注目の集まる小型原子力発電
昨今小型の原子力発電に注目が集まっています。カーボンニュートラル=CO2の悪者化の徹底され、CO2排出量が多いものは縮小していく傾向がある。自動車を筆頭にガソリン等の燃料駆動から電気駆動への転換しているが、それはイコール必要電気量の増加へと向かっている。そこでクリーンな電力として風力やソーラーと並び原子力発電が注目されている。
風力やソーラーは天候等の影響を大きく受けるため、安定した発電が難しいため、そのの影響を受けない基盤となるクリーン電力=原子力発電は世界的に注目が高まっている。
そこで「超小型原子炉の教室 :苫米地英人 (著)」の内容に可能性を感じる部分が多々ありましたので、ご紹介させていただきます。
■2021年世界的に小型原子炉ブーム
原子力大国フランスは10憶ユーロを投資し、2030年までに複数のSMR(小型モジュール炉)導入予定
ルーマニアではアメリカのニュースケール・パワー社のSMRを12基導入を発表
イギリスではロールスロイス者がSMRの設計に乗り出し開始
ビルゲイツのテラパワー社も小型原子炉、次世代原子炉に開発をシフト。
世界的に小型原子力発電導入、導入に向けた発表がされているが、そもそもなぜ小型原子力発電なのか
小型の理由は小型モジュールによりパーツを工業製品化(規格化)する事でエラーが出にくく、安全性が高いというところから。
■小型とは?
ニュースケール・パワー社のSMRは出力7.7万KW
ロールスロイス社は47万KW
日立ニュークリアエナジー社は出力30万KW
テラパワー34.5万KW
これまでの主流が100KW超だったため、小型と言われているが福島第一原発が46KWと考えると決して小型ではないものも小型と言われている。
■日本はどうするのか
日本では3.11から原子力発電に消極的といった印象があるかと思われるが、条件付きで再稼働が始まっている。
そもそも自民党の「立党宣言」の冒頭に「原子科学の発展と共に、全人類の歴史は日々新しい頁を書き加えつつある」さらに、「党の使命」には「~原子科学の急速な進歩は、一面において戦争の努力に拍車を加え」、「党の政綱」の3番目の「経済自立の達成」の最後に「原子力の平和利用を中軸とする産業構造の変革に備え、科学技術の振興に特段の措置を講じる」とある。
⇒そもそも自民党は左翼政党に対抗するためにGHQの肝いりでつくられた政党。
戦時中10万人の科学者や技術者が原子力の研究に関わっており、その受け皿が必要。その政策が色濃く出ている。自民党は原子力の平和的利用を中軸に置いているため日本でも推し進められることになるだろう。
■超小型とは
日本の服部博士が開発した4S炉
5万KWタイプなら20年メンテフリーで稼働し続け、自動で停止する。
1万KWタイプは30年稼働可能。1980年に論文を発表したものの、それでは政府が喜ばなかった⇒100万KW以上の物のみ評価され、服部博士の研究内容は虐げられた。
おそらく、アメリカが喜ばなかった。アメリカの技術や人を使ったものでなければ意味がないという事。
直径1m以下の超小型原子炉仮に炉心温度が上昇しても、中性子が原子核にぶつかる事がないため、核分裂が自然に止まるとのこと。
ウラン燃料にジルコウムを10%混ぜて作る金属燃料は高温になっても、ひび割れが発生せず、30年以上使う事が出来るという実績がある。
さらに核分裂物質クリプトンやキセノンが発生し金属棒が気泡で包まれ、後に自然と核分裂が停止する。
炉内の中性子を調整する制御棒の出し入れ時に事故が起きている。
その手間もなくなる事で非常に安全性が高い。
あくまで概要的な紹介ではありますが、是非興味がある方は一読してみてもよいかもしれません。
原子力発電は大きな力ではあるが、人間がまだコントロールしきれていないが故に、これまで多くの犠牲が出ているため、簡単に導入して良いとは思いません。
ただ、使い続ける事を止めることができないのであれば、出来うる限り安全な形で使う事が必要だろう。今後超小型原子力発電が注目される可能性が高い。
その上で社会の流れに注目をしていこう。
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