2019-06-20

ベーシックインカムは、今、何故、注目を浴びているのか

 

5c63ecaf20000001016ea66bイタリアでベーシックインカム(国民所得)が導入され、改めてベーシックインカムに注目が集まっており、ベーシックインカムの状況について調べてみました。ベーシックインカムに否定的な論調も多々あるのですが、以外だったのは、資本主義を維持したい側からもベーシックインカムを指示する声が出て来ている事です。

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従来のベーシックインカム導入は、資本主義に反対する左翼から資本主義の矛盾である階級格差を解消する方法として、ベーシックインカムを主張する事が多かった様に思われます。人権の一部としての最低所得補償です。

次にベーシックインカムを主張する人は、福祉行政を担う側の人たちで、複雑化する福祉制度をベーシックインカムに一本化する方が合理的と言うものでした。

これに対して、資本主義=自由競争論者からは、ベーシックインカムを導入すれば誰も働かなくなる、と言う反対意見が出されてきました。ところが、最近では竹中平蔵氏を代表にして、資本主義=自由競争を主導してきた側からもベーシックインカムを導入する意見が出て来ています。

これは、資本主義=自由競争の下では誰でも努力すれば豊かになれる、という建前が嘘で、貧富の差がどんどん広がり、このままでは資本主義自体が持たなくなると、資本主義の勝者側が考え始めたからにほかなりません。まさしく、資本主義の末期です。

一方で、新しい動きも見られます。近年のベーシックインカム導入の根拠を整理した記事には次の5つつが上がっています。(1)技術革新による雇用の減少への対応、(2)いわゆる福祉の罠、(3)人びとの創造性を解き放つ可能性、(4)アンペイドワークの認知と公平な分担、(5)有限な地球環境を維持できる仕組みへの希求。

この中で(3)人びとの創造性を解き放つ可能性、と、(5)有限な地球環境を維持できる仕組みへの希求、は新しい可能性だと思います。従来のお金=私権の確保に変わって、創造性や環境が社会の目的に変わりつつあることの表れです。

 

■竹中平蔵氏「正社員をなくしましょう」「現金をただで配りましょう」どちらがホント? 2019年2月11日

小泉政権で構造改革を推進した人材派遣大手パソナグループ会長の竹中平蔵・東洋大学教授が最近、ロイター通信のインタビューに応じ、こう話しています。「究極的には、政府が最低限の所得を支給するベーシックインカムを導入するしかないと考えている。これにより年金も生活保護も必要なくなる」

橋下徹前大阪府知事は維新八策の「社会保障制度改革~真の弱者支援に徹し持続可能な制度へ」の中で「負の所得税(努力に応じた所得)」「ベーシックインカム(最低生活保障)的な考え方を導入」をうたっています。

■「ベーシックインカム」の実験 フィンランド政府が無条件で月約7万円を配布結果はどうなった?2019年2月13日

「宝くじに当たったような気持ちでしたよ」とムラヤさんは話した。彼は17万5000人(25歳から58歳)いる失業者の1人だが、フィンランドが実験した世界一有名なユニバーサル・ベーシックインカムの参加者2000人に選ばれた。「自由になると創造性が高まり、創造性が高まると生産性も高まるので社会全体の役に立つ」とムラヤさんは話した。彼はこの実験の経験を元に本を執筆した。

この政策には政治の両極に支持者がいる。左派は貧困問題対策、格差を是正して職のオートメーション化の脅威に対応できると主張する。右派の支持者は福祉支出の複雑なシステムを単純化でき、政府の縮小化を実現できると言う。

マーク・ザッカーバーグやイーロン・マスクのようなテクノロジー分野の億万長者は、自分たちの極端な富への怒りが高まる中この考えに支持を表明した。

「怠け者」の貧困層という言い方は、フィンランドの計画に参加した31才のタニヤ・カウハネンさんには通用しない。現時点で雇用の改善は見られないが、彼女はユニバーサル・ベーシックインカムは苦しんでいる人々の助けになると考える。「考えてみてください。ともかく早く仕事を見つけるために、給料が低くても飛びついてしまうものです」

■資本主義が生き残るための処方箋──生活賃金かベーシックインカムか2019年2月27日

ロンドンで働く5人に1人は生活していくのに十分な賃金をもらっていない。これを全員に行きわたらせようと、あのシティーが立ち上がった。最低限の生活を保障するために働くべきか、働かざるべきかと問われたら、やはり働いて十分な賃金を稼げた方が良いに決っている。資本主義が生き残るためには所得配分と富の再分配機能を復活させるしかない。筆者はベーシックインカムより生活賃金を支持したい。

■ポピュリスト政権に蝕まれるイタリア経済2019年6月3日

長びく景気低迷や厳しい財政緊縮に対する有権者の不満を吸収する形で誕生したイタリアのコンテ政権は、その公約通りバラマキ政策を強化した。しかしそのバラマキ政策は、景気を加速させるどころか、設備投資の悪化や銀行の経営環境の悪化につながり、経済の成長力を弱めるという本末転倒な結果をもたらしている。

■今、「ベーシックインカム」とは何か? 欧米の実験が話題となる理由2019年6月14日

スイスで2016年6月にベーシックインカム導入の可否をめぐって国民投票が行われ、同8月にはフィンランド政府が2年間のベーシックインカムの給付実験を行うことを発表。翌2017年5月には、フェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグがBIに言及したり、昨年9月には、国連事務総長のアントニオ・グレーテスが国連総会での演説でベーシックインカムを支持するなどのニュースが続いた。

昨年イタリアで政権の座についた「五つ星運動」も長年ベーシックインカムを公約に掲げているが、年末にはベーシックインカムの実施を予算化したことがニュースとなった。インドでは今春に総選挙が行われたが、選挙前には、政権与党と最大野党がそれぞれ、ベーシックインカムについての公約を発表していた。フィンランド政府は同政府が昨年末まで2年間にわたって実施したというベーシックインカムの給付実験の暫定的な結果を発表した。

結論を先取りすると、おおよそ5つの理由が挙げられる。(1)技術革新による雇用の減少への対応、(2)いわゆる福祉の罠、(3)人びとの創造性を解き放つ可能性、(4)アンペイドワークの認知と公平な分担、(5)有限な地球環境を維持できる仕組みへの希求

■フィンランド政府が2年間ベーシックインカム給付をして分かったこと2019年6月17日

ベーシックインカムを巡って、これだけ実験がくりかえされてきたのには、「何の条件も課さずに給付を行えば、誰も働かなくなるのではないか」という疑念が繰り返し表明されてきたからである。この点に関して言えば、今回の実験結果は、ベーシックインカムによって人びとが働かなくなることはなさそうだ、ということになる。

今回の実験で筆者が興味深く感じたのは、他者への信頼や、法制度への信頼が、ベーシックインカム受給者グループで、コントロールグループとくらべて有意に高かったことである。類似の効果は、ナミビアやインドの実験でも報告されているが、これらの場合はコミュニティ全体が給付をうけていたため、コミュニティ全体が良い方向に変容した結果として解釈することができる。

List    投稿者 dairinin | 2019-06-20 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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