2021-05-18

コロナを契機にEUでは金貸し勢力が挽回?環境・デジタル投資で市場拡大を図る。

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以前の投稿でコロナの影響でイタリアではEU政権が崩壊し、親EU政権が成立したことをお伝えしました。その最大の要因がEUのコロナ復興支援基金です。コロナ以前にはイギリスのEU離脱をはじめ、反EU勢力が力を伸ばしていましたが、コロナで大きく状況が変わったようです。EU復興支援基金について調べてみました。 

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まず、EU復興支援基金の規模ですが、230兆円と日本の国家予算の2年分。かなり大きな規模です。そして、その分配の権限を握っているのがEUですから、経済力の弱い加盟国ほどEUにすり寄らざるを得ません。

これまでは資本の論理=弱肉強食の必然で、経済的に敗北した国でEUの潮流は進んできました。それが、コロナの影響でEUを掲げていた経済力が弱い国ほど、EUの復興支援基金に頼らざるを得なくなったのです。コロナを契機にイタリアで反EU政権が崩壊し、親EU政権が樹立されたのも、その結果です。

そして、金貸し勢力が新たな市場拡大の武器としているのが、環境対策とデジタル投資です。環境対策が市場拡大の道具とされていることは、世界で進むカーボンニュートラル、その実態は過剰消費社会の延命か?でもお伝えしましたが、EU復興支援基金を配分してもらえる条件が、デジタルや環境分野に集中投資し、景気回復と経済の構造転換を同時に促すこととされています。

日本の菅政権の重点政策、カーボンニュートラル2050年達成や、DXを推進するデジタル庁新設もこの流れ中にあると言えます。日本のマスコミはロスチャイルドに牛耳られており、世界的に見ればコロナの影響は微々たる物であるにも拘らず、異常なほどのコロナ報道を繰り広げているのも、金貸し勢力の挽回を期した動きの一環と考えると腑に落ちます。

しかし、このまま金貸し勢力が優勢になるかと言えば、必ずしもそうではないようです。EU各国で半グローバリズム勢力とグローバリズム勢力は拮抗し、EU復興支援基金が批准されず、執行できなくなる可能性もあります。まさに今、両勢力による熾烈な戦いが行われているようです。

 

EU、コロナ復興基金と中期予算で合意 230兆円規模20201211

欧州連合(EU)首脳会議は10日、新型コロナウイルスで傷んだ経済の再生を目指す復興基金と中期予算の計約18000億ユーロ(約230兆円)で合意した。EUのミシェル大統領は環境対策やデジタル投資を推進していく考えを示した。

東地中海でEUが「違法」とみなすガス田探査を行うトルコへの制裁拡大、ウクライナ問題を巡るロシアへの経済制裁6か月延長も決めた。

■欧州復興基金の実相-米国流の‘Go big’は望めない-2021325

EUは、コロナ危機では、過去の教訓を生かし、国家補助や財政ルール柔軟化で加盟国の対応を促し、資金繰り支援の危機対応パッケージと復興基金構築に動いた。当面は危機の傷痕を緩和する政策を継続し、復興基金の起動に優先的に取り組む方針だ。

米国の大模追加経済対策は景気過熱・インフレリスクを巡る議論を引き起こしているが、対策は小さすぎるよりは大きすぎる方が良いという点では基本的に一致しているようだ。5.だが、EUの‘Go big’の実践は容易ではない。

過剰債務国は信用危機再燃リスク等を意識せざるを得ない。復興基金の補助金の拡張は選択肢となりそうだが、EU債発行に必要な全加盟国の批准手続きが完了しておらず、拡張を検討できる段階にはない。復興基金は、EU結束のためのプロジェクトだが、運用次第では、域内の関係の悪化を招きかねない。費やされる政治的資源は大き過ぎるという指摘は的を射ている面がある。

EU復興基金、夏に分配開始へ イタリアが29兆円計画2021426

復興基金から資金を受け取るには、6年間にわたる計画をEUの欧州委員会に提出して審査を受ける必要がある。デジタルや環境分野に集中投資し、景気回復と経済の構造転換を同時に促す。基金の趣旨に合致していなければ、計画は認められない。伊メディアによると、EUはインフラ投資が多い点などイタリアの計画の一部に懸念を示したが、ドラギ氏がフォンデアライエン欧州委員長と電話会談し、折り合ったとみられる。

不安材料は少なくない。欧州委によると、復興計画を期限内に提出できるのはEU27カ国のうちイタリアやスペイン、ポルトガルなど十数カ国とみられる。復興基金の原資として、欧州委は21年半ばから債券を発行して資金調達を始める。債券発行には全加盟国の批准が必要だが、現時点で10カ国前後で手続きが終わっていない。

■欧州~復興基金の稼働が遅れる恐れ~2021年5月1日

欧州復活の起爆剤と財政統合の第一歩として期待された欧州復興基金の早期稼働に暗雲が立ち込めている。基金の利用を申請する加盟国は、EUの優先課題である気候変動対策やデジタル化、さらには各国が抱える構造問題の解決に向けた取り組みを網羅した復興計画を欧州委員会に提出する。各国を取り巻く政治環境や既得権益もあり、構造問題への抵抗が根強く、計画策定が遅れている。また、基金の原資となる債券発行を開始するには、全ての加盟国で関連規則の議会承認が必要となる。3月中旬時点の集計では、約半分の国で議会承認が終わっていなかった。

とりわけ問題となりそうなのが、3月中旬に総選挙を行ったオランダだ。今回の選挙で議席を獲得したのは実に17政党に上る。多政党による連立が必要で、政権発足協議には時間が掛かる。この他にも、議会採決を終えたドイツでは、復興基金の合憲性を巡る訴えが提起されたことを受け、憲法裁判所によって関連法案の承認が差し止められている。

List    投稿者 dairinin | 2021-05-18 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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