2022-04-23

逆境から進化する企業(1) ~地元の特産品を自販機で販売!三浦商店@秋田~

コロナ禍も3年目に入り、最近ではマスクはいつまで着用するのか、といった議論も出始めているようですが、大きく社会を変えることになったこのコロナ禍で、多くの企業が経営的に窮地に追い込まれました。

 

(画像はこちらより)

そんな逆境の中、新しい発想や事業を生み出すことで、進化・成長した企業を紹介したいと思います。

(※当ブログは経済ニュースをマクロ的視点から見た記事をお届けしていますが、最近は暗いニュースも多いので、実体経済に近く展望が開ける記事をご紹介していきます

 

題して、「逆光から進化する企業」シリーズ。
第1回は、秋田県横手市にある有限会社「三浦商店」さんをご紹介します。

 

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「三浦商店」さんは、1988 年に父親の三浦一美氏が、稲庭うどんを中心に秋田県の物産を扱う製造卸売業として創業。2009年、秋田県横手市にあるご当地グルメの祭典「B-1グランプリ」で「横手やきそばサンライズ」でゴールドグランプリを獲得し一躍有名に。この「横手やきそば」、実は10数年前までは市内のスーパーでしか販売されていなかったと言います。
そこで、広く全国に「横手焼きそば」を届けたいとの思いから、長い年月をかけて、数ヶ月の常温保存が可能な商品を開発。

 

ところが、活路が開けたかと思いきや、販路開拓に苦慮します。例えば、観光客が多く利用するJR横手駅では、お土産の設置が見送られ、お客さんが「横手やきそば」を購入する場所も機会もない、という現実に直面します。

 

そこで現社長の三浦勝則氏が発案したのが、24時間365日販売可能な自販機での販売でした!
自動販売機でカロリーメイトの箱入りを販売していたり、秋葉原でおでんの缶詰を販売しているのを見て、閃いたそうです。
自販機であれば、店舗ほどの経費をかけずに、簡単に消費者に届けられます
使用していない飲料の自動販売機を借りて、2019年10月に実験をスタートし、筒入りの焼きそばがスムーズに自販機から出るようになるまで、約4ヶ月間の試行錯誤を経て、2020年1月、ようやく実用に至ります。

自販機で売られている「横手焼きそば」!(一食入り300円)
(画像はこちらより)

 

しかし、せっかく開発した直後の2020年2月、日本でもコロナ禍が始まります。
3月、全体の売上が前年比約4割減、4月には前年比約8割減まで落ち込んだと言います。商品は早めに仕込むので、大量に廃棄ロスが出てしまったことが原因だったようです。2020年の売上高は、前年よりも35%ほどの減。しかし、2021年10月の緊急事態宣言などの解除後、回復傾向にあるようです。

 

今では、道の駅十文字、秋田空港、秋田市内、岩手県北上市、横手市内のビジネスホテルと、横手やきそばの自販機は、合計7台まで拡大
1台当たりの売上は平均して月約6万円らしく、「月に5万円売れば、機械代、設置費を含めて1年半で元が取れるので、採算は十分に合う」そうです。

 

東京など都市部のコンビニでは社会実験として無人コンビニが設置され始めました。人件費を抑えるために、ICTやAIを駆使した高度な店舗形態ですが、この「三浦商店」さんのように、地元を中心に既存の自動販売機を活用しながら、新たな発想で活路(販路)を見出す、という発想は、資源の有効活用面でも学ぶべき点が多いと思います。
コロナ禍という逆境にも耐え忍び、工夫思考で進化する企業。今後も要注目です。

 

(参考:広報誌「日本公庫つなぐ」24号 2021年12月版
List    投稿者 dairinin | 2022-04-23 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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