2017-03-23

トランプ大統領就任後のロシアとの関係

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大統領選挙の時には、ロシアとの関係改善に意欲を見せていたトランプ大統領ですが、大統領就任後は対ロシア政策であまり目立った動きがありません。何が阻害要因になっているのか、トランプ大統領就任後のロシアに関連する報道を調べてみました。

最初に出てきた阻害要因は、ロシアのウクライナ問題。大統領選挙の時にはロシアに対する制裁解除にも言及していたトランプ大統領でしたが、1月27日にイギリスのメイ首相と会談した後では、制裁解除はまだ議論する時期ではないという姿勢に変化しています。

さらに、2月15日にはロシアはクリミア半島をウクライナに返還することを期待していると発言したと報道されています。ただし、こうした発言と同時に、ロシアとの良好な関係を望むとか、ロシアとの協調を望んでいると発言しています。

どうやら、NATO諸国をはじめ、各方面からロシアの制裁解除はできないという圧力を受けてそれを無視できないけれども、本音としてはロシアと仲良くしたいという思いは変わっていないようです。

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次の阻害要因が、大統領選挙の時のロシアによる選挙妨害疑惑。この問題で2月14日に大統領補佐官が辞任い追い込まれており、3月21日にはFBIがトランプ陣営とロシアの関係を捜査中と発表しました。

そして、もう一つの阻害要因が、トランプ大統領にとって、プーチン大統領は手ごわい相手であることです。トランプ大統領の発言を見ると、ロシアと強調することのメリットは確信しています。しかし、ロシアとの交渉が上手く行く自信は全く持っていないようです。

トランプ大統領のこれまでの発言を見る限り、NATO諸国やFBIのことを本気で心配しているとは思えません。トランプ氏が、ロシアとの関係構築に踏み出せない阻害要因は、今交渉を開始しても、プーチン大統領に勝てる気がしないというのが、一番大いのかもしれません

各国の首脳と精力的に会談しているトランプ大統領ですが、ロシアについては国務長官が4月に訪ロを検討している段階で、その慎重な姿勢が際立っています。

 

■トランプ米大統領:ロシア制裁解除、まだ協議する時期ではない2017年1月27日

トランプ大統領はホワイトハウスでのメイ英首相との共同記者会見で、対ロシア制裁について「どうなるか展開を見守る」と話すとともに、プーチン大統領と「良好な関係」を望むと表明した。

メイ首相は、欧州側と米国が共同で発動した制裁の継続を強く支持。同盟はこれまでの立ち位置を堅持すべきだとし、ロシアとウクライナが停戦合意(ミンスク協定)を守るまで制裁は緩和されないだろうと語った。

■トランプ大統領就任後初 米露首脳電話会談2017年1月29日

ロシア側の発表によると、シリアの情勢や過激派組織「イスラム国」との戦い、北朝鮮情勢など幅広く話し合ったという。また、経済関係を回復させることの重要性とともに、首脳会談の時期と場所について検討していくことでも一致したとしている。

■「尊敬している」 トランプ氏、異例のプーチン大統領擁護

インタビューの中でトランプ大統領は、プーチン大統領を尊敬していると発言。司会者のビル・オーライリー氏に「プーチン大統領は殺人者ですが」と指摘されると、「殺人者はたくさんいる。我が国にそれほど罪がないとでも?」と問い返した。

トランプ大統領は、相手を尊敬しているからといって「その相手とうまくやれるとは限らない」とも指摘。「彼は自分の国の指導者であり、ロシアとはうまくやらないよりはうまくやった方がいい。ロシアがISIS(過激派組織イラク・シリア・イスラム国)や世界のイスラム系テロリズムとの戦いで我々を助けてくれるなら、それは良いことだ。私が彼らとうまくやれるかどうかは分からない」と語った。

■米大統領補佐官が辞任 ロシア高官との接触めぐり2017年02月14日

米ホワイトハウスは13日、政権幹部のマイケル・フリン大統領補佐官(国家安全保障担当)が辞任したと発表した。同氏に対しては、政権発足前にロシア当局者と対ロ制裁について協議した疑惑がかけらていた。

フリン氏は疑惑が持ち上がった当初、対ロ制裁についてロシアのセルゲイ・キスリャク駐米大使と協議したことを否定し、それを受けて、マイク・ペンス副大統領も疑惑を否定していた。しかしその後、フリン氏はホワイトハウス首脳らに対し、協議した可能性があると説明した。

■トランプ大統領、「ロシアはクリミア半島をウクライナに返還すべきだ」2017年02月15日

プレスTVによりますと、ホワイトハウスのスパイサー報道官は、14日火曜、「トランプ大統領は、ロシアがクリミア半島をウクライナに返還し、この国の危機の緩和を促すことを期待している」と語りました。

スパイサー報道官は同時に、「トランプ大統領は、ロシアとの協調を望んでいる」と主張しました。

■トランプ氏FBI批判フリン氏辞任「情報流出、非米的」2017年02月16日

トランプ氏は15日、ツイッターで米連邦捜査局(FBI)や国家安全保障局(NSA)などの情報コミュニティーが主要メディアに機密情報を流出させたとして双方を「非米的だ」と批判した。

フリン氏は大使との電話協議で、大統領選を狙ったサイバー攻撃への報復としてオバマ前政権が発表した対露制裁に関し、ロシア側が対抗措置を取らなければトランプ政権下で米露関係が円滑に進むと伝達。通話記録で判明したとされ、スパイ活動取締法に違反する可能性もあるという。

スパイサー氏は、トランプ氏がフリン氏に辞任を求めたと明らかにした。法的問題が理由ではなく、ペンス副大統領に制裁は協議しなかったとの誤った説明をさせて「信頼が損なわれた」ためだと説明した。

■トランプ氏就任後初の単独会見 フリン氏の違法性否定 入国禁止で来週中に新大統領令2017年2月17日

フリン氏の問題に関し、自らは制裁をめぐる協議を指示していないと主張。辞任させたのは、ペンス副大統領に制裁を協議していないとの誤った情報を伝えたためだとした。大統領選期間中に陣営の側近がロシアと接触していたとの報道は否定した。

対露関係に関しては「核兵器による虐殺は想像を絶するものだ」とし、核大国の米露両国が「協力してうまくやる」ことが重要との認識を示した。北朝鮮への対応を重視しているとも述べた。

■トランプ大統領:プーチン大統領は「扱いにくい人物」2017年3月19日

トランプ氏は「私は彼のことを知らないが、彼は確かに扱いにくい人物だ。私は彼がロシアのために何をしているのか知らないが、いつか我々は知るだろう」と述べた。なおトランプ氏は米国の慣用的な表現「tough cookie」という表現を使った。

■米国務長官、4月に訪ロか=NATO会合は欠席2017年3月21日

ロイター通信は20日、米当局者の話として、ティラーソン国務長官が4月12日にロシア初訪問を計画していると報じた。

トランプ大統領はオバマ前政権時代に悪化した対ロ関係の修復を目指しており、ティラーソン長官のロシア派遣はその第一歩となる。ティラーソン氏は米石油大手エクソンモービルに勤めていた時代からロシアのプーチン大統領と個人的な親交がある

■米FBI長官、ロシアとトランプ陣営の関連について「捜査中」2017年3月21日

米連邦捜査局(FBI)のコミー長官は20日、下院情報特別委員会の公聴会で、昨年の大統領選をめぐるトランプ陣営とロシアの連携について捜査していることを初めて明言した。一方、トランプ大統領がオバマ前大統領に盗聴されたと主張している問題では、裏付けとなる情報はないと述べて疑惑を否定した。

コミー氏の証言によると、FBIはロシアが民主党のクリントン陣営にハッカー攻撃を仕掛けたとされる問題をめぐる捜査の一環として、トランプ陣営とロシア政府の連携や違法行為の可能性を調べている。

 

List    投稿者 dairinin | 2017-03-23 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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