2022-10-16

原子力を巡る世界の動き

ロシアとウクライナの戦争は、「エネルギー戦争」と呼ばれるほど、世界のエネルギー情勢を大きく変えた。
各業界でのエネルギー高騰→価格高騰の影響は大きい。
さらに数年前から「脱炭素ビジネス」が盛んになり、原子力発電がクリーンエネルギーと呼ばれるように。
チェルノブイリ・福島であれだけの事故がありながら、「地球のため」になる安全なエネルギーとして世界(特に西側諸国)は原子力発電に舵を切った。※ドイツ・オーストリアは反対姿勢

だとして、その原子力発電を開発しているのは誰なのか。
アメリカはもちろんだが、世界で最も開発を進めているのは、ロシアと中国。(もちろん、軍事開発起点ではあるが)

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ヨーロッパ諸国でも原子力発電について、ロシア産の原子力発電を継続する国と他国産のものに切り替える動きで2極化。
https://www.fepc.or.jp/library/kaigai/kaigai_topics/1260879_4115.html

→戦争が長引けば長引くほど、ロシアの天然ガスは高騰し、ロシアは儲かる。のは間違いない。
→脱炭素ビジネスの流れに加えて、西側諸国は脱ロシア依存で声を揃え、原子力発電への転換を加速させている。
※最近では環境活動家のグレタ氏の原子力発電擁護発言も目立っている。世論への影響も大きいか。

→だとして、ロシアはそれを指をくわえてみているのか?原子力発電に必要なウランはロシアが自国の影響圏として重要視する、カザフスタン。(今年もCSTO:ロシア軍を主力とする集団安全保障条約機構軍 による暴動鎮圧など力を入れている)

→ロシアの天然ガス(貯蔵資源)に頼らない路線にしたとしても、原子力発電の導入には何かしらか、ロシアor中国の力が必要?
どう転んでも、アジアの大国であるロシア・中国が勝つ という構造か?土俵をつくりあげた両大国にもはや敵はいないのかもしれない。

■JB Press https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/70906 より引用
EU(欧州連合)はネットゼロを提唱し、2050年にCO2排出ゼロにする目標を打ち出していた。そのリーダーがドイツだったが、ウクライナ戦争でパイプラインが遮断される危機に直面し、EU委員会は原子力とガスを持続可能な(非化石)エネルギーに含める提案を出した。

ガスは化石燃料だからこれはご都合主義だが、ゲームで不利になったら、ゲームのルールを変えるのがEUの得意技である。

ウクライナ戦争で化石燃料の価格が急上昇する中で、原子力をめぐる状況が大きく転換している。脱炭素化の「タクソノミー」をめぐって議論が続いていた欧州議会は7月6日、原子力と天然ガスを「持続可能」と認めるEU委員会の提案を承認した。これには法的拘束力がないが、今後の脱炭素化投資では原子力が有力な選択肢となる。

昨年(2021年)「ネットゼロ」(温室効果ガス排出実質ゼロ)報告書で再生可能エネルギーがエネルギーの主役だと謳い上げた国際エネルギー機関(IEA)は今月、2050年に原子力発電量を2倍にする必要があるという報告書を発表し、「原子力の新しい夜明け」を予言した。

EU(欧州連合)はネットゼロを提唱し、2050年にCO2排出ゼロにする目標を打ち出していた。そのリーダーがドイツだったが、ウクライナ戦争でパイプラインが遮断される危機に直面し、EU委員会は原子力とガスを持続可能な(非化石)エネルギーに含める提案を出した。

ガスは化石燃料だからこれはご都合主義だが、ゲームで不利になったら、ゲームのルールを変えるのがEUの得意技である。

これは単なる電力の問題ではない。6月15日、ロシアで「サンクトペテルブルク国際経済フォーラム」が開かれた。これは「ロシアのダボス会議」とも呼ばれるロシア政府の大イベントで、今年はG7(先進7カ国)はすべて欠席したが、中国やインドやブラジルなど127カ国が参加した。

例年に比べて1割ぐらい減ったが、いわゆるBRICsはすべて参加したわけだ。国連のロシア軍の即時撤退を求める決議にも141カ国が賛成する一方、中国やインドなど35カ国が棄権した。

これは「ウクライナ侵略に対する西側の経済制裁でロシアは孤立している」という日本人のイメージとは違うだろう。ロシア経済はまだ健在で、少なくとも中国とインドはその味方なのだ。

IEAが強調するのは、原子力開発の主導権が中国とロシアに握られているという事実である。西側のエネルギーが脆弱になると、今回のようにエネルギーがロシアの「武器」になる。エネルギーの安定供給を確保することは、国家の安全保障にとっても重要なのだ。
=引用終わり=

■東京新聞 https://www.tokyo-np.co.jp/article/159197 より引用
米国vsロシア「原発ビジネスバトル」が激化 旧共産圏各国の「脱炭素」機運で商機狙う

>ロシアを盟主としたユーラシアの旧共産圏で、原発導入の動きが相次いでいる。「脱炭素」の流れで火力発電を敬遠する動きが強まったのが契機だ。ロシアが旧ソ連諸国を相手に「原発外交」を強める一方、米国も東欧でのロシアの影響力を弱めようと原発輸出に積極的だ。
近年、温暖化対策や過疎地のエネルギー源として、ロシアや米国が小型原発(小型モジュール炉)の開発を急いでいる。工期が短く「安全性も高い」とうたっているが、事故のリスクについて明らかになっていない点も多い。

>シアは洋上で発電する「船舶型原発」(出力7万キロワット)を実用化し、北極海に面した街に停泊させて住民に電気と熱を供給している。船舶型のため小回りが利き、電気を必要とする地域に自ら赴ける利点がある。
米ベンチャーも格納容器ごとプールに入れて稼働させる小型炉を開発中。地震などの非常事態でも炉心を安全に冷却できるとの発想だ。いずれも核の廃棄物が出るなどの課題は変わらず、導入に反対する声は世界で根強い。
by mochi

List    投稿者 motiduki | 2022-10-16 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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