2019-09-12

反グローバリズムの潮流(イタリアで親EU政権が成立したのは、国民の反EU 感情が高まった結果)

 

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以前の投稿、反グローバリズムの潮流(イタリアの反EU連立政権崩壊は何を意味しているのか)では、連立政権崩壊の原因を、EUを維持しようとする勢力が、イタリアの反EU勢力を弱体化させるために仕組んだ動きであり、イタリアの反EU勢力がEU市場の魅力を捨てでも自国の主権を優先すると腹をくくれなかったために付け込まれたと分析しました。その後の、動向を調べてみました。

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政権崩壊に伴い、解散総選挙に進むかと思われましたが、コンテ首相は五つ星運動と、対立していた民主党の連立政権を実現させてしまいました。もともと、五つ星運動が政権を取った時は、民主党打倒を目標に掲げていました。そこまで否定していた政党となぜ連立が成立したのでしょうか。

同盟のサルビーニ党首が政権を崩壊させた最大の理由は、イタリアの経済を再生するためには、EUの規制を大幅に上回る国債を発行して財政出動を実施する必要があると考えたためでした。そして、反EU政策に対する国民の支持は非常に高く、解散総選挙になれば勝てる見込みがあったからです。

逆に言えば、五つ星運動と民主党が連立政権を組んだのも、このまま解散総選挙に進めば、両党とも、同盟に勝てないと判断したからでしょう。この連立政権樹立の動きは、イタリア国内で大衆的な反EUの意識がどんどん高まってきている事を証明していると言えます。

そしてEU自身も危機感を強めています。イタリアの新政権樹立を受けて、EUにも、これまでの厳格な財政ルール見直す動きが出ています。イタリアは強硬な反EU政権樹立の一歩手前まで進み、イギリスも合意なき離脱に突き進む寸前。そしてドイツ政府も、深刻な景気の減速に財政支出拡大で対応する意向を隠さなくなってきており、域内の景気減速や、金融緩和に限界が近づいているように見える状況です。

イタリアで反EU政権が崩壊し、親EU政権が樹立されたのは、親EU派の工作が成功したからとも言えますが、一方でEUもこのままではEUが崩壊すると言う瀬戸際まで追い詰められ、ぎりぎりの攻防戦を繰り広げている状況とも言えます。そして、EUの財政ルールを少し見直す程度で、イタリアひいてはEU全体の問題が解決するとも思えず、遠からず大衆の不満が爆発する事になりそうです。

 

■イタリア、与党と最大野党が連立合意 コンテ首相続投へ2019年8月29日

イタリアで、中道左派「民主党とポピュリスト政党「五つ星運動」が28日、新たな連立政権を樹立することで合意した。20日に辞表を提出していたジュゼッペ・コンテ首相について、両政党は、次期首相に推すことで合意した。連立政権は、次期総選挙が開かれる2023年まで続くこととなる。

「サルヴィーニを止めろ」という共通の目的により、いまや5つ星運動とPDは新連立政権を樹立することとなる。

■イタリアのコンテ氏、まさかの政敵同士をまとめて新政権発足へ 2019年9月2日

コンテ氏は2018年5月にポピュリスト政権の首相として担ぎ上げられる以前はほぼ無名の法学教授だった。今回は、既存勢力の打倒を掲げる政党「五つ星運動」と手強い政敵、中道左派の民主党(PD)をまとめて連立政権にこぎ着ける手腕を見せた。五つ星とPDによる新政府は、前政権と比べて欧州連合(EU)との摩擦が少なくなるとの見通しによってイタリア国債利回りは先週、過去最低を更新した。

■イタリア、中道左派と連立政権 政策の不一致、危うさも2019年9月5日

イタリア上下両院は今後、発足した第2次コンテ内閣に対する信任投票を実施する。五つ星と民主党の合計議席は下院では過半数を確保。上院ではわずかに過半数に届かないために少数左派政党「自由と平等」を入閣させることで、信任を得る見通しだ。

閣僚は、五つ星から10人、民主党から9人、自由と平等から1人、専門家1人という構成となった。五つ星を率いるディマイオ氏は外相に就き、経済財務相には、民主党所属で、欧州議会の経済金融問題委員会のロベルト・グアルティエリ委員長が就いた。

イタリアはユーロ圏3位の経済大国でありながら、政府債務残高が国内総生産(GDP)比で約130%と高水準にある。グアルティエリ氏は、欧州連合(EU)の財政規律に沿った来年度予算の編成という重責を担うことになる。

両党は「総選挙回避」という共通点の下に政敵同士が政策の違いを乗り越えて手を結んだ形で、政策の不一致による不和が政権内に生じれば、連立政権が再び破綻し短命で終わる可能性は否定できない。

■伊首相、「EUと融和」表明 前政権の方針見直し2019年9月9日

再任されたイタリアのコンテ首相は9日、議会で所信表明演説を行い、欧州連合(EU)との衝突を繰り返した前政権の方針を見直し、より融和的な立場を取っていくと述べた。

コンテ氏は同時に、EU側が求める財政規律や移民受け入れに関するルールについて、引き続き改革を求めていくとの考えも示した。

■イタリア新連立政権、議会が信任 2019年9月11日

イタリアの議会上院(定数315、終身議員を除く)は10日、コンテ首相が率いる新政権に対する信任投票を行い、可決した。賛成169票、反対は133票だった。

イタリアは10月に欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会に予算案を提出する必要がある。新政府は20年に予定される付加価値税(消費税に相当)引き上げを回避する方針で、代替財源の確保などが課題となる。EUとイタリアは財政運営を巡って衝突してきただけに、EUとの協調を重視する新政権が作る予算案への注目度は高い。

■イタリア新政権、来年の赤字比率引き上げへ2019年9月11日

イタリア新政権が来年の財政赤字目標の対国内総生産(GDP)比率を2.3%前後に引き上げる意向であることが関係筋の話で明らかになった。こうした動きで欧州連合(EU)との摩擦が再び高まる恐れがある。19年の財政赤字の対GDP比率については、前政権が2カ月にEUとの協議の末、当初の2.4%から2.04%に引き下げることで合意。現時点で20年の目標は2.1%となっている。

■EUが厳格な財政ルール見直す動き、景気減速や金融緩和の限界で2019年9月11日

欧州連合(EU)は、域内の景気減速や、金融緩和に限界が近づいているように見える状況を踏まえ、厳格な財政ルールの見直しに動きつつある。EUの内部文書や複数の高官への取材で明らかになった。

議長国フィンランドは、14日にヘルシンキで開くEU財務相会合で議論するために9日付で文書を策定したという。ロイターが内容を確認したところでは「当初のルールは域内の健全かつ持続可能な財政を確保するというのが唯一の目的だったが、一部からは財政政策が経済の安定化に果たす役割をより重視するべきだとの意見が出ている」と記されている。

さらに欧州経済のエンジン役のドイツが景気後退の瀬戸際にある点からも、これまでのように安定・成長協定を後生大事に守っているだけで良いのかが問われるかもしれない。ドイツ政府も、深刻な景気の減速に財政支出拡大で対応する意向を隠さなくなってきた。

EUが財政を緩める方向にある証拠として、フォンデアライエン次期欧州委員長が10日、イタリアの左派政治家で元首相のパオロ・ジェンティローニ氏を経済担当の欧州委員に起用する案を発表したことを挙げる向きもある。

■伊首相、EU財政規律の柔軟な適用要請 新政権発足後初会談2019年9月12日

イタリアのコンテ首相は11日、訪問先のブリュッセルでフォンデアライエン次期欧州委員長と会談し、イタリアがより長い時間をかけて債務削減に取り組めるよう要請した。イタリア政府が長期的な視野で改革を実行できるよう、EUとの協定を求めていることも明らかにした。これにはEU財政規律のより柔軟な解釈が必要になる可能性がある。

List    投稿者 dairinin | 2019-09-12 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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