争に匹敵する危機だ。現政権の無能さが生命を危険にさらしている」と指摘し、トランプ政権に国家災害や緊急事態を宣言するよう要求した。そのうえで、主要公約である政府運営型の国民皆保険制度の重要性を強調。「すべての人が必要な医療を受けられるようにしなければならない」と訴え、開発されたワクチンも無料にすべきだと主張した。ウィルスに関連する休業補償や有給休暇取得のため、政府の緊急予算措置が必要だと述べた。

■トランプ大統領、新型コロナで国家非常事態を宣言2020年3月14日

トランプ米大統領は3月13日、新型コロナウィルスの感染拡大を受け、国家非常事態を宣言した。 経済の先行き不安から米株式市場も暴落を続けてきたが、緊急対応で市場の沈静化を図る。 政府を挙げてこの問題に対処するため、National Emergency を宣言する。最大500億ドルにのぼる予算を活用する。これに加え、各州に直ちに緊急オペレーションセンター設立を求める。保健福祉省長官に対し、医師や病院に関する既存の法律やルールを回避する幅広い権限を与える。プライベートセクターと組み、コロナウィルスの検査能力を増やす。但し、必要のない者は除き、特定の症状のある者だけだ。FDA(食品医薬品局)はRocheの新しいウイルステストを申請後数時間で承認した。来週には追加で140万件の検査を期待する。

■米大統領選民主党討論会 「革命」か「現実路線」か…コロナで舌戦2020年3月16日

サンダース氏は、現行の医療保険制度では負担が多額になることを懸念した人たちが病院に通えず、「通常でも最大で年6万人が死亡している」などと指摘。新型コロナウィルスへの危機感が強まっているこの機に、国民皆保険の実現に向かうべきだと訴えた。

これに対して党主流派の後押しを受けるバイデン氏は、イタリアなどにはサンダース氏が主張するものに近い公的医療保険制度があるにもかかわらず新型コロナウィルスの被害が深刻化したと指摘し、感染拡大の防止と「国民皆保険(の有無)は全く関係がない」と切り捨てた。

一方、新型ウィルスの発生源となった中国での情報隠蔽が世界的な感染拡大を招いたとの指摘について、サンダース氏は「中国は今回の危機から多くを学んだ。今は罰するのではなく支え合うときだ」と、中国に厳しい態度をとるべきではないと言明。バイデン氏は「危機の当初から米国の専門家を中国に派遣して、世界で指導的な役割を果たすべきだった」と述べるにとどめた。

■トランプ氏、新型ウィルス拡大は「夏まで続く」 15日間の集会自粛を要請2020年3月17日

アメリカのドナルド・トランプ大統領は16日、感染が拡大する新型コロナウィルスについて、同国全土における非常事態は「8月か7月、あるいはそれ以上続く可能性がある」と述べた。トランプ氏は当初、新型ウィルスのアウトブレイク(大流行)は数週間で終息するとの見解を示していた。 ホワイトハウスで会見したトランプ氏は、新型ウィルスの感染拡大防止を目的とした新たなガイドラインを発表。今後15日間は10人超で集まることや、バーやレストラン、フードコート、体育館の利用や、人ごみを避けるよう国民に求めた。

■新型コロナは「中国人のウィルス」、トランプ発言の意図2020年3月18日

「今日のこと(3月17日)ですが、トランプ大統領が、ツイッターで新型コロナウィルスのことを『中国人のウィルス』と言ったことには、またやってきたなという感じがしました。トランプ大統領の得意手段で、問題をすり替えて、第3者の悪者を作るという、いつものパターンです。移民が入ってくるのは、メキシコ人が悪い、『メキシコに壁を作れ』と言っていることと全く同じです。 それだけトランプ大統領の置かれた立場が微妙になってきたということだ。

というのも、海野教授も指摘してきたように、トランプ大統領は「新型コロナウィルスは、でっち上げだ。インフルエンザで年間死者数2万7000万人。それと比べればコロナなど小さい」とのたまわってきた。 新型コロナウィルスを軽視してきたトランプ大統領は、なぜ豹変したのだろうか?目に見えて死者数が増えたことが影響していると思います。17日時点で、死者は85人に上っています。おそらくトランプ大統領自身、自分の本当の敵は新型コロナウィルスだと思ってきたのでしょう。まさに見えない敵が現れたということです。バイデン・サンダースどころじゃない。「現時点ですが、新型コロナが大統領選挙の争点になってきました。危機管理ができる候補に焦点があたってきています

■米候補者指名争い~バイデン氏とサンダース氏の“新型コロナ対策の違い” 2020年3月18

サンダース氏「いまこそ国民皆保険を導入すべき」~バイデン氏「病気で困っている人を救うのが先決」新型コロナウィルス対策もこの2人は違っていて、サンダース氏はとにかく国民皆保険がないのがいけない、だから国民皆保険を導入するべき時期だと訴えています。しかしバイデン氏は、医療保険は関係ない、国家の緊急事態なのだから、とりあえずいま病気で困っている人を救うのが先決であり、いまは皆保険なんて話をするべきではないと言っています。

■バイデン氏、3州でもサンダース氏に圧勝 2020年3月18日

米大統領選の候補を選ぶ野党・民主党の予備選が17日、3州であり、米メディアによるとジョー・バイデン前副大統領が全3州で勝つ見通しとなった。米メディアの予測では、バイデン氏がバーニー・サンダース上院議員(ヴァーモント州選出)にフロリダ州とイリノイ州で得票率60%以上で勝つ見通し。

世論調査によると、人口が多く代議員219人を擁するフロリダ州ではほとんどの民主党支持者が、11月の本選で勝てるかどうかが候補選びにおいて重要だと回答。バイデン氏の方がトランプ氏に勝てると答えた人は約75%、サンダース氏の方がトランプ氏に勝てると答えた人は約10%に留まった。 新型コロナウィルスへの対策として米政府が10人超の集会を控えるよう呼びかけるなか、バイデン氏は地元デラウェア州ウイルミントンから演説をインターネットで中継し、「こういう時こそ私たちは政治をわきに置いて、アメリカ人として協力しなくてはなりません」と述べた。 サンダース氏は、新型コロナウィルスの危機について、医療制度の拡充や労働者の給与確保、中小企業保護、全世帯への現金支給など、2兆ドル規模だという自分の対策案を説明した。

■トランプ氏、新型コロナ対策法案に署名 無償検査や有給休暇など2020年3月19日

ワシントン(CNN) トランプ米大統領は18日、無償検査や有給の病気休暇などを盛り込んだ新型コロナウィルス対策法案に署名し、同法が成立した。修正後の法案は新型コロナの検査や治療、診断を受けた人に対し、最大2週間にわたり有給病気休暇の取得を認める内容。感染者との接触や症状を理由に、医師や政府当局者から自宅待機を指示された人も対象となる。

■新型コロナが脅かすトランプ再選、なりふり構わぬ対策で乗り切れるか2020年3月19日

3月17日にトランプ政権は、総額1兆ドルを超える対策の実現を急ぐ考えを示した。主軸となるのは、各家庭への現金の給付である。当初トランプ政権は、公的年金などの財源である給与税の一時減税を主張していたが、超党派の支持が得られやすい現金給付に乗り換えた。遅きに失した感は否めないが、政治的な対立を回避し、なりふり構わず結果を目指す姿勢が強まっている。 トランプ政権が対策の実現を急ぐのは、急速な感染拡大はもちろんのこと、政治的にも危うい状況になってきたからである。再選戦略の要である岩盤支持層に、感染拡大への懸念が広がりつつあるようなのだ。

トランプ大統領を、共和党支持者は信頼してきた。英エコノミスト誌とYouGovが3月8日から10日にかけて行った世論調査によれば、感染拡大へのトランプ大統領の対応を支持する割合は、民主党支持者では1割程度に過ぎなかったのに対し、共和党支持者では8割を超えていた。 3月中旬にかけての急速な感染拡大と、それに伴う株価の暴落を経て、状況は激変している。これだけ深刻な影響が表面化してしまった以上、もはや楽観的な言葉だけでは収まらない。トランプ大統領の言動も、非常事態を宣言し、景気後退の可能性に言及するなど、それまでの楽観論とは色合いが変わった。

新型ウイルスの感染拡大による被害の拡大が、トランプ的な政治を否定する流れにつながるとすれば、大統領選挙は民主党に傾く。予備選挙での指名候補獲得をほぼ確実にしているバイデン氏にとっては、思いがけない追い風だ。感染拡大に怯える有権者にとって、もはや変化やビジョンは二の次である。大切なのは安定感であり、それが過去への回帰であろうと、平常を取り戻すだけでも十分魅力的だ。分断の緩和を掲げるバイデン氏の主張は、たとえ具体的な政策論が伴わないにしても、トランプ大統領では難しかった危機下での団結を期待させる。

だからこそトランプ大統領は、民主党の協力を視野に入れながら、なりふり構わず大型の対策の実現を目指す。岩盤支持層は、大統領を既成の政治に立ち向かう「戦う指導者」だと考えている。たとえ景気の回復が投票日に間に合わなかったとしても、断固としたリーダーシップを印象付けられさえすれば、岩盤支持層は大目に見るだろう。過去の経験を振り返っても、災害が選挙に与える影響はその後の対応次第である。過去の災害と選挙の関係を扱った研究によれば、災害による被害が生じた場合には、責任の所在にかかわらず、現職の大統領や州知事が不評を買いやすい一方、断固たる対応を講じた場合には、かえって次の選挙では現職が有利になる。

List    投稿者 dairinin | 2020-03-19 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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