2009-05-17

FRB資産状況090513:限界に近づく米国債発行

obama.jpgオバマ米大統領は5月14日のニューメキシコ州での市民との対話集会で、「現在の米国の財政赤字は持続不可能」「中国から借り続けることはできない」「米国が借金を重ねている主因は医療であり、われわれはコストを削減する必要がある」と述べた(bloomberg)。そしてFRBは、今も急ピッチで米国債購入を続けている。・・・前回4月19日の記事はこちら

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■米国債を買い続けるFRB
下のグラフが5月13日時点でのFRBのバランスシート(B/S)。左が資産、右が負債・資本(クリックで大きくなります)。


4〜5月もFRBは米国債を購入し続けている。前回レポートの4月15日時点から510億ドル(約5兆円)増加の5771億ドル。国債の買入れを決定した3月末からの増加額は早くも1千億ドル(約10兆円)を超えた。半年で最大3千億ドル(30兆円)という当初発表を上回るペースだ。
購入財源は、B/S上では今のところ、新規のドル発行ではなく連邦準備預金の増加で辛うじて凌いでいるように見えるが、既に連銀は“簿外で”大量のドルを刷っているとの田中宇の指摘もある。
■米国債発行額と海外/FRB購入額の推移
米財務省から4月末時点の米国債発行残高と3月末時点の海外保有残高が発表されている。FRB資産とこれらのデータから、現在、米国債の引き受け手がどうなっているのかを見てみる。
treasury.jpg
※上の表をクリックしてください。

08年9月〜09年3月までの米国債の新規発行は1兆5415億ドル(約154兆円)に上る。そして、この間は海外勢が約42%を引き受けている。9〜10月のリーマンショック直後はおそらく国内の年金基金などを総動員し急場を凌いだが、その後は資金の目途が立たず発行が滞った。2〜3月には中国や日本の説得に成功したのだろう、再び発行額を増やしたが、それも長くは続かなかった。
■4月のFRB引き受けは新規発行額の6割に急増
09年3月以降、それまで米国債保有額が減少傾向にあったFRBが新たに引き受けを開始する。3月には、2498億ドル(約25兆円)の新規発行額のうち、約7%に当たる177億ドル(約1.8兆円)をFRBが引き受けた。国内民間金融機関及び海外勢だけでは消化不足であることが顕在化した。
そして4月には、新規発行額1117億ドル(約11兆円)のうち、なんと6割をFRBが引き受けたようだ(上表)。4月の海外保有残高は未発表だが、ドル資産下落の懸念を表明した中国など海外勢または国内民間金融機関の新規購入が軒並み停滞したのではないかと予想される。
この事態を裏付けるのが、今月に入っての30年債の急落(4.3%台への金利上昇)、そして冒頭のオバマの発言である。7日に結果が発表された米銀のストレステストは粉飾が指摘されているが、米国債がこんな状態では、正直に発表することなどとてもできないだろう。
GMの破産処理、保険会社6社への資本注入、カリフォルニアなど州政府の財政破綻と、米政府の負担はこれからますます増えることはあっても減ることは無い。アメリカは、確実にデフォルトの瀬戸際へと追い詰められていっているように見える。
次回:FRB資産状況090624

List    投稿者 s.tanaka | 2009-05-17 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨7 Comments » 

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コメント7件

 仮面貴族 | 2009.11.17 13:02

公開されている、キャリア官僚の出身大学のデータ。
【国家Ⅰ種試験 大学別合格者数 2006年】
1.東京大学 457人
2.京都大学 177人
3.早稲田大学 89人
4.慶応大学 73人
5.北海道大学 62人
6.九州大学 59人
7.東北大学 48人
8.東京工業大学 46人
9.立命館大学 44人
10.大阪大学 44人
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=219479
こんなものかなって感じだが、「試験制度を勝ち抜いた」ひとたちが日本を動かしているのが現実。
政権交代したというだけでは抜本的な変化は期待できないと思えてくる。

 どんぐり | 2009.11.17 19:14

最近の若者に顕著なのが、自ら判断できないということ。さらに言えば課題を発掘できないと言うこと。
試験制度というレールに乗っかることだけを親からは要求され、それに素直に従って成人になったは良いが、社会に出たら即座に教科書に乗っていないことに直面する。
本来なら、まず人に聞く、自分で分かるところまで調べる、などの行動に移れば少なくとも一歩は前進するのだが、ここでまたその課題の先に人との充足がないものだから、エネルギーが続かないのだ。
試験制度発の無機的な目的意識からは、人の期待に応えて課題解決に向かうエネルギーなど生まれないのだ。

 Y | 2009.11.17 19:17

支配の快感に溺れて暴走するのは、無機的な目的意識の背後に、自我が温存されていたからでは?
仲間との充足体験が貧弱なまま大人になったからこそ、官僚に就いた彼らが“国民”を仲間と認識できず、支配すべき(自我を満たすべき)対象として見下してしまうのではないだろうか?

 watami | 2009.11.19 2:26

仮面貴族さん、どんぐりさん、Yさんコメントありがとうございます。
仲間関係が築けず、勉強しかできない試験人間の弊害は、特権階級だけでなく、身近な社会人でも目につきます。
るいネットでも、「試験制度の恐るべき弊害」というトピが出来ているので、お勧めです。
http://www.rui.jp/ruinet.html?t=300&o=10521&k=1

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