2017-05-11

フランス大統領選挙はマクロン氏(グローバリスト)の勝利と言えるのか

modal_03フランスの大統領選挙が行われ、EUの継続を訴えたグローバリスト、新自由主義のマクロン候補が、ナショナリストのルペン候補を大きく引き離し、66.9%vs33.1%と倍以上の得票率で勝利しました。主要なマスコミは、こぞってマクロン候補が当選して良かったと伝えています。

しかし、今回のフランス選挙の結果をしっかり分析すれば、グローバリストの勝利と言える状況ではなく、実はグローバリストが崖っぷちまで追い詰められている状況であることが分かります。

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まず、投票率を見てみましょう。マクロン氏の得票率は66.1%と全体の2/3を占めているように見えますが、これは有効投票の中での割合です。投票率が75%であり、さらに投票の中の無効票や白票を抜くと有効投票は66.01%なのです。従って有権者全体の中でマクロン氏に投票したのは絶対投票率は43.63%と過半数を下回っているのです。

マスコミが大々的な反極右勢力キャンペーンを実施し、EU崩壊の危機を訴えたにもかかわらず、マクロン氏の絶対得票率が過半数を下回ったことは、グローバリストの敗北と評価して良いのではないかと思います。グローバリストの総力を結集しても、4割強の得票しか得られなかったのです。そして、マスコミが大々的な反極右勢力キャンペーンを実施したにもかかわらず、国民戦線は15年前の大統領選挙で獲得した得票率17.79%から倍近くまで得票率を伸ばしています

さらに、フランス大統領選挙後に行われる、国会の選挙の行方も不透明です。今回大統領に当選したマクロン氏は、既成政党を離脱しての立候補ですから、現在の国会には与党が存在しません。そして、1か月後の国会選挙の行方を暗示しているのが、第1回大統領選挙の得票率です。マクロン氏が24%、国民戦線のルペン氏が21.30%、共和党のフィヨン氏が20.01%、左翼党のメランション氏が19.58%、社会党のアモン氏が6.36%です。

親EU派であるマクロン氏とフィヨン氏、アモン氏の得票率を合計してぎりぎり50%を超えますが、アモン氏の所属する社会党は大きな政府、財政支出による景気回復を訴えており、マクロン氏やフィヨン氏の共和党とは、全く考え方が異なります。マクロン大統領の国会運営は混乱することが予想されます

さらに、マクロン大統領が訴える、グローバリズム、新自由主義の結果が、現在の先進国の格差拡大、景気沈滞という結果をもたらしている訳ですから、マクロン大統領の政策が上手く実行されたとしても、フランス国民の不満はさらに拡大する結果にしかなりません。

今回の大統領選挙は、グローバリストが崖っぷちで持ちこたえましたが、マクロン大統領の任期内にはグローバリズムの限界が明確になり、次回の大統領選挙では反EUを主張する国民戦線と左翼党の2党が決選投票に残る可能性が高いと思われます。

 

■フランス大統領選で無効票・白票が50年ぶりの多さ「どちらの候補も信条に合わなかった」の声

5月7日のフランス大統領選は、記録に残るものだった。当選を決めたエマニュエル・マクロン氏が39歳で史上最年少の大統領になるからだけではない。無効票・白票を合わせた「棄権投票率」が、Ipsosの調査で25.3%を記録したからだ。

■フランス大統領にマクロン しかし、これで安心するのは甘すぎる

異例が続いたリーダー選びは、最大のどんでん返しを封印したまま終わるが、フランスと欧州連合(EU)の危機が消えたわけではない。最長5年、先送りされただけである。

ルペンは嫌だがマクロンもねえ、という投票態度は、大統領選としては1969年に次ぐ低投票率(約75%)や、10%を超えた無効票にも表れた。

そして極右支持のハードルは確実に低くなった。ルペンの父がシラク大統領と戦った2002年の大統領選と比べ、ルペンの得票率は倍近く、1000万を超す国民がFNに託したのだ。

■エマニュエル・マクロン氏勝利で、今後のフランスはどうなる?

約4700万の有効票のうち、4400万まで集計した結果、マクロン氏は得票率65.31%を獲得したと、フランス内務省は7日夜発表した。白票や無効票は12.5%となり、25%近くが棄権した。

最も差し迫った課題は、6月に迫った国民議会(下院)選挙でマクロン支持派が過半数の議席を獲得することだ。 マクロン氏は、左派の社会党、右派の共和党という既成政党を相手に何百もの議席を獲得しなければならない。議席の獲得に失敗すれば、フランス国民に約束した改革の実現は、極めて困難となる。

■フランス大統領選挙決選投票結果

候補者         得票数(票)  絶対得票率(%) 相対得票率(%)
エマニュエル・マクロン  20 753 798    43.63       66.10
マリーヌ・ル・ペン    10 644 118    22.38       33.90

有権者 47 568 588
棄権  12 101 416 (25.44%)
投票  35 467 172 (74.56%)
有効票 31 397 916(66.01%)

■フランス史上最年少の大統領 国民の融和が課題に

マクロン氏は「世界はフランスが自由を守ることを期待している。EUを立て直すために大きな役割を果たさなければならない」と述べ、EUとの関係を強化していく考えを示しました。しかし、選挙で敗北したルペン氏も極右政党の候補としてはこれまでで最も多い票を獲得し、EUや移民政策に対する国民の強い不満を反映したかたちとなりました。

また、労働者や若者の間では、マクロン氏が現在のオランド政権の経済相として自由競争を推進してきたことに不信感が根強く、7日から8日にかけてパリなど少なくとも8つの都市でマクロン氏に抗議するデモが行われ、一部が警察と衝突する事態にも発展しました。

強大な権限をもつ大統領も、安定した政権運営ができるかどうかは議会多数派との関係が重要な鍵を握っています。

フランスでは大統領選挙の翌月に、議会下院に当たる定数577議席の国民議会の選挙が行われ、新しい議会の多数派から首相が選ばれ、内閣が形成されるのが通例です。過去には、大統領の出身母体と議会の多数派が別の政党になる「ねじれ」が生じ、「コアビタシオン」とよばれる保革共存政権が生まれたこともありました。

List    投稿者 dairinin | 2017-05-11 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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