2020-08-21

どうなるアメリカ大統領選挙(マスコミ報道ではバイデン氏有利だが、実態は?)

jijibiden

11月3日のアメリカ大統領選挙まで3か月を切りました。民主党の大統領・副大統領候補はバイデン氏とハリス氏に正式に決定。トランプ大統領はコロナウイルス対策の失敗も指摘されておりバイデン氏が優位に選挙戦を進めているとマスコミは報道しています。しかし、反トランプ色の強い3大ネットワークとは違う世論調査では、8月5日時点でバイデン氏48%、トランプ氏45%まで差が縮まったと言う結果も出ています。トランプ大統領逆転の可能性はあるのでしょうか、調べてみました。

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結論から言うと、今のところバイデン氏が有利に進めているものの、絶対優勢とは言えない状況で、トランプ氏逆転の可能性も十分にあるようです。バイデン氏のマイナス要因は次の4点が指摘されています。

  1. 77歳という高齢で、2期目を務めるとなると82歳になり健康問題に不安がある。
  2. そもそも民主党の代表選びでも苦戦し、民主党の主流派からの支援で何とか代表に選ばれたと言う経緯がある。
  3. バイデン氏もハリス氏も親中派で、米中関係が悪化する中で攻撃材料となる。
  4. 副大統領候補のハリス氏は黒人系の副大統領候補だが、それが弱点になる可能性もある。

迎え撃つトランプ大統領ですが、アメリカ経済の再生を果たしたことが最大のセールスポイントでした。それがコロナ対策の失敗で、感染の拡大と経済の失速という2重苦に陥り大きく支持率を落としてしまいました。バイデン候補が強くて負けていると言うよりも、トランプ大統領の失策で評価が落ちたと分析できます。

そこで、トランプ大統領が打ち出しているのが、「中国叩き」と「コロナワクチン開発」です。コロナを「チャイナ・ウイルス」と呼ぶことで、中国に責任を転嫁し、「原因と敵は中国」という明快なストーリーを打ち立てることもでき、対立候補を親中国派として非難することもできます。

そして、ワクチンを開発できれば、トランプ大統領は中国にもコロナウイルスにも勝利した英雄となり、選挙戦を一気に逆転することが可能となります。

加えて、トランプ大統領の支持者には、トランプを支持しているのに世論調査では『支持していない』と言う“隠れ支持者”が多数いるようで、それを図ることができる「義烏指数」(ぎうしすう)はトランプ大統領の復調を示しているという情報もあります。世論調査が僅差であれば、トランプ大統領が勝利できる可能性は高い様です。

 

■トランプ陣営が虎視眈々と狙う「バイデンの不都合な真実」2020年8月4日

アメリカ大統領選挙は、直近のデータでバイデン氏がリードを広げている。が、それでも絶対優勢と言えない理由は、バイデン氏の高齢・健康問題に加え、「民主党候補になれた経緯」にもあるという。

77歳という高齢のバイデン氏が、再選まで視野に入れるのが常識の大統領選で、自分の任期と年齢についてどのようにプレゼンテーションするのかも注目しておくべきだ。2期目の就任時は82歳である。それから4年間、大統領を務めるというのは現実的な話なのか。

バイデン氏は、自らの力で民主党の大統領候補になったとは言えない。予備選の前半、バイデン氏は苦戦し、トランプ氏に対抗できる有力候補が見当たらない党内の状況を民主党主流派の重鎮たちは心配した。そこで、2月のサウスカロライナ州の予備選で、強力な黒人リーダーであるクライバーン下院議員にバイデン氏を推薦させ、ようやく予備選初勝利を達成させて、バイデン躍進の流れを作ったのである。

9月末に行われる最初のテレビ討論でトランプ大統領と互角にわたり合えば、バイデン氏の勝利は確実になると思う。逆に、それまでは予断は許さない。まだ選挙民が疑問を持っている「アメリカの大統領にふさわしい資質」を示せるかどうかである。

■ハリス氏の登場で明確になってきたトランプ大統領再選に向けた人種分断戦術2020年8月16日

8月13日の会見でトランプ大統領は、カマラ・ハリス上院議員には副大統領候補になる資格が無いと発言。トランプ大統領自身が明確には語っていないが、ハリス氏が生まれた当時、両親がアメリカの永住権を持っていなかったという指摘らしい。既に知られていることだが、ハリス議員はジャマイカ出身の父親とインド出身の母親の長女としてカリフォルニア州のオークランドで生まれている。

トランプ大統領は、この選挙を明確に白人VS黒人と位置づけたということだ。人種対立を煽ることで、自身の基盤と考える白人の中流、低所得層への支持を浸透させる狙いが有るのだろう。この人種の対立が、そうした白人の多い州では少なからず支持を得る状況が生まれていることだ。それは2016年の選挙後に私自身が取材して回った感触でも言えるが、その背景には、2045年に人口に占める白人の割合が50%を割るという米国勢調査局のデータが有る。「自分たちは多数派ではなくなる」という白人の、特に低所得者の危機感は、2016年より更に強くなっている可能性が有る。

■トランプ、ここへきて「中国叩き」と「コロナワクチン開発」を焦る本当のワケ2020年8月19日

新型コロナウイルス感染症へのワクチン開発競争が佳境を迎えているが、このワクチン開発競争は11月に行われるアメリカ大統領選挙と密接に結びついていることをご存知だろうか。トランプ米大統領は、ワクチン開発の方針をこう掲げた。プロジェクトは「オペレーション・ワープ・スピード」と名付けられ、時空をワープしてしまうほどの高速で開発が進められているのである。先の大統領選のキャッチフレーズ、「メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン」が掲げられたトランプ大統領の選挙用のサイトにも、7月22日付の投稿でワープ・スピード作戦が高らかに歌い上げられていることだ。つまり彼にとってワープ・スピード作戦は、大統領選の切り札でもあるのだ。

昨今の米中新冷戦の深化も大統領選と密接不可分の関係にある。いまの中国への強硬姿勢は、トランプ大統領の選挙戦略と見事に一致するからだ。コロナショックによる景気低迷で支持率が低迷中のトランプ大統領にとって、中国叩きは挽回のためのカードである。コロナを「チャイナ・ウイルス」と呼ぶことで、中国に責任を転嫁し、「原因と敵は中国」という明快なストーリーを打ち立てることもできる。こう考えれば、少なくとも大統領選が終わるまでは米中新冷戦の悪化は不可避だろう。

アメリカで最も影響力のあるギャラップの直近の調査では、トランプ大統領の支持率は低迷している。就任以来の支持率は平均で40%強を堅持してきたが、6月8日~30日にかけての調査では38%とついにアベレージを割り込んだ。最低だった17年12月の調査時の35%に迫ろうとしている。

アメリカのマスメディアはリベラルがほとんどで反トランプばかりだが、トランプ大統領に対する国民の見方を分析するうえで、筆者が注目してきたのは、唯一反トランプ色の薄いFOXニュースである。ところが、7月に入ってからはFOXさえも厳しい論調が目立っている。トランプは史上最大の景気の落ち込みに見舞われており、これは極めてネガティブな要因となる。

■「世論調査に出てこないトランプの“隠れ支持者”がいる」米大統領選で注目集める「義烏指数」とは?2020年8月19日

再選を狙うトランプ大統領との選挙戦が注目を集めているアメリカ。その中で大統領選を占う「義烏指数」(ぎうしすう)が話題になっている。“義烏”は中国浙江省にある義烏市のこと。日用品の一大生産地であり、世界最大の卸売市場がある。先進国から玩具やTシャツなどの注文が殺到している場所だ。2016年のアメリカ大統領選では、トランプグッズの注文がヒラリーグッズの注文を上回っていたという。

アメリカからの注文数で選挙情勢を占う義烏指数。義烏に工場を持つ経営者によれば、今年の大統領選のグッズについて「今年の5月まではバイデン氏の旗の注文がトランプ氏を上回っていたが、6月に入った後にトランプ氏の旗と帽子(の注文)が増え始めた。注文数は現在同じくらいだ」という。

義烏指数が注目されているもう1つの理由が、世論調査に出てこない“隠れ支持者”の存在だ。トランプを支持しているのに、世論調査では『支持していない』と言う“隠れ支持者”がいる。4年前の大統領選でもそうだった。その結果、世論調査のデータと投票結果が違ったのだが、今回もそれが起こると予測している調査会社がある。

■米大統領選後起こりうる驚愕の4つのシナリオ「ハリス副大統領候補」で民主党は本当に優位か2020年8月19日

「米3大ネットワーク」の調査とは違った、ラスムセン・レポート社のデータによると、直近の8月5日の大統領選挙に対する調査では「バイデン氏48%、トランプ氏45%」となり、双方の差は3ポイントまで縮小していた。ラスムセン調査では、ハリス氏が確定した直後の12日の調査で、バイデン氏とトランプ大統領の支持率の差は再び6%まで拡大した。ハリス氏の選定は、一定の効果があったことになる。

ハリス氏が選ばれたことをいちばん喜んだのは中国ではないか。そして2番目に喜んだのは、トランプ大統領の選挙チームだろう。なぜなら、ハリス氏は、コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼ばないようにする法案を自分が中心となって提出しているからだ。米中関係が悪化する中、トランプ陣営がハリス氏を攻撃する材料になる。バイデン氏本人は「オバマ政権時代、中国を膨張させた中心人物」というイメージはまったく払しょくできない。

大統領選の実際の見通しはどう考えればよいのか。最新ではトランプ大統領の「再選信号」は「赤から黄緑くらいへ改善した」くらいのイメージだが、今後のモメンタム(勢い)はコロナと株価でいくらでも変わる。よって、青信号になることは最後までないと考える。

だが1つ確実に言えるのは、この大統領選は、接戦になった場合、出口がみえない泥沼に入り、アメリカそのものを弱体化させる可能性を持つことだ。それを避けるため昨年発足したのが、超党派組織の「Transition Integrity Project」である。今回紹介したいのは、この組織が8月3日に出したレポートだ。

レポートでは、11月3日の大統領選で以下の4つのケースを想定する。すなわち①コロナの影響などで開票が進まない②バイデン氏圧勝③トランプ氏圧勝④バイデン氏僅差での勝利、だ。そして、その全てのケースで起こるであろう混乱を具体的に紹介している。トランプ陣営が以下の条件を飲めば、民主党はトランプ大統領の再選を認める可能性を示唆する。その条件とは(1)ワシントンDCとプエルトリコを州に格上げする(2)カリフォルニア州を5つに分割することだ。

たとえどんな結果になるにせよ、11月3日の選挙後のアメリカの混乱が、過去の想定を大きく超えることだけは確かだろう。それは日本人のわれわれ自身が、このレポートを出した組織を見習って、あらかじめ想定しておくべきだろう。

List    投稿者 dairinin | 2020-08-21 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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