2023-03-11

『見えない戦争~物価高騰のカラクリの構造を読み解く(前偏)~』

前回までは、インフレの構造から現在起こっているインフレが異常なインフレである実態を掴んできた。

止まる気配のない物価高騰。このカラクリを読み解いていく。

 

ケーキ屋さん、パン屋さん、スーパーなど軒並み値上げを行い、生産者消費者ともに困窮している現状。

現在、値上がりが顕著なのは何が挙げられるか・・・?

生鮮食品を除くと、食用油(36.5%上昇)、都市ガス代(23.7%上昇)、電気代(21.0%上昇)、ガソリン(15.7%上昇)など。燃料・エネルギーの値段が大幅に高くなっていることが伺える。「消費者物価指数より」

石油は、物を作る資源、輸出入などあらゆるモノに欠かせない。なので、燃料・エネルギーの値段高騰に伴い、食用油・都市ガス・電気大・ガソリンの値段も高騰している現状。

なぜ燃料・エネルギー(石油)の値段が上がっているのか?

まず注目したいのは、国際間の石油循環である。

国際間の流通を各国の通貨で取引を行うと煩雑化する。だから国際統一した貨幣(基軸通貨)が使用される。現在の基軸通貨はドルなので、石油も同様にドルを介して輸出を行う。

元々、金(Gold)での取引でしたが、金と同等の価値として使用できる紙幣が誕生。世界最初の紙幣発行を行ったのは17世紀のイギリスであった。

なぜ現在の基軸通貨はドルなのか?

世界最初に紙幣発行を行ったのはイギリスであったが、現在、基軸通貨になっているのはドル。背景には何があったのか。

それは第一次世界大戦での出来事。戦場として莫大な軍事費・人材を失ったイギリス。一方、戦場とならなかったアメリカは他国へ武器や資金面の援助を行い、他国を支えた。軍事的にも経済的にもアメリカの軍門へと下ることとなった諸外国は、もはやアメリカのドルなしには生きられない状況となり、米軍は「世界の警察」として力を握った。

取れる資源で経済活性化を望む石油産出国と、ドル流通の推進を望むアメリカ側

自国の石油資源を輸出するためにアメリカ側と貿易を行い、アメリカはドルを介して他国へ石油を循環させる。

双方にとってメリットのある、互いに利害が一致した取引関係であった。

軍事面においても、第二次世界大戦で連合国として同盟を組んでいたことから当時の良好さが見てとれる。(以下図解参照)

 

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石油産出国(特にロシア・中国)が、軍事力・技術力・市場マーケットの点においてアメリカより上回る歴史上ありえない事態が起こっている。

しかし、現在はこの良好な取引関係に変化が生じている。それぞれの切り口から見ていこう。

軍事面では1990年代、資本主義側の西側諸国(アメリカ)社会主義側の東側諸国(旧ソ連)で闘いは激化していく。

ドイツ・ベトナム・キューバなど各地で数年にもおよぶ領土戦争が続き、緊張状態となる。歴史上では冷戦と呼ばれる。

当時から変わらず制覇力は軍事力であり、核兵器を所有する事で相手より優位に立とうとする歯止めなき軍拡競争へ入っていった。

その中で、戦勝には他国よりも強い武器が大量に必要となった。戦争が激化するにつれ、技術力争いも激化。西側・東側双方に技術力を高めていった。

ロシアは2022年4月20日、発射実験の成功を発表した、新型の大型ICBM=大陸間弾道ミサイルの「サルマト」。他にも強力な4つの新型兵器を所持している。プーチン大統領は「サルマトの開発には国産の部品しか使われていないことを特に強調したい」と述べ、厳しい制裁を科される中、兵器の開発を自力で進めているとアピールした。対立を深める欧米への牽制を強くした。

(参考記事 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220421/k10013591691000.html)

さらに市場マーケットでは、中国・インドの大幅な人口拡大により需要率は一気に高まる。約14億人の中国・インドと取引を行ったのは石油産出国側である。世界1・2位のマーケットを持つ側が優勢なのは言うまでのない。

 

結果、ドルを介しての貿易に石油産出国側はメリットがなくなったといえる。

それでも従来どおりの関係継続を求めるアメリカ側とで対立が生じている。(以下図解参照)

 

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ロシア・中国側は他国に頼らない「民族自決の方向性/民族主義」へと動き出している。

上記の民族自決の方向性により基軸通貨であるアメリカ「ドル」の信用性が大きく崩れてきているドル崩壊が危機迫る課題として浮き上がってきていることが読み解ける。

次回はこれからの制覇力について読み解いていく。

List    投稿者 touda | 2023-03-11 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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