2020-07-02

スウェーデンの『緩い』コロナ対策は成功するか―第二次感染拡大で世界は再度ロックダウンを選択する?

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日本では緊急事態宣言解除後、コロナ感染者が100人を突破しました。再度、緊急事態宣言が出される可能性も取りざたされていますが、そもそも都市封鎖を一切行わなかったスウェーデンはその後どうなっているか、あらためて調べてみました。

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519日の時点では収束に向かっているように見えたスウェーデンの感染者数ですが、日本同様6月に入ってスウェーデンでも再度増加の兆しが見え始めています。スウェーデン政府は、その理由をPCR検査の数を増やしたからだと説明していますが、マスコミからはかなり大きな批判が起こっています。

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                                                    グラフで見る世界各国の感染者数

スウェーデンの新型コロナウイルス対策が「完全なる失敗」に終わった、ノルウェーと同様の抑止策をとっていれば、確実に死者数を減らせた、死亡率は世界でも有数の高さ、人口100万人当たりで換算すると感染者数も死者数もアメリカに並び世界最高レベル、などなど、ロックダウンしないのは間違いだと強く指摘しています。 

では、実態としてスウェーデンのコロナ対策は明らかな失敗と言えるのでしょうか。まず、世界最高レベルと言われている100万人当たりの死者数ですが、スウェーデンは現在世界で第5位の水準です。1位がベルギーの842人、2位イギリス646人、3位スペイン606人、4位イタリア575人、5位スウェーデン531と言う状況です。世界最高レベルと言うのは間違いではありませんが、ロックダウン(都市封鎖)を行った国と比べて、大幅に超えているわけでもなく、完全なる失敗と言う表現には違和感を覚えます。

コロナ死者数100万人当たり

 

ちなみに、スウェーデンの主張も見てみましょう。感染者数の増加は全国規模で検査を拡大した結果、医療システムが対応できるレベルに感染を抑えている、死者と重症患者の1日あたりの増加数は4月をピークに減少、社会活動の大半を続けながら人と人との距離を保つ指針を順守するよう人々を訓練するもの、ロックダウンには回避できない代償もある。 

確かに、死者数が多いことは否めませんが、ロックダウンを実施して経済に大打撃を受けながらスウェーデンより死者数が多い国々と比べたら、ロックダウンしないでこのぐらいの死者数に抑えているのは成功と言っても良さそうです。 

なぜ、いまマスコミはスウェーデンをこれだけ叩くのでしょうか。それはコロナの第二次感染が今後予想される中で、世界が再度ロックダウンを選択するのか、それともスウェーデンのように、ロックダウンしないで何とか抑制する道を選ぶのかの岐路に立っているからだと思われます。再度、ロックダウンすれば世界経済はさらに大きな打撃を受け、秩序崩壊に至ることは確実です。それをわかってロックダウンに世界を誘導しようとしていると思われ、スウェーデンのコロナ対策を批判するマスコミの背後には、世界の経済秩序を転覆させ、自らが権力を手に入れようとたくらむ勢力が存在していると思われます。

 

■スウェーデンの新型コロナウイルス対策が「完全なる失敗」に終わったと言える理由2020年6月4日

スウェーデンは新型コロナウイルス対策としてのロックダウン(都市封鎖)を実施しなかったことで、当初は一部の賞賛を集めていた。ところが結果として、人口100万人当たりの死者数が世界的にも高い水準になってしまった。もはやスウェーデンの対策は「完全なる失敗」に終わったのではないか。

英国など当初は厳格な規制に否定的だった国が方向転換してロックダウンに踏み切るなか、スウェーデンは基本方針を変えていない。その結果、人口100万人当たりの死者数は隣国ノルウェーの10近くになり、近隣諸国は国境を開放してもスウェーデンとの往来は禁止している。

ルンド大学のフランクスは、「ノルウェーと同様の抑止策をとっていれば、確実に死者数を減らせたはずです」と断言する。

今回の取材で話を聞いた専門家たちは、いずれも公衆衛生庁が現在の戦略に「固執」し、感染拡大の抑止に向けて役立つデータを無視していることに懸念を示していた。 

■スウェーデンの新型コロナ感染者数が1日最多に、死亡率も世界屈指2020615

スウェーデン政府の公衆衛生局は611日、1日あたりの新型コロナウイルス感染確認者数が過去最高の1474になったと明らかにした。これまで最も多かった4日の記録をほんの数日で塗り替えた。

公衆衛生局の感染症担当者は11日の記者会見で、感染者数の増加は全国規模で検査を拡大した結果だと述べた。検査対象には軽症者も含まれる。

感染者数が増加している一方で、コロナによる死者と重症患者の1日あたりの増加数は4月をピークに減少している。それでも死亡率は世界でも有数の高さだ。ジョンズ・ホプキンス大学のデータによれば、感染者の10%が死亡する計算だという。

3日にスウェーデン政府の疫学専門家アンデシュ・テグネルは地元ラジオ局の取材に応じ、政府のコロナ対応に問題があったことを認めた。もっとも彼は、公式な記者会見では政府の戦略は正しかったという立場を崩していない。このインタビューでテグネルは「もし、今と同じだけの知識を手に同じ病気と遭遇したとしたら、スウェーデンと他の国々の中間の対策を取っただろうと思う」と答えたとロイターは伝えている。

■スウェーデンが「集団免疫戦略」を後悔? 感染率、死亡率で世界最悪レベル2020623

新型コロナウイルス対策でロックダウン(都市封鎖)を行わず、集団免疫戦略を取るスウェーデンで617日、約1カ月ぶりに1日の死者が100人を超えた19日時点で感染者数は56043人、死者数は5053人に上る。人口100万人当たりで換算すると、感染者数も死者数もアメリカに並び世界最高レベルに達している。

ロベーン首相は6月半ば、スウェーデンのコロナ戦略の「成否を判断するのは時期尚早だ」と発言。「わが国も主要な戦略では他国と変わらない。つまり国内の医療システムが対応できるレベルに感染を抑えているということだ」

■世界はまだ理解していない-スウェーデンのコロナ対策指揮する疫学者2020629

スウェーデンは新型コロナウイルス感染症(COVID19)の死亡率が世界で最も高い国の1つだが、ロックダウン(都市封鎖)を講じないよう政府に助言してきた疫学者アンデシュ・テグネル氏は、同国の戦略が全般的に誤解されたままだと主張している。

スウェーデンの戦略は社会活動の大半を続けながら人と人との距離を保つ指針を順守するよう人々を訓練するものだが、世界は長く先の見えない新型コロナとの闘いでまだ第1段階にあるため、長期的な対応ではこうした戦略が唯一現実的な方法だというのが同氏の持論だ。

テグネル氏は厳しいロックダウンは一時的には流行を抑制するが、感染の再拡大を阻止できないと懸念している。同氏はロックダウンには回避できない代償もあると指摘。「あらゆる医薬品に副作用があるのと同じように、流行への対策にもマイナスの影響がある」とした上で、家庭内暴力や孤独、大量の失業を挙げている。

■コロナ独自路線のスウェーデン方式、死者多数もいよいよ「効果」が見えてきた2020年6月29日

新型コロナ第2波の警鐘がいまだ鳴りやまぬが、いざその時が来た場合、「ロックダウンしない」スウェーデンの手法こそが日本にぴったりの方策では?

人口が日本の12分の1ながら、62日時点で死者は4795人、100万人あたりの死者が507.17人と、7.55人の日本はおろか世界各国の中でも上位となっており、最近では「失敗だった」とする言説が世界中にあふれている。おおむね好意的だった日本国内の報道とは対照的だ。いったいどう評価すべきなのか。

スウェーデンのやり方を批判する人がその理由に挙げるのは、すでに述べた通り感染による死者の多さだ。そこは前出のジェセック教授やテグネル氏も認めている。テグネル氏は430日、「感染・発症する人が増えるのは計算していたが、死者がここまで増えるとは驚きだ」「高齢者の施設から疫病を遠ざけておくのは、ベストをつくしたとしても難しい」とコメントした。

しかし、スウェーデン方式を全否定するのはやや早計に思われる。すでに述べたように、医療崩壊を防ぐという第一の目標は達成されているし、テグネル氏も「高齢者施設などでは、よりよい方法があったかもしれないが、感染防止の戦略はおおむねうまく機能した」「次に大きな感染が起きても同じような対策を実施するつもり」とコメントしている。

加えて、「ロックダウンはムダだった」論は、パンデミックの早い段階でスウェーデンのみならず随所から上がっている(過去記事『緊急事態宣言「全く不要だった可能性」の指摘も』参照)。日本国内でも、611日の大阪府の「新型コロナウイルス対策専門家会議」で、大阪大学核物理学センター長の中野貴志教授が、「データを見る限りでは、(外出・営業の自粛と感染拡大との間には)相関が少ない」と明言するなど、ここ数カ月で蓄積されたデータの分析によって徐々に説得力を持ち始めている。

List    投稿者 dairinin | 2020-07-02 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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