カタルーニャ独立問題:独立派州知事が就任、独立投票を呼び掛けこと知ってました?
前回は、カタルーニャ州議会選挙で独立派が勝利したことをお伝えしましたが、その後、日本では殆ど報道されていません。調べてみたら5月23日に独立派の州知事が就任し、独立投票を呼び掛けていました。
州知事に就任したのは、カタルーニャ共和左派(ERC)のペレ・アラゴネス氏です。「カタルーニャ共和左派(ERC)」と「カタルーニャのための連合(JXC)」の独立派2党が連立政権の樹立で合意しました。2月14日に選挙が行われて独立派勝利してから3か月かかっており、同じ独立派でもERCは平和的な独立を掲げているのに対して、JXCは独立投票を強行して国外逃亡したプッチデモン氏前首相が率いており、独立運動の在り方でもめたのかもしれません。
しかし、ERCのペレ・アラゴネス氏は首相は信任投票に先駆けて、独立投票を呼び掛けたり、中央政府と独立を協議する独立派団体を設立したり、内閣に国外逃亡中のプッチデモン氏を指名するなど、独立に向けて積極的な動きも見せており、今後の動きに注目したいところです。
■ニュースなスペイン語 Euroorden:欧州逮捕状2021年3月10日
プッチダモンと他2名に対して、欧州議会は9日、非逮捕特権を無効にする決定を行ったというニュースが入ってきた。プッチダモンらの非逮捕の無効化に、スペイン社会労働党、国民党、市民党、ボックス党出身の欧州議員が賛成票を投じたのに対して、ポデモス党他、カタルーニャ州からの各政党からの議員は反対票を投じた。いよいよ、欧州逮捕状の発行が視野に入った。しかし、プッチダモンらの引き渡しと身柄の拘束には、まだ、いくかの法的ハードルがあるようだ。
■SNSに見る「揺れるスペイン」、西側先進国に共通する“分断”とは2021年4月21日
日本ではほとんど報道がありませんが、スペインでは今年2月から各地で抗議デモが頻発しており、連日その様子がSNSに上がってきています。その背景にはスペインの国としての成り立ちと、西側先進国に共通する社会構造があります。
中央と地方の分断。中央政府がカタルーニャ民族を差別するような言動を繰り返したこと、及び、経済的に豊かなカタルーニャ州が中央に納める税金がスペインの他の州に回されることに対する不満から、2010年代より独立を目指す運動が盛んになりました。
経済的な分断。スペインでは経済格差が広がりを見せています。2020年12月時点のEU加盟国の失業率はスペインが最も高く16.2%。そして若年層失業率を見るとなんと40.7%に上る59万6,000人が失業状態にあります。
■カタルーニャ独立派、連立合意 州議会選から3カ月―スペイン2021年5月18日
スペイン北東部カタルーニャ自治州の二つの独立派「カタルーニャ共和左派(ERC)」と「カタルーニャのための連合(JXC)」は17日、連立政権の樹立で合意した。組閣期限が今月下旬に迫る中、2月の自治州議会選から約3カ月にわたる交渉が決着し、再選挙は回避されることになった。
■カタルーニャ州ペレ・アラゴネスが州知事に就任 8か月ぶり2021年5月23日
カタルーニャ州議会は独立派ERCのペレ・アラゴネス(38)を新州知事に選出した。 正式な州知事が就任するのは8か月ぶりとなる。現在連立を組んでいるERCとJunts。はカタルーニャ州の独立を推し進めるため、中央政府と独立のための対話の窓口を兼ねた独立派団体を設立することが決定した。この団体は、ERC、Junts、CUP、独立推進民間組織ANC、独立推進民間組織OmniumがCxRepと共同で設立される。また、内閣も州政府経済省に独立を扇動し国外に逃亡中のカルラス・プッチダモン被告を指名するなどしている。
■カタルーニャ州首相、独立投票の意思示す2021年5月24日
スペイン北東部カタルーニャ自治州の州議会(定数135)は21日、独立支持派のカタルーニャ共和主義左翼(ERC)のアラゴネス党首を同州の首相に指名した。アラゴネス氏は州首相の信任投票に先立ち、スペイン政府にカタルーニャ州の独立を巡る住民投票の実施を認めるよう呼び掛け、…
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kanekashi.com/blog/2021/05/8368.html/trackback