2014-10-02

中国分析~習近平は単なる操り人形に過ぎないのか、それとも・・・!?~

 

前回の記事『中国分析 ~「虎もハエも同時に叩く」習近平が向かう先~ なぜ江沢民一派が検挙されるのか?』では、習近平による腐敗撲滅運動に胡錦濤が手を貸していることについて述べた。

そこで今回の記事では、習近平が一体何を目的にこのような検挙を続けているのか、また、どうして習近平は胡錦濤の率いる共青団派の幹部たちを摘発しないのか、一方の胡錦濤はどうして習近平のこのような運動を静観していられるのか、に迫ってみようと思う。

 

■習近平は何と闘っているのか

習近平

 

 

 

 

 

 

 

 

前回記事にもあるように、習近平はまるで、何かに追い立てられるかのように、大物の検挙を続けている。

習近平のこの忙しない動きを駆り立てているものは何なのか、習近平は一体何と闘っているのだろうか。

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習近平は「統一戦線」戦術を採用して、何と闘っているのだろうか。「中国(中共)が直面する難局を打開する」ために、最大の障碍になっているのは誰なのだろうか。

「江沢民を頭とする特権勢力だ」と見る人が少なくない。反腐敗闘争はいよいよ息詰まる局面を迎えており、解放軍における江沢民の腹心だった元軍事委副主席徐才厚や江沢民の大番頭曽慶紅の子分だった令政策を摘発したこと、その後も、元全国政協主席の賈慶林や徐と同じ軍事委副主席だった郭伯雄、など江沢民閥の要人の拘束の噂が絶えないことは、その証左とされる。

そうかもしれないが、「敵は江沢民」というのは、どうも分かり易すぎる勧善懲悪ドラマのような気がするので、少し穿った仮説を提出してみたい。敵は固有名詞の誰某というより、「要職に就けば特権が与えられ、一族が富み栄えてもいいはずだ」といった、党と政府にはびこる「旧い意識」の総体ではないかと。

三中全会から既に半年以上経つのに、改革の歩みは緩慢だ。「反腐敗や綱紀粛正の強風の前に党や政府の役人が萎縮してしまっている」からだと言われるが、恐らくそれだけではない。既得権層や高位の役人には、強い指導者習近平に面従しながらも、「特権を手放したくない」「中国の政治慣行・文化がそんなに簡単に変えられるはずはない」といった抵抗感、違和感が根強く残っているだろう。最大限好意的にみても「習近平がどこまでやれるか」、習近平と江沢民の闘いを「風向標」に見立てて「様子見」を決め込んでいる。改革が本格始動しないのはそのせいではないか。(http://www.tsugami-workshop.jp/blog/index.php?categ=1&year=2014&month=7&id=1406085910より引用)

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習近平による腐敗撲滅運動の目的が中国に蔓延する「旧い意識」だとするならば、習近平こそが、本当の意味で中国の積年の課題を打開する可能性を握っているのかもしれない。

 

■習近平の撲滅運動、実は胡錦濤の復讐作戦

A portrait of President Hu Jintao (L) of

 

 

 

 

 

 

 

 

習近平と手を組んで腐敗撲滅運動を遂行している胡錦濤は一体どのような心理で江沢民一派排除を後押ししているのだろうか。その根底にはどのような狙いがあるのだろうか。

 

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2012年11月までの十年間、胡錦濤主席自身と共青団派はずっと、党内と軍内最大勢力の江沢民派に圧迫されて散々虐げられていた。なりふり構わずの江沢民派幹部の猛威を前にして、胡錦濤主席は忍耐と我慢を重ね、時に泣き寝入りを余儀なくされることもあった。

別の意味で言えば、胡錦濤政権時代の十年間、江沢民の代理人として「胡錦濤虐め」に直接に関わったのはまさに警察トップの周永康と制服組トップの徐才厚と郭伯雄であった。したがって、習政権になってから、胡錦濤前主席と彼の派閥が習主席の江沢民派撲滅作戦に加担したのはむしろ当然の成り行きであり、その腐敗撲滅運動の最大のターゲットになったのは周永康・徐才厚・郭伯雄の数名であったことの理由もまさにここにあった。つまり今の腐敗撲滅運動は胡錦濤前主席にとって、往時の仇に対する見事な復讐作戦である。

(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4069?page=4より引用/一部編集)

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とはいえ、たとえ江沢民一派排除という共通の目的を持っているにしても、引退したはずの胡錦濤前主席は、どのようにして現役の習主席を操って腐敗撲滅運動を主導することができるのか。

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胡錦濤は2012年10月、引退間近のタイミングで、中央軍事委員会主席の権限において、人民解放軍の新しい参謀総長を任命した。それはすなわち現在の房峰輝参謀総長である。

さらに、胡錦濤自身が党の総書記として主宰する最後の中央委員会において、彼は軍人の范長龍と許其亮の両名を党の中央軍事委員会副主席に任命した。

さらに、自分の引退が決まる党大会開催わずか4日前に、次の中央軍事委員会の最重要人事を自分の手で行った。これはつまり、胡錦濤が自分の引退後の軍掌握を計るための布石であり、習近平が新しい軍事委員会主席に就任した暁には、その周辺は既に「胡錦濤の軍人」によって固められたわけである。

胡錦濤前主席が腐敗撲滅運動を主導することができたのも、人民解放軍を掌握しているのが、胡錦濤前主席だからである。(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4069?page=4より引用/一部編集)

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習近平と胡錦濤は、お互いの利益のために、一時的に手を組んでいる考えることができる。

問題は、江沢民派の一掃を目指す腐敗撲滅運動がその目的を達成して終了してから、軍を握っている胡錦濤が一体どう動くのかである。

 

■習近平は胡錦濤の操り人形に過ぎないのか?

胡錦濤前主席と彼の率いる共青団派は、共通の敵である江沢民派を一掃するために習主席と手を組んでいることは前回ブログでも記述したが、両者共通の目的(江沢民一派排除)が達成されてしまうと、次なる権力闘争はむしろ胡錦濤前主席と習主席との間で、すなわち共青団派と太子党との間で展開されていくはずである。

その背景として、習近平と胡錦濤は、習仲勲(近平の父)と胡耀邦を介して、つながりを持っていることが分かっている。

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・習仲勲は1981年6月に中華人民共和国国家主席に就任する(軍事委員会主席は鄧小平氏が務めた)と同時に、習仲勲は上京し、中共中央書記処書記という党全体の日常業務を統括する極めて重要な立場で胡耀邦総書記の改革を支えた。(http://diamond.jp/articles/-/45365?page=5より引用抜粋)

・1981年9月、甘粛省党委員会は、胡錦濤を、鄧小平の娘(鄧楠)と胡耀邦の息子・胡徳平とともに、中国共産党中央党校にて共産党の高級幹部となるための訓練を受けさせることを決定した。鄧楠は胡錦濤に良い印象を持ち、そのことを父・鄧小平に報告している。また、胡耀邦の息子も胡錦濤を自宅に招待し、胡耀邦に初めて対面させている。胡耀邦は共産主義青年団出身の後輩である胡に親しみを込めて握手をしたことで、2人は膝をまじえて天文地理、歴史文学、政治情勢、国際問題、現在の仕事に至るまで語り合った。その後も胡錦濤は胡耀邦をしばしば訪問し、2人の親交はますます深まった

(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%83%A1%E9%8C%A6%E6%BF%A4#.E8.83.A1.E8.80.80.E9.82.A6.E3.81.A8.E3.81.AE.E5.87.BA.E4.BC.9A.E3.81.84より引用)

習にとって、胡錦濤自身が「第二の江沢民」と化して行く中で、習主席は今後十年もその顔色をうかがって生きていくのはやはり嫌であろう。とくに太子党である習主席の場合、自分たちの父親が命をかけて作った共産党政権に対して自分たちこそが正当なる後継者であり本当のオーナーであるという意識が強い。習近平は、「雇われ社長」の胡錦濤の政権壟断は許せないであろう。従って、江沢民派が潰滅した後には、習主席にとって排除しなければならない人物はまさに胡錦濤であるに他ならない。

(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4069?page=4より引用/一部編集)

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しかし、習近平にとって、この戦いは勝算のないものであると考えられる。胡錦濤の根回しは、中共政治局にも及んでいるのである。

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胡錦濤派は軍だけでなく、実は共産党の政治局でも大きな勢力を擁している。政治局常務委員以外の18名の政治局委員のうち、いわゆる共青団派の幹部が7名もいて、さらに胡錦濤の息がかかっている軍人の二人を加えると、総数半分の9名を占めることになっているのだ(下表参照)。

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表はhttp://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Download/Kidou/pdf/2013_china_01.pdfより引用の上編集

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

胡錦濤派(共青団派)の次なる政権戦略は、今の習主席たちと手を組んで江沢民派を一掃して江沢民の影響力を完全に排除した暁には、残された党内の最大勢力はすなわち彼ら自身である。そして、次の党大会までに政治局常務委員会から江沢民派の残党を一掃した後には、軍の支持をバックにして共青団派の若手幹部を政治局から大量に昇進させ、次期の政治局常務委員会、すなわち党の最高指導部を一気に掌握してしまうのである。

(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4069?page=4より引用/一部編集)

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胡錦濤は、かつて自らが江沢民に虐められていた方法と同じ方法で、習近平を手のひらで操っているのである。

江沢民一派が排除された後、中国を支配していくのは、撲滅運動を遂行している習主席ではなく、これを裏で操っている胡錦濤となる可能性が高いと考えられる。

習近平は胡錦濤のこの狙いに気づいているのだろうか、単なる胡錦濤の操り人形として終止してしまうのであろうか。

中国政府に蔓延するこの旧いシステムを破壊するために、胡錦濤と闘う準備は整っているのであろうか。

 

今後、国内派閥闘争だけではなく、金貸し(主にロスチャイルド)との結びつき、外交政策を含めて分析していくことで、中国の向かう先を予測していく。

 

 

List    投稿者 dairinin | 2014-10-02 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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