2019-05-16

反グローバリズムの潮流(スペインの総選挙で、極右政党VOXが躍進)

 

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4月末にスペインで行われた総選挙で、極右政党VOXが初めて議席を獲得、それも24議席と大躍進を遂げたとの報道がありました。スペインは1970年まで独裁政権であるフランコ政権が続き、民主化後は極右勢力が排除されてきました。なぜ、ここで極右勢力が復活したのでしょうか。

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VOXはイスラム過激派のテロに端を発する移民反対運動と、カタルーニャ独立反対運動で一気に国民の支持を広げました。「スペインを再び偉大な国に」と言うのが党のモットーでトランプ大統領との類似を指摘されてもいます。

その主張は、銃の所有と使用権の拡大を支持し、キリスト教徒以外の移民に反対し、フェミニズム運動を攻撃し、「グローバリスト」や既成の「エリート」を拒絶する。経済政策では、減税、特に法人税の引き下げを支持し、社会福祉プログラム(特に移民への支援策)を削減し、公教育よりも私教育を優先すると主張しています。

この主張を見ると、グローバリストを批判しながら自由競争は重視する等、矛盾も見受けられ、何を実現したいのか良く分からないという印象もありますが、この政党を支持している人々は、このままではスペインがおかしくなると強く感じているようです。

異民族の流入、経済的な低迷、伝統的な価値観の崩壊、このままの政策を続けていてもスペインは悪くなるばかり、と言う実感が国民にあり、VOXはこの実感に基づいて行動しているようです。今は勢いでこれまでの政策を否定していると言う印象ですが、この問題の中心がどこにあるのかが明確になって政策に一貫性が備われば、反グローバリズムの大きな勢力に育っていく可能性がありそうです。

 

■スペインに旋風を巻き起こす極右政党VOXは、「ネオナチ」というより「普通の市民」の顔をしている2019年04月25日

直近の世論調査で支持率は12%を超え、38議席を獲得する見通し。独裁者フランシスコ・フランコの死から44年、極右政党がスペインの国政選挙で複数議席を獲得すれば初の事態となる。VOX人気が急騰した理由は2つある。2017年に住民投票で独立を選択したカタルーニャ州の問題と、北アフリカから流れ込む難民と不法移民だ。難民は昨年、ギリシャやイタリアより多い5万8569人が流入した。

13年末に結成されたVOXは、日本の保守派が「捕鯨」にこだわるように、「闘牛」などのスペインの伝統と文化、価値を強調し、フェミニズムや同性婚、多文化主義に異議を唱える。反イスラムで、「政府は国民の敵だ」と腐敗や官僚政治を攻撃して既存政党への批判票を集めている。VOXは親EU政党なのが唯一の救いと言えるかもしれない。

スペインの失業率は14.5%。若者の失業率は32.4%と高止まりしている。アンダルシア州の失業率は21.3%、若者の失業率は45.1%に達している。アリアスさんは「産業もなければ、投資も入ってこないからだ」と言葉を叩きつけた。英国のEU離脱が完全に膠着状態に陥る中、5月の欧州議会選でドイツ、フランス、イタリア、スペインの主要国だけでなく、北欧・旧東欧諸国でも極右ポピュリスト政党が台頭するのは必至の情勢だ。極右は「ネオナチ」というより「普通の市民」の顔をしている。それだけに欧州の闇は深いと言わざるを得ない。

■スペイン総選挙、与党社会労働党が第1党に 極右政党ボックスが国政進出2019年4月29日

下院(定数350)でサンチェス氏が党首を務める社会労働党は得票率約29%で123議席を獲得する見通し。過半数には達しなかったが改選前議席の84議席は大幅に上回った。最も大きな敗北を喫したのは前与党の中道右派・国民党(PP)で、前回選挙で得た137議席を大幅に下回る66議席にとどまるとみられる。サンチェス氏は、過去10か月間と同様、急進左派ポデモス(Podemos)やカタルーニャ分離独立派などとの連立を模索することになるだろう。57議席を得る見込みの中道右派シウダダノス(Ciudadanos)との連立を図る可能性もある。

最も顕著な変化は極右政党ボックスの台頭だ。長期独裁を敷いたフランコ総統が1975年に死去して以来、スペインにこれと言った極右政党はなかった。元国民党のサンティアゴ・アバスカル氏が創立したボックスは24議席を獲得する勢い。もっとも、事前の世論調査で予想されていた議席数には届かなかった。

■スペイン総選挙の結果について~EU体制への影響は?2019年5月7日

下院の選挙結果は社会労働党が勝利し、前回選挙比+38議席の123議席を獲得しました。社会福祉の充実を主張したことが支持されましたが、過半数(176議席)には届きませんでした。今後、急進左派でEU(欧州連合)懐疑派のポデモス(英語で”We Can”の意)との連立を図りますが、それでも届かず、現在、左派系地域政党との連携を模索しています。カタルーニャ州の独立志向が強い政党もあり、連携に向けた交渉の行方は現時点では不透明です。

今年は3月3日にエストニア、4月14日にフィンランドで総選挙が実施され、いずれも右派政党が躍進しました。スペインでも同様の流れが続いたことになります。次の政治イベントは5月23~26日に実施されるEU議会選挙です。左派の一人負けと右派の躍進が予想されていますが、中道が最も優位であることには変わりありません。全体的には右傾化が進むものの、EU体制が揺らぐような政治状況の変化は起きないと見込まれます。

■スペイン総選挙で台頭、極右政党VOXの立候補者が語る「意外な実像」2019年5月9日

「スペイン人らしさを失わないこと」を政策の中心に据えた新興政党「VOX」が、ソーシャルメディアを多用した選挙戦術によって注目を浴び、下院で24議席を獲得する大躍進を見せた。VOXに関しては、党の主張や掲げる政策などに対し、「極右政党」と警鐘を鳴らすメディアも少なくない。VOXとはどのような政党なのか?ラテン語で「声」を意味するVOXは、国民党のタカ派によって2013年12月に結成され、翌年に実施された欧州議会選挙に初めて政党として参加するが、1議席も獲得することはできなかった。さらに2015年と2016年の総選挙にも挑むものの、こちらでも議席の獲得はならなかった。

イスラム過激思想とカタルーニャの独立に強く反対するという党の立ち位置が明確になった瞬間でもあり、これを境にVOXの支持者が右肩上がりで増加していく。

VOXから上院議員選挙に出馬した男性に話を聞いた。「19歳の時から国民党を支持してきたが、スペイン国内の政治状況はこの10年で様変わりし、国民党のスタンスも昔とは異なるようになってしまった。社会主義政党を支持する有権者が増え、国民の細かいニーズにまで応えてくれる大きな政府が求められている。しかし、国の財政事情を考えた場合、政府が国民のニーズ全てに応じることは不可能だろう。

■スペイン版トランプのポピュリスト旋風が吹く2019年5月9日

4月28日に投票が行われたスペイン総選挙で驚異の躍進を果たしたのが新興の極右政党ボックス(声)だ。国政初進出なのに、みごと24議席を獲得した。「スペインを再び偉大な国に」という同党のモットーは、党首サンティアゴ・アバスカルのポスターにも、党のビデオにも登場する。そのスローガンだけではなく、この新興政党のポピュリズムはアメリカのトランプ大統領およびヨーロッパ各国の極右政党とかなり共通点が多い。

17年10月、カタルーニャ自治州の独立宣言に反対する運動として、ボックスはスペインの政界に躍り出た。党の成長とともに、ボックスは世界的なポピュリズムの流れに共通するイデオロギーを取り込んだ政党に変身した。銃の所有と使用権の拡大を支持し、キリスト教徒以外の移民に反対し、フェミニズム運動を攻撃し、「グローバリスト」や既成の「エリート」を拒絶するといった調子だ。トランプの大統領選勝利の立役者たるスティーブ・バノン元大統領首席戦略官兼上級顧問は、17年にボックスと連絡を取り始めた。ボックス側は当初、ソーシャルメディアの利用について指南を仰ぐため、バノンに接触を図ったとされる。

ボックスはまた、中南米のポピュリズム政党と同様に男性優位主義を打ち出し、女性を家庭内暴力から守ることを目的とした「ジェンダー暴力防止法」の廃止を公約に掲げている。経済政策では、ボックスはフランスのマリーヌ・ルペン的な政府介入主義よりも米共和党や英保守党の自由市場主義に非常に近い。減税、特に法人税の引き下げを支持し、社会福祉プログラム(特に移民への支援策)を削減し、公教育よりも私教育を優先すると主張している。

List    投稿者 dairinin | 2019-05-16 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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