ロシアのコロナウイルス問題その後、世界で10位の感染者数まで上昇
前々回、「ロシアでコロナウイルス感染者が激増、日本を追い越し今も増加中。」とお伝えしましたが、日本ではあまりロシアの状況が報道されないため、その後の状況を調べてみました。ロシアはコロナウイルスを抑えることはできるでしょうか。
前回の投稿では、4月4日に感染者数が4,231人だったロシアですが、最新のデータである4月20日は4万7121人と10倍を超えています。ちなみに4月1日には2777人でしたから20日間で約17倍に増えたことになります。
ロシアでは、3月26日に1週間を非労働期間にするとし、国民に自宅にとどまるよう呼び掛けましたが、感染拡大は止まらず4月2日に非労働期間を4月5日から30日まで延長、以降はデジタルパスや携帯電話による監視を行っていますが、拡大の勢いは止まらないようです。世界の感染者数でもロシアは10位まで上昇してきました。
一方で、新たな感染者数が4月19日の6000人超から、4月20日には4268人と鈍化しており、プーチン大統領は「罹患率のピークはまだ来ていない」と言っているそうですが、収束も視野に入ってきた感じもあります。
もし、ロシアが感染のピークに達したとすると、3月26日に非労働期間に入ってからピークに到達するまで24日だったことになります。同じ期間をかけてゼロに近づくと想定すると48日、約1か月半となります。
中国が都市封鎖から解除までに2か月半を要しましたが、実は最後の1か月は感染者の増加は抑えられており中国は実質1か月半で収束しいています。ロシアもほぼ同じ道をたどっているのかもしれません。
■出禁止令が出ても快適なロシア・モスクワ生活2020年4月16
4月1日にはロシアの感染者の数は、日本の感染者の数を上回りました。4月2日に改めて演説を行い、非労働期間は、4月30日まで延長となりました。特に、モスクワの感染者が突出していて、モスクワの感染者だけで日本の感染者数を上回っているくらいです。プーチン大統領は、まだまだ感染者が増えると予想していて、コロナウイルス専用の病院をモスクワだけでなく、他の都市にもどんどん建設しています。
モスクワ市は、プーチン大統領の命令とは別に、さらに厳しい外出禁止の条件が出ています。4月15日からは、仕事、病院、外出する場合は、デジタルパスというものを持って出かけないとなりません。それを持っていないと罰金となります。
非労働期間と言っても、スーパーなど最低限生活に必要なお店が開いているので、買い占めも起こらず、冷静に買い物をしている人が多いです。市民が自宅にとどまっているかどうかも、スマートフォンのGPS機能を使って監視が始まりました。公園などもすべて封鎖され、アパート前のベンチや公園もこのような感じで赤いテープが貼られています。
さて、自宅での過ごし方ですが、普段からオンラインシステムが進んでいるロシアなので、劇場はすぐにオンラインでのコンサートを開始しました。自宅にいて無料でコンサートを楽しめるということで、私はかなり観ました。ボリショイ劇場の配信は、時差があるにも関わらず世界中からリアルタイムで観ていて、チャットで多言語が飛び交っていました。劇場だけでなく、美術館もオンラインで見られるところが結構あります。
だんだんロシアでの感染者が増えてきていた3月22日に、ロシアはイタリアへ軍の派遣をしました。さらに3月31日には、アメリカが医療器具不足になっているということで、医療器具を乗せた飛行機もニューヨークへ飛びました。3月31日といえば、ロシアの1日の感染者が500人を超えた日で、今後も感染者がどんどん増える時期の出来事です。これがロシア人の心です。コロナウイルスが終息したら、ロシアの食事、文化、ロシア人の心を味わいにぜひロシアへいらしてください。
■ロシア帰りの中国人、感染者急増 国境の「抜け道」使う2020年4月17日
ロシアから帰国した中国人の新型コロナウイルスへの感染例が相次ぎ、4月だけでも500人以上も確認された。ロシアでは感染者が急増しており、中国側が神経をとがらせている。ロシア政府の発表によると国内の感染者は4月に入って急速に増え始め、14日には5日前から倍増し2万人を超えた。モスクワでは9日以降、連日1千人以上の新たな感染者が確認されている。
■プーチン、声を荒げて地方の代表たちに喝!2020年4月18日
感染者が3万人を超え、死者数は273人となったロシア(4月17日時点)。首都モスクワだけでなく、地方での感染が広まりつつあった4月13日、プーチン大統領は、厳しさを増す新型コロナウイルスとの闘いに向けて会議を開いた。「コメルサント」の記者アンドレイ・コレスニコフは、この会議を「前例のない厳しさだった」と指摘する。普段はあまり表情を変えることのないプーチン大統領は、感情をあらわに「犯罪的な職務怠慢」という表現を使って現状への不満を強い口調で告げた。
「状況は実際、日々変わっている。それも残念なことに好転してはいない。罹患者の数は増え続けているし、重症化するケースもますます増えている。多くの点で、ここ数週間が決定的な時期になると、私はすでに何度も言ってきた」プーチン大統領は、正確なデータとそれに基づいた客観的な予測が不可欠で、さらに、それを毎日きちんと自分に報告するよう強調した。
■ロシア、感染急増 4万2000人超、実態深刻か―新型コロナ2020年4月20日
ロシアで新型コロナウイルスの感染者が急増している。3月末に約2300人だった感染者は19日までに4万2853人に増え、死者は361人に達した。中国でもロシアからの帰国者の感染が多数報告されており、ロシアの実態は公式発表より深刻な可能性がある。
プーチン氏は17日、地方知事らとのテレビ会議で「(感染)拡大のリスクは非常に高い。ピークには達しておらず、感染者数は増えるだろう」と述べ、対策に万全を期すよう求めた。
■露で感染者急増、約3週間で17倍に…「非労働」全土実施でも歯止めかからず2020年4月20日
ロシアで新型コロナウイルスの感染者数が4月に入って急増している。露政府によると、今月1日に2777人だった感染者数は20日、4万7121人に達し、約17倍に増えた。露保健当局の20日の発表によると、感染者数は19日から4268人増えた。20日までの累計死者数は405人となっている。感染者数が全体の半数以上を占めるモスクワ市(2万6350人)では、罰則付きの外出禁止措置を3月末から実施しており、22日からは監視カメラを使った違反摘発を強化する方針を打ち出している。
プーチン氏は20日、対策を検討するテレビ会議では「感染のピークに届いていない」と対処の困難さも率直に認めており、拡大防止に苦戦しているのが現実だ。
■プーチン政権にダブルパンチ 原油暴落と新型コロナ ロシア2020年4月21日
ロシアは国家予算の35%程度を石油・天然ガス関連の歳入に依存。2020年予算は1バレル=42.4ドルを前提に組まれている。欧米の制裁などで経済が停滞するロシアは今年、プーチン大統領が経済回復のカギと位置付ける大型国家事業を進める計画だった。しかし、油価暴落でこうした計画の遂行も困難になりそうだ。プーチン氏の求心力低下にもつながりかねない状況だ。
■モスクワ病院前に救急車が70台以上行列「死ぬためにも順番を守る必要がある」2020年4月20日
モスクワの病院にはキャパシティーを大幅に上回る数の患者が大量に流入。救急隊員が撮影したビデオによると、病院までの一本道に列を作る救急車の数は実に70台以上。一向に前に進まない状況に、運転手は患者を乗せたまま救急車を降り、天を仰いでいた。モスクワの病院では患者の急増でベッドが足りず、新規の受け入れを停止する病院もあり、救急医療体制は崩壊してしまったようだ。
プーチン大統領は状況が日々悪化していることを認め、危機感をあらわにした。
■ロシア、新型コロナの感染鈍化 プーチン氏「ピークまだ」と警告2020年4月21日
ロシアで20日に確認された新型コロナウイルスの新たな感染者数は4268人と、前日の6000人超から鈍化した。ただ、プーチン大統領はピークにはまだ達していないと警鐘を鳴らした。
ロシアの感染者数は累計で4万7000人超。20日に確認された新たな死者数は44人で、累計405人に達した。プーチン大統領は20日、当局者らとのテレビ会議で、措置実施にもかかわらずモスクワから80地域以上に感染が拡大したと指摘。感染拡大のペースを鈍らせたことを評価しつつも、「罹患率のピークはまだ来ていない」と述べた。
■各国・地域における新型コロナウイルスの感染状況 2020年4月21日
世界の感染者数、まで上昇、1位はアメリカ77.3万人、2位はスペイン20万人、3位イタリア18.1万人、4位ドイツ14.1万人、5位イギリス12.4万人と続きます。ちなみにロシアの次は4万人のブラジル、日本は1.1万人で23位、韓国が1万人で24位と続きます。
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