SPC(特別目的会社)のカラクリ ・・・ 世界規模の脱税!?
オオモリです。引き続き、タックスヘイブン関連で、今回はSPC(特別目的会社)のカラクリについて書いてみます。
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SPC(特別目的会社)やSPV(特別目的体)は、普通に仕事をしていてもよく耳にする、いまや身近な存在になりつつあります。
ネットで調べると日本では
特定の資産を裏付けとした有価証券を発行するためだけに設立された法人で、不動産証券化のために活用される一種のペーパーカンパニー。任意組合、匿名組合などと並ぶSPV(特別目的事業体)のひとつ。従来の商法上のSPC(株式会社や有限会社)を「特別目的会社」、資産流動化法上のSPCを「特定目的会社(TMK)」と区別して表記する場合もある。
ということになっています。なんかよくわかりませんね。
「特定の資産ってなに?」「有価証券を発行するメリットは?」
このあたりが疑問として浮かんできます。
さらに調べてみると、
SPC(特定目的会社 Special Purpose Company)は、SPC法によって設立が認められた不動産証券化のための特別組織です。
オリジネーター(元々の不動産の所有者)が不動産を証券化するに当たっては、まずその不動産をSPCに譲渡し、SPCが証券を発行することで一般投資家から資金を調達し、これを売買代金としてオリジネーターに戻すという手順で証券化が行われます。
そして、SPCは証券化された不動産の管理を管理会社に委託して、賃料収入などから投資家に配当することになります。
という記述がありました。
つまり、SPCを設立した会社にとって、
特定の資産 = 元々の不動産の所有者から譲渡された不動産
有価証券を発行するメリット = 賃料収入などから投資家に配当する分を除いた儲け
ということですね。
資金調達の手法の違いはありますが、「証券」を「株式」と読み替えれば、株式会社のやってることと同じなようです。
では、なんでSPCを介在させるのか?
というのが次の疑問です。
最近のSPCはタックスヘイブンに設立されることが多くなりつつあるようです。
ここに、なにかメリットがあるのではないでしょうか?
「タックスヘイブン〜グローバル経済を動かす闇のシステム」にはこう書いてあります。(文中の「これらの会社とはSPCやSPVのことです。)
これらの会社は、もともとは大企業がリスク管理用のための−たとえば巨大プロジェクトへの融資といった場合のための−“道具”としてつくった子会社である。
これらの会社は、経済学者からは主として破産コスト(倒産危険性のある多額債務に要する経費)を削減するためのものと見なされているが、そこに会計監査上の弱点がいくつかあるために、別の利用の仕方が可能となったのである。
これらの会社の第一の特徴は、三つの大きな機能を担っているということである。
まず、個人や企業の所在地を変えること、そして、複雑な隠匿網をつくること。その最終目標はつねに同じで、要するに、一般に非合法とされている取引に合法的なベールをかぶせることである。
この機能を実現するため、タックスヘイブンには、次のような“道具”があるようです。
【インターナショナル・ビジネス・コーポレーション】
IBC=日本ではオフショア会社、オフショアカンパニーと呼ばれることが多い。
タックスヘイブンに設立された現地法人は、資金を集めること(その中には国際的な大金融市場における株式や債券の発行も含まれる)を可能にする企業である。
そしてこの企業は、通常、その利潤や資本利得に対するいかなる課税からも免れているうえに、各々のタックスヘイブンはそれぞれに条件を定めてはいるが、定期的に会計データを出す義務もまったくない。
・・・中略・・・
IBCはまた、財産の所有権をIBCに移転することによって、裁判などで簡単に財産の差し押さえや没収などができないように保全をしたり、金融市場での取引を組織的に行なうための法的手続きにも利用されている。その数は世界中におよそ200万くらいあると推定されていて、年に10〜15%の割合で増加している。
【オフショア・ファウンデーション】
ファウンデーション(財団)には、所有者、または株主といったものは存在しない。ファウンデーションは財産を管理するために設立されるもので、その収入はファウンデーションが申告した明確な目的のためだけに使われるものとされている。
しかし、オフショアにプライベート・ファウンデーションを設立した場合、多くの先進国と異なり投資活動が認められており、非常に自由な経済活動基盤を得ることができる。
そしてもちろん課税されない。
さらに本名を出すことなく設立可能であり、その公的文書のどこにも本名は記載されない。
【オフショア・トラスト】
トラスト(信託)というのは、自分の財産を他人の名義として預かってもらい、管理してもらう仕組みである。つまり委託者の資産を、法的な所有者だけを受託者に移し、委託者は経済的利用権を持ち続けるというもの。これは個人または法人の2者のあいだで結ばれる契約のみで成立する。その場合、IBCとは異なり、いわゆる登記の手続きはいらない。
・・・中略・・・
これは脱税するために好んで使われる方法で、また、債権者や別れた妻の目から財産を隠すのに使われたりする。
これはすでに1920年代から、イギリスのチャネル諸島やスイスで実践されていた方法だが、1960年代以降、爆発的に発展した。資産がひとたびオフショアのトラストに移されたら、その行方を追跡するのは極めて困難になる。仮に資産の所在が突きとめられても、それを本国に取り返すには多大の時間とお金が必要とされる。
タックスヘイブンでは、このような様々な“特典”が得られます。
投資する側から見ると、魅力的に思えるのは無理もありません。
それどころか、これを利用しないことなどありえないと考えてもおかしくないでしょう。
しかしながら、これは世界規模の脱税行為です。
本来、国に納税されるお金はどこに行っているのでしょうか?
モヤモヤ感が残ります。
次回、引き続き扱っていきたいと思います。
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コメント4件
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