2009-10-27

ドルに代わる通貨システムは?〜3.「戦争屋」の経済戦略は“ドル軟着陸”と“日本外し”?

Fred%20Bergstein.jpg今回の記事では、前回記事に続き、次の国際通貨候補と目されるSDRを発行するIMFの実権を握るのは誰か?というテーマでアップする予定だったが、10月25日の朝日新聞に米国経済界の重鎮、ピーターソン国際経済研究所所長のフレッド・バーグステン(左の写真)のインタビュー記事が掲載されたので、まずはこれを紹介したい。今後の米国金融寡頭勢力の世界経済戦略および通貨戦略、とりわけ“戦争屋”の意向を読み解く上で重要だと思われるからだ。
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ピーターソン国際経済研究所とは、85年にCFR(外交問題評議会)の会長を務め、その後リーマン・ブラザーズの会長になったピーター・ピーターソンの名をとった経済シンクタンクで、“戦争屋”デヴィッド・ロックフェラーが理事を務める。また、竹中平蔵が客員研究員として米国の国際金融資本の意向を叩き込まれた機関でもあり、フレッド・バーグステンは竹中のアメリカ時代の上司に当たる人物だ。即ち、朝日新聞のバーグステンのインタビューは、ブッシュ前大統領とともに小泉・竹中を動かして、構造改革という日本破壊を仕掛けた“戦争屋”からの最新のプロパガンダである。

asahi.comより(赤文字は引用者による)
 【ワシントン=尾形聡彦】世界的にドル安傾向が強まるなかで、米国でドルの基軸通貨体制の今後の方向性を巡る議論が高まっている。米政権とのかかわりが深い、米有力シンクタンク「ピーターソン国際経済研究所(PIIE)」のフレッド・バーグステン所長(68)は朝日新聞のインタビューで「米ドルの基軸通貨体制はもはや米国の国益に沿わない」と指摘し、米ドルの支配的な役割を徐々に下げるべきだと提言した。
 今後、20年ほどかけて「米ドルと欧州の単一通貨ユーロの2極体制に移行する」との見方を示すとともに、アジア各国が対ドルへの自国通貨切り上げで政策協調する「アジア版プラザ合意」を求めた。
     ◇
 ——米ドルの地位を次第に低下させる必要性を説いていますね。なぜですか。
 「国際通貨システムで米ドルが支配的な地位を占めていることは、米国の国益に沿わなくなっている。理由は二つある。まず貿易赤字の拡大につながる。世界からの米国への貸し出しが突然止まれば、ドルは暴落する。巨額の資本流入は低金利や過剰流動性をもたらし、現在のような経済危機につながってしまう」
 「第二に、米国が自らの為替レートを制御することが困難だ。輸出競争力を高めるため、自国通貨を弱めるための(ドル買い)介入を行うと、米ドルは過剰に高くなってしまう」
 ——ドル・ユーロの2極体制になるのでしょうか。
 「現在は(世界の外貨準備に占める割合は)ドルが65%、ユーロが25%だが、10〜20年先にはともに40〜50%を占めるかもしれない。約100年続いたドルの時代が、10〜20年でユーロとの2極体制に進化するのではないか
 ——ただ、米政権は「強いドルが米国の利益だ」と言い続けています。
 「彼らが恐れているのは、ドルの価値が急激に落ちることだ。『強いドル』の定義はなく、財務長官が言わなくてはいけない『公式なレトリック(修辞法)』にすぎない」
 ——米政権は、強いドル政策を実質的に放棄しているのでは。米国は輸出主導型の景気回復を目指していて、そのためドル安は不可避です。
 「その指摘は正しい。米政権が世界経済の不均衡の是正や、輸出主導型の景気回復を目指すなら、競争力のあるドルの交換レートが必要だからだ。我々の計算では、人民元や、いくつかのアジア通貨はドルに対して切り上げが必要だ。日本円に対しては、それほど必要ない
 ——ただ、中国は実質的に1年以上人民元の切り上げをしていません。アジア諸国も輸出競争力を気にしてドル買い介入を実施しています。
 「その通り。中国こそが一番大きなずれをもたらしている。韓国やマレーシアなどアジア各国もドルに対し人民元が切り上がらなければ、自国通貨切り上げは難しい。中国も人民元切り上げは、他国が同調しなければ困難だ」
 「アジア各国は共通の為替相場政策を追求すべきだ。為替政策面での連携が賢明な選択で、アジア版の『プラザ合意』(1985年に主要国が、ドル安を進めることで一致した合意)だ。各国が為替政策の永続的な連携や、『2〜3年で2割の切り上げ』などの合意をしてもいい」
 ——米中(G2)時代の必要性を指摘していますね。
 「私が『G2』を提唱しているのは、気候変動でも国際通貨でも、米中が合意できれば、国際合意にできる可能性がずっと高まるからだ」
 ——米欧日中のG4の形成を目指す動きもあります。
 「日本を含めるか否かは、難しい問題だ。理想は、米中と欧州のG3だ。日本は人口減や過去20年の経済成長の弱さを考えれば、G3ほど強い経済ではない。ただ、欧州も政治的に一枚岩になれない弱さがある。だからG2を拡大する場合は、G4か、インドも加えたG5だろう」
 ——鳩山政権への期待は。
 「日本は依然として貿易黒字に過剰に依存しており、不均衡を是正する必要がある。さらに非常に大事なのは、人口減少を補う生産性の向上だ。さらなる改革と、市場志向の戦略が必要だ。私は、現政権が違う方向に向かっているかもしれないと懸念している

民主党政権が小泉・竹中改革の巻き戻しを図っているため、恫喝なのか本気なのか、戦争屋代表の経済ブレインは今後の世界経済の中心から「日本は外れる」と発言している。
国際通貨体制については、米政権を含め、ドルの下落はもはや世界的な既定路線だ(世銀のゼーリックの発言からもそれは見て取れる)。ドルに代わる体制について、バーグステインは今年4月、中国の周小川人民銀行総裁が提唱した「SDRの基軸通貨化」は傾聴に値するとの発言をしていた。しかし、今回は、ドル・ユーロの2極体制になるだろうと言い、SDRのような新たな国際基軸通貨やアジア共通通貨などの地域通貨の創設には言及していない(アジア共通通貨に関しては、以前の別のインタビューでは否定的な発言をしている)。この変化は、戦争屋勢力がこの半年で、IMFの主導権争いに敗れたことを示しているのではないか?という裏読みもできなくはない。
バーグステン所長に歩を合わせるように、朝日記事の5日前、フィナンシャル・タイムズ紙で同じピーターソン国際経済研究所のエコノミストが、「他国・地域での使用や導入に自ら制限をかけているユーロは、よりグローバルな役割を自覚すべきである」といったユーロへの提言記事を投稿している。
上記のインタビュー等の情報から現在の戦争屋の世界経済戦略を読み取るとすれば、市場としては中国やインドの新興国を含む多極型に徐々に移行しつつ、国際通貨システムは自らの支配権の及びやすいドルとユーロの2極体制に舵を切り、根を生やした米国経済を軟着陸・復活させながら世界経済のイニシアチブを握る、といったあたりではないだろうか。

List    投稿者 s.tanaka | 2009-10-27 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨6 Comments » 

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コメント6件

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