2018-09-13

習近平国家主席、「北戴河」会議で長老からも批判?

 

img_56b2b378b54f46a6ff92bcaa513a3538488982前回、「習近平国家主席、米国との経済戦争で、権力に揺らぎ」で紹介しましたが、中国では習近平主席の独裁体制に揺らぎが見られ始めたことを紹介しました。中国のことですから、強権的な弾圧で、大衆の動きは短期間で封じ込めるのではないかと思っていましたが、どうやら大衆だけの問題ではなく、中国共産党内部の権力闘争がその背景にあるようです。

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習近平批判の発端は、7月4日に上海で若い女性が「習近平の独裁に反対」と叫んで、習近平の肖像に墨汁をぶちまける動画をツイッターに投稿し、それが大衆に広まり始めたことがきっかけでした。その後も大衆的な運動も続いていますが、それ以上に中国共産党内の権力闘争に発展しつつあるようです。

一番大きな要因は、対米貿易摩擦の問題をこじらせてしまい中国経済に大きな打撃を与えたことですが、それ以外にも一帯一路政策も中国のえげつない商売の仕方がばれて米国以外との貿易も停滞する、中国国内経済も失速の懸念が高まってきている、など、八方ふさがりの状況に追い込まれつつあるようです。

つい半年前の全人代で、国家主席の任期制限を撤廃し独裁制を確立したかに見えましたが、習近平主席の権力はここがピークだったのかもしれません。習近平氏は共産党政権内の政敵を汚職を理由に粛清して権力を掌握してきただけに、多くの恨みを買っており、権力基盤である経済成長が鈍化すると、権力の座から引きずり落とされる危機を抱えています。

中国は日本の30年遅れで経済成長を続けて来ているとは、良く言われていますが、これを根拠に、中国経済も成長限界を迎え2020年にはバブル崩壊、低迷の時代に突入すると分析している人もいます。

中国共産党最高指導部メンバーと長老らが毎年8月、河北省の避暑地、北戴河に集まる非公式・非公開の「北戴河会議」で、長老から、かなり厳しく批判されたとの情報もあり、習近平主席がこの危機を乗り越えられるのか、しばらく目が離せない状況です。

■『貿易戦争』敗戦確実で“習近平降ろし”過熱か ポスターは撤去、批判動画も… 識者「行き過ぎた個人崇拝に党内、民間で不満爆発」2018年7月24日

「個人独裁」を強めていた中国・習近平体制に揺らぎが見えている。習氏のポスターを撤去する動きが起こり、批判するような動画も公開されているのだ。今春に国家主席の任期を撤廃して長期政権への道を開いた習氏だが、ドナルド・トランプ米政権との間に「貿易戦争」を引き起こしたことが不満を表面化させた。これまで政敵を葬り続けてきた習氏への不満は中国共産党内に蓄積されている。「習降ろし」の動きが今後活発化し、巻き返しを図る習氏との権力闘争が過熱するとの見方が浮上している。

習氏の個人独裁に対しては党内で昔から、反感、反発があり、民間でも行き過ぎた個人崇拝に反感を持つ人が多くなっていた。今までははけ口がなく、蓄積されていたが、習氏が米中貿易戦争を阻止できなかったという『失政』を一つのきっかけとして、党内、民間での反発が爆発したということだろう」と話す。

■米中貿易戦争で大打撃の習近平独裁体制2018年7月24日

習氏は「中華民族の偉大な復興」を掲げ、異論を許さない姿勢で政権運営に臨んできた。今年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では国家主席の任期制限を撤廃。中国の発展ぶりと技術力を宣伝する映画が作られ、毛沢東政治の教訓から共産党が禁じているはずの個人崇拝に似たムードが広がった。

しかし、トランプ米政権が貿易問題で中国批判を鮮明にすると、「強国」宣伝の勢いは弱まった。民族主義的な論調で知られる共産党機関紙・人民日報系の環球時報は6月下旬、社説で「われわれの(科学技術の)水準は米国と大きな隔たりがあり、この差を克服するには数世代の苦労と努力が必要だ」と訴え、「謙虚」な姿勢を示した。

折しも好調だった投資や個人消費が減速し、中国経済に不透明感が強まっている。

「習氏の強権手法が米国との対立を招いた」(国際政治専門家)という不満が拡散し、習指導部は軌道修正を図っているもようだ。対米関係は、貿易だけでなく中国の主権に関わる南シナ海や台湾問題の要因でも悪化しており、深刻な事態になっている。

一方、脚光を浴びるようになったのは、習氏に隠れて地味な存在に甘んじてきた党序列2位の李克強首相だ。今月5~10日、ブルガリアとドイツを訪問。欧州16カ国との首脳会議に出席し、保護主義に反対する認識を各国と共有し、米国をけん制した。

■中国「一帯一路」終焉が見えてきた。相手にするのはアフリカだけ2018年7月27日

一時は世界中がその経済的勢いにひれ伏し、参加や協力を表明した中国の「一帯一路」構想ですが、ここに来て黄信号が灯っているようです。中国のずさんな支援内容を、アメリカの華字メディア『多維新聞』の記事が紹介していますので、以下に一部引用します。

インドネシアのジャカルタ─バンドン鉄道は、用地取得の問題により16年の着工式以降全面的な施工に至っておらず、開通のめどが立っていない。コメとの交換と言われるタイ高速鉄道プロジェクトは、タイ政局の混乱で再三遅延している。米国西部のロサンゼルス─ラスベガス高速鉄道プロジェクトがご破算となり、メキシコからも「不明瞭、非合法、不透明」として高速鉄道協力を破棄された。トルコのプロジェクトは開通にこぎつけたが、大部分の装備や技術は欧州の規格が採用されている。ベネズエラのプロジェクトは、現地の経済情勢悪化に伴い建設現場が廃墟と化してしまった。

「一帯一路」は世界各地で挫折しており、最初は乗り気だったEUも最近では消極的になってきたため、アフリカに活路を見出そうというわけです。しかし、中国のアフリカ進出はその多くが不評でした。というのも、現地の雇用を産まずに大量の中国人を本国から連れてくるうえに、汚職や環境破壊をはじめ、さまざまな問題を持ち込むからです。

■個人崇拝は「知能レベル低い」…習近平主席母校の教授、共産党指導部に“反旗”2018年7月30日

中国の習近平国家主席の母校、清華大の教授が7月下旬、指導者への個人崇拝を厳しく批判し、国家主席の任期復活や天安門事件の再評価を要求する論文を発表、中国内外で波紋が広がっている。発表した清華大法学院の許章潤教授(55)は安徽省出身。西南政法大を卒業後、オーストラリアのメルボルン大に留学し法学の博士号を取得した。

インターネット上に公開した論文で、許氏は「国民は今、国家の発展や家族の安全に対し途方に暮れている」と指摘。3月の全国人民代表大会(国会に相当)で国家主席の任期を撤廃した憲法改正などを問題視した。任期撤廃に関しては「改革開放(の成果)を帳消しにし、恐怖の毛沢東時代に中国を引き戻し、滑稽な、指導者への個人崇拝をもたらすものだ」と非難。

指導者への個人崇拝については「まるで時代遅れの強権国家のようだ」「今すぐブレーキをかけなければならない」と主張。「なぜこのような知能レベルの低いことが行われたのか、反省する必要がある」と痛烈に批判した。

 ■習近平氏を批判し強制入院か 2018年8月3日

街頭の習氏の肖像画入りポスターに黒インクをかけた様子を中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」に生配信した上海在住の女性が突然姿を消した。警察に逮捕されたとみられていたが、故郷の湖南省の精神科病院に強制的に入院させられていたことが明らかになった。

董さんは上海の警察に逮捕され拘留されていたが、同じく上海市内で働く董さんの弟に警察から連絡が入ったという。弟は上海市政府当局者から「お姉さんを精神鑑定にしたが、精神を病んでいるとの診断結果が出た」と告げられ、故郷の湖南省の精神科病院に入院する手続きがとられていた。

これに対しては「中国では、中国共産党を信じる人間以外は、病気扱いされるのか… 」「消息が分かって良かったけれど、病院で何をされるかわかりませんね。それが恐ろしい。本当の病人が入れなくなるって、本末転倒です」「収容所国家だね。可哀想に」「日本でいう禁固刑でしょうか…。恐ろしい目にはあいませんように祈ります」などとの指摘がみられる。

■内患外憂の習近平氏に吹き始めた逆風-中国国民に不安広がる2018年8月8日

数カ月前、中国の現職最高指導者としての習近平氏の勢いを止めることはできないように見えた。だが、こうした圧倒的に強いリーダーとしての存在感が裏目に出るかもしれない。景気減速や株式相場の急落、粗悪ワクチンを巡る不祥事などは全て国民の不満を招く。欧米や世界の金融センター各地では、中国の野心に対する警戒感が広がりつつある。一段とエスカレートしつつある米国との貿易戦争は、中国が当初想定していた展開とは異なり、習氏の失敗を映し出すプリズムとなっている。

「突然オープンに話され、批判され始めた。以前の習政権下と比べる非常に劇的だ。抵抗する余地が大きくなったと一般国民は考えている」とコーエン氏は語った。

■北京大学に習近平氏を激しく批判する壁新聞 インテリ層中心に習氏独裁への警戒高まる2018年8月9日

中国の名門、北京大学に習近平氏を激しく批判する壁新聞が貼られていたことが分かった。毛沢東主席と同じく個人崇拝を大々的に行い、権力を私物化しているといった内容。毛筆で書かれており、北京大学の卒業生で、今年73歳の樊立勤氏の署名が記されていた。

■習近平一極集中体制揺らぐ2018年8月10日

盤石と思われた習近平一極集中体制に対して、共産党内や一部学者から、公然と批判の声が上がるようになりました。中国のリゾート地「北戴河」で毎年開催される長老たちと現役最高指導部との恒例会議でも、この問題が挙がったとも報道されています。長老たちは、米中貿易戦争の影響が物価高などで庶民に及び、社会不安が高まるリスクを最も嫌います。習近平も、さすがに、長老たちを無視するわけにはゆかないようです。特に、習近平個人崇拝の風潮に警戒感が強まっています。更に、批判の矛先が、まず、習近平側近の重要人物に向けられています。現政権側も習近平ポスターなどを取り外すなどの措置を実行しているようです。

■あと2年。中国が直面する、習近平へ批判大噴出の「悲惨な未来」2018年8月14日

中国国内で習近平国家主席に対する批判が拡大、「米中関係を壊したのは習近平だ」という様な論調まで沸き起こっています。なぜここまで習氏は攻撃されているのでしょうか。国家主席の任期を撤廃して、「終身国家主席」への道を開いたこと??? それも「愚かな決断」ではありますが…。悲劇の原因は、別のところにあります。実をいうと、習の悲劇は、「不可避的なもの」なのです。なぜ???

中国は、日本から30年遅れているのです。もしそうであるのなら、1990年、日本でバブル崩壊、暗黒の20年スタート。2020年、中国でバブル崩壊、暗黒の20年スタートとなるはずです。まあ、習近平は、「日本のバブル崩壊」と「ソ連崩壊」を詳しく研究させているそうなので、多少時期はずれるかもしれません。しかし、「国家のライフサイクル」は、人間の生老病死同様、「不可避なプロセス」なのです。中国がこれから「また二けた成長を始めました」とかありえません。

■中国急変!習氏“最側近”王氏、8月恒例の「北戴河会議」に姿なし…政策失敗の全責任を負わせ失脚か?2018年8月17日

中国共産党最高指導部メンバーと長老らが毎年8月、河北省の避暑地、北戴河に集まる非公式・非公開の「北戴河会議」が終わった。今回は「米中貿易戦争」の激化や、広域経済圏構想「一帯一路」の限界など、難題山積で紛糾したとみられている。

難題といえば、ドナルド・トランプ米政権が仕掛けた米中貿易戦争だろう。これは、「中国=最大の脅威」とみなした対応で、中国経済の息の根を止めかねない。

「一帯一路」構想についても、関係国からは「債務の罠」であり、国が借金まみれになり、政治がコントロールされ、港湾など戦略的軍事拠点が奪取されるとの非難が噴出している。

93歳のマハティール・モハマド首相の再登板によって、マレーシアなどでは“脱中国”の動きが急速に進行中である。

党最高幹部の動向にも“異変”がある。「北戴河に(チャイナセブンの1人)王滬寧(オウ・コネイ)の姿がない」「1カ月近く雲隠れしている」「失脚か?」「影響力を失った」などの内容が、反共産党系中国メディアから噴出している。

■北戴河会議の焦点「米中貿易戦争」は習近平政権の失脚につながるか!?2018年8月20日

こんにちは、中国人マンガ家の孫向文です。中国共産党は毎年(通常は年に1回)8月に北戴河という北京の郊外にある避暑地で、恒例の秘密会議を行います。今回の北戴河会議には、今の米中貿易戦争の行方と、習近平政権の権力一極集中に反発する「内ゲバ」が焦点になります。

今回の北戴河会議の内容について、王滬寧氏(党中央政策研究室主任)がやり玉挙げられているため、会議には出席しませんでした。王滬寧とは、今まで習近平の側近であり、習近平政権のプロパガンダの任務を担ってきた人物です。

は王滬寧氏は米中貿易戦争の最中に、中国国民にナショナリズムで「偉大なる中華民族が米国産の不買運動をしよう」と画策して、アメリカと対抗する愚策を指示しました。しかし、これは本当に王滬寧氏が考えた戦略なのでしょうか?「王滬寧氏こそ米中貿易戦争で中国の経済を危機に直面させた『犯人だ』」と北戴河会議で批判するため、習近平主席が自らの失脚を回避するために、王滬寧氏を「トカゲのしっぽ」として処分したのかもしれません。

トランプ大統領が、容赦なく中国を攻めれば攻めるほど、中国共産党の内部ではさらに激しい権力闘争が引き起こされることを今回の北戴河会議は証明しました。習近平政権の崩壊か、さらには中国共産党政権の崩壊が近いのかもしれません。

List    投稿者 dairinin | 2018-09-13 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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