2020-09-08

過激化する中国、習近平総書記に何が起こっているのか。

t_c6wi2l0cfom8nxvzo9r7前回の投稿では、米中間の貿易戦争が経済対立から覇権争いに、対立がエスカレートしていることをお伝えしました。これまでは、どちらかと言えばトランプ大統領の自国主義の勝手な振る舞いが目立っていましたが、最近は中国の行動も攻撃的になってきている印象があります。中国の状況を調べてみました。

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中国の過激な行動の出発点になったのが、6月末に施行された香港の国家安全維持法です。法律が成立しただけでもアメリカ、ヨーロッパなど国際社会の大きな反発を買っているにもかかわらず、その後、次々と反対運動の参加者を逮捕していきます。

そして、インドとの間の国境紛争では銃器こそ使わなかったものの死者を出し、台湾を訪れたチェコ政府を攻撃、さらにはコロナウイルスの調査を行うと発表したオーストラリアとも泥沼の対立状況。南沙諸島の問題でもベトナムとの対立を深めています。

なぜ、中国はここまで過激化したのか。時期的には、明らかにコロナ問題以降にこの動きは始まっています。対外的に過激になる要因は国内の統合が危うくなってきているからでしょう。コロナ問題以降に国内の統合が危うくなる何かが中国で起こているようです。

中国はコロナ問題を克服して経済は回復に向かっていると発表していますが、であれば、ここまで過激する必要はなさそうです。中国経済は輸出に頼っていますので世界経済が回復しない以上、中国経済が回復できるはずはありません。さらに、一体一路で拡大したアフリカなどの途上国への融資がコロナ問題で大きく焦げ付いている可能性が高そうです。

習近平総書記の権力の源泉は経済的な成功でした。中国をアメリカに次ぐ世界第2位の経済大国、いずれアメリカを抜くことも可能という所までに成長させたことでした。その経済が崩壊するようなことになれば、習近平氏の失脚だけではなく、共産党支配体制の崩壊までつながりかねません。習近平総書記と中国共産党はまさにその危機に直面している可能性が高そうです。

今の中国を見ていると、バブル崩壊のころの日本を思い出します。あのころの日本は、まさにアメリカに次ぐ経済大国に成長し、アメリカの象徴ともいえるロックフェラービルを日本企業が買収するなど、いつかアメリカを追い越す勢いでした。しかし、その後のバブル崩壊で日本の主要企業も、国家も完全に世界金融資本の支配下に組み込まれてしまいました。中国も、今まさに世界金融資本の攻撃を受けて、崩壊に向かう危機的な状況に置かれているのかもしれません。

 

■長老たちが習近平をつるし上げた……中国の“みんな敵に回す”外交姿勢に批判2020817

中国政府が沖縄県の尖閣諸島を含む東シナ海周辺での「漁」を3か月ぶりに解禁したなか、漁師らに対して中国政府から「尖閣周辺では操業をしないよう」に指示をしたという報道を受けて、中国問題に詳しい評論家の石平(せき へい)氏が解説した。

7月下旬から8月上旬にかけて『北戴河会議』が行われたことによるもの」と説明。北戴河とは中国の有名な避暑地で、そこに中国共産党指導部や旧指導部の長老たちが集まって行われるものが『北戴河会議』。「今年の北戴河会議では、習近平のやり方を良く思っていない現指導部と胡錦涛や温家宝らの長老たちが、習近平をつるし上げ、対米関係の改善を求めた。その結果、アメリカに対しては融和政策をとっていくようだ」「アメリカとの関係が徹底的に悪化すると、長老たちの親族がアメリカに持っている資産・財産が凍結されてしまうことを恐れている。だから長老たちも必死」

「中国は、ここにきてインドの国境紛争地帯ではインド領内に施設を建設したり、南シナ海では、岩礁を埋め立てて滑走路を作ったり、先日の香港では国家安全維持法で一国二制度を廃止する方向に舵をとることをはっきりさせたりと、いったい中国では何が起きているんですか!?」

伝統的な外交戦略からするとはっきり言ってあり得ない話。中国というのは昔は外交上手だった。どこかの国とけんかするときは周辺の国と仲良くしていた。今の習近平のやり方は、みんな敵にしてしまう。だから北戴河会議では彼の外交姿勢が批判を浴びた」

 ■中国が南シナ海に爆撃機を配備、ベトナム外務省「領有権侵害」2020824

ベトナムが領有権を主張する南シナ海の海域に中国軍が爆撃機を配備し軍事演習を実施したことについて、外務省のレ・ティ・トゥー・ハン報道官は20日午後に開かれた同省の定例記者会見で、「ベトナムの領有権を侵害し、南シナ海問題を複雑化させる行為」として抗議した。

ハン報道官は、ホアンサ諸島とチュオンサ諸島(英名:スプラトリー諸島、中国名:南沙諸島)の領有権は法的根拠および歴史的根拠から見てもベトナムにあり、議論の余地がないことを改めて主張した上で、軍事演習はベトナムの領有権を著しく侵害したとして強く抗議した。

■なぜ中国は香港問題で世界中に“敵”を作ったのか。「戦う狼」はいま、嘘を本当にするため焦っている。202092

中国の強気な外交が止まらない。ファーウェイの問題などでアメリカと正面と対立し、南シナ海には弾道ミサイルを発射。世界のあらゆる方面へ強硬姿勢を見せている。その象徴が6月末に施行された香港の国家安全維持法だ。アメリカはもちろん、経済的な利益を優先してきた欧州も強く反発したが「内政干渉だ」として一顧だにしない。

アメリカのトランプ大統領は免税などの優遇措置を廃止する大統領令に署名したほか、イギリスやカナダなども、香港との犯罪人の引き渡し協定を停止した。中国は、海外からの抗議の声は「内政干渉」とはねのけ、制裁には制裁で応じる「戦狼(せんろう)外交」を徹底している。

中国の“戦狼”が顕著になったのはコロナの後ですが、感染が発覚した1月には隠蔽工作のために李文亮という医師が犠牲になり、中国のネットでも言論の自由が大事だというムーブメントが起きました。経済では第一四半期は-6.8%という前代未聞の成長率に陥った。当然犯人探しが始まります。そうすると欧米諸国が敵対的だと国民の視線をそらす必要が出てくると思います。

中国政府が外に敵を作る必要があるという仮説だが、本当にその必要があるかは疑問だ。何が起きているかは推測するしかありませんが、習近平自身が正念場を迎えているのではないでしょうか。2021年は共産党結党100年の節目。経済成長目標を達成しなくてはならないのに、そのシナリオが崩れている。加えて2022年には習近平の2期目が終わります。(任期を)続けることは可能でも、前例を大きく変えることになり、留任する大義名分を内外に示す必要がある。習近平をよく思わない人からすれば、引き摺り下ろすチャンスだと考える。北京の内部は緊張を迎えるタイミングではないか。

TikTokがインドでも禁止に。中国との対立がアジアで広がる意味202093

近年、中国の経済的影響力が世界に拡大するなか、それに対する反発や抵抗の声が強くなっている。前回の記事では、アフリカから聞こえる“反・一帯一路”の声について紹介したが、似たような状況にある国がパキスタンだ。

南西部バルチスタン州のカラチ市内にある証券取引所で20206月、武装集団によるテロ攻撃が発生。事件後、「バルチスタン解放軍」が犯行を認める声明を出し、今回の標的は「パキスタンの経済」だけでなく「(中国の搾取的な計画を受け)バルチスタン州における中国の経済的な利権」も攻撃対象としたと発表した。

またインドでも中国への反発がこれまで以上に高まっている。今年6月中旬、両国の国境地帯のラダック地方で両国軍が衝突し、多数のインド軍兵士が犠牲となった。死者が出るのは45年ぶりだという。インド政府は6月下旬、ウェイボー(Weibo)やTikTokなど中国企業が運営する59のアプリ使用を国内で禁止すると発表した。

■中国・習政権、外交戦略は“破綻寸前” 米国と対立激化!頼みの欧州も総スカン 問われるポスト安倍の対中姿勢202095

中国の習近平政権の外交戦略が破綻寸前だ。米トランプ政権と激しく対立するなか、欧州を味方につける狙いだったが、東欧のチェコが台湾と関係を強化し、フランスやイタリアは香港やウイグルの人権問題で中国を批判した。

「プラハの春」や「ビロード革命」など民主化運動で知られるチェコのビストルチル上院議長は台湾を公式訪問し、3日に蔡英文総統と会談した。欧州各国はチェコを擁護した。フランスの外務省報道官は「欧州連合(EU)加盟国への脅しは認められない」とチェコとの結束を訴え、ドイツのマース外相も「脅しは適切でない」とチェコを支持した。

台湾問題だけではない。王外相は欧州各国を歴訪し、経済力を武器に関係強化を狙ったが、マクロン仏大統領からは香港や新疆ウイグル自治区の人権状況を追及された。イタリアでも香港情勢に関し、「高いレベルでの自治と自由の保護は不可欠だ」(ディマイオ外相)と突きつけられるなど、中国への視線は厳しさを増している。

■いったい何が… 岐路に立つ中国の「一帯一路」202096

中国が主導する途上国向け国際金融機関「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)の第5回年次総会が728日開催された。今年は、中国が厳しい国際環境に置かれる中、習近平国家主席の演説が開催前から注目を集めていた。

演説は、いささかインパクトに乏しかった。途上国への新たな支援の枠組み、意気込みはおろか、肝心の「一帯一路」について、一言たりとも言及することがなかったのである。こうした情景は、鳴り物入りで喧伝されてきた「一帯一路」構想をめぐる国際的な雰囲気が変化し、環境が悪化したことを反映している。

受け手である途上国側の財務、経済環境が一段と悪化。各地で事業の破棄、延期、債務減免の声が上がり、トラブルに発展する事例も続いた。追い打ちを掛けたのが、対米関係のさらなる悪化だ。米政府は「一帯一路」構想を「借金づけ外交」と早くから非難し、5月に議会に提出した「対中戦略報告」でも、それを踏襲した。7月に入ると、バルト海をくぐりフィンランドと欧州をつなぐ、中国企業集団による世界最長の海底トンネル建設プロジェクトが中止に追い込まれた。

世界経済が混迷する中、財政基盤の劣悪な途上国を債務不履行の波が襲った場合、中国自身も深刻な返り血を浴びることは言うまでもない。自らも「債務のわな」に落ち込んでしまう構図である。最近の「一帯一路」は、新型コロナ対策も絡めた「健康シルクロード」といった民生傾斜の路線も目立つようになった。看板プロジェクトも、次なる転機を模索しているのである。

■中国雲南省で数十年で最悪のバッタ食害 食糧安保に影響も202096

中国南部の雲南省では過去数十年でも最悪のバッタによる食物被害(蝗害)に悩まされている。一本のトウモロコシに3040匹のトノサマバッタが張り付き、数分でトウモロコシの実や葉っぱが食いつくされてしまい、山の中の竹や木なども丸裸にされているという。このままでは雲南省や近隣の中国の農村部の穀物を食い尽くすことが懸念されている。

■中国のオーストラリア叩きは白人への復讐か202098

中国とオーストラリアの関係が泥沼化している。双方が引くに引けないチキンレースの様相だ。コロナウイルスが世界に蔓延した経緯にオーストラリア政府が疑問を呈し、正式な調査を開始したことに対して、中国は激しく反発している。

先週、スコット・モリソン首相は、外国政府と地方・州政府との協定が国益に反する場合、ビクトリア州が中国政府と協力して進めている「一帯一路」事業を破棄する新たな権限を発表し、オーストラリアと中国の間でますます緊張が高まっている。

オーストラリアとの関係が途絶えても、中国の製品や投資マネーが新しい市場と投資先を見つけることは難しくないだろう。しかし、オーストラリアが巨大な輸出市場や、高品質で安価な輸入品の供給元に関して、中国に取って代わるものを見つけることは容易ではない

オーストラリアの白人を侮辱するような言葉は、いずれヨーロッパと北米に対しても同様に、これからは白人国家ではない「新しいボス」が世界を動かすのだというメッセージを伝えるための布石かもしれない。

■「グアムキラー発射でアメリカを挑発」中国の軍拡路線が止まらない202098

826日、中国が中距離弾道ミサイル4発を南シナ海に撃ち込んだ。発射されたのは射程1500キロ以上の「東風(DF)21D」と、射程4000キロの「DF26B」。2つのミサイルはいずれも空母を攻撃できる対艦弾道弾である。とくにDF26は南シナ海だけでなくアメリカ軍の基地があるグアムも射程に入り、「グアムキラー」と呼ばれる。

中国の軍拡に、軍事的に歯止めを掛けられるのはアメリカしかいない。ここはアメリカの頑張りに期待したいところだ。

■習近平総書記、「中国人が決して承諾しない」を連発 国民と共産党の切り離しに「不安」を露わに202098

中国共産党の習近平総書記は93日、抗日戦争勝利記念75周年の座談会で、7月に中国共産党を批判したポンペオ米国務長官の発言を念頭に、「中国国民が絶対に承知しない」と反発した。習近平氏は「いかなる人も、いかなる勢力も、中国共産党と中国国民を切り離して対立させようとする企てに対して、中国人民は決して承諾しない!」などと強調した。

大紀元コメンテーター、田雲氏は、「習総書記の発言は、中国共産党が抱く強い恐怖を浮き彫りにした」との認識を示した。これは、「欧米各国による中国共産党への包囲網が一段と強まるという新たな国際情勢の中で、共産党政権を守れなくなるという恐怖だ」

「中国共産党は中国ではない」と公の場で複数回主張したポンペオ米国務長官は723日、演説を行い、再び中国共産党を批判した。長官は「中国共産党はいつもうそをついている。彼らが言った最大のうそは、共産党が中国14億人の人民を代表しているということだ。しかし、14億人の中国国民は共産党に監視、抑制されて、発言ができなくなっている」などと述べた。

中国共産党は、中国人を欺瞞することで政権を奪取した。中国国民全員が共産党の本質を認識し、党に抵抗し始めれば、共産党は統治の正当性を失うことになり、同時に国際社会で傍若無人に振る舞うこともできなくなる。

List    投稿者 dairinin | 2020-09-08 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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