2018-03-08

反グローバリズムの潮流(イタリアの総選挙はEU懐疑派の勝利)

Beppe_Grillo_3前回紹介しましたイタリアの総選挙「反グローバリズムの潮流(イタリアの総選挙、与党政党も反EU政策を掲げる)」ですが、3月4日に投票が行われ、反EUを掲げる中道右派連合「同盟」が最大勢力となり、単独政党ではポピュリズム政党である「五つ星運動」が第1党となり、EU寄りの緊縮財政を進めてきた与党は大敗北しました。今後、イタリアやEUはどうなっていくのでしょうか。

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今回の選挙で、極右勢力である「同盟」が最大勢力となった背景には、選挙制度の改正があります。皮肉なことですが、これはポピュリズム政党「五つ星運動」の勢力を削ぐためだったようです。今回の選挙で大きく変わったのが政党連合を認めたことです。これは、単独政党では「五つ星運動」を抑え込めないと考え、与党が勝利するために仕組んだものと思われます。

しかし、その結果、最大勢力となったのは、「五つ星運動」よりも過激な「同盟」でした。同盟は、63万人の移民のうち、5年間で60万人の不法移民を送還や、ユーロではなく、独自通貨の発行、EU条約より国内法を上位に位置付ける反ユーロ、反EUを提唱しています。

「五つ星運動」は得票を増やすために、今回の選挙ではEU離脱の国民投票を公約から外しまし、EUにも融和的な態度に変わってきました。反EU勢力である「五つ星運動」を排除するために、選挙制度を変えた結果、より過激な反EUを掲げた同盟が、最大勢力になったのだから皮肉なものです。それほど、イタリア国内では反EUの気運が盛り上がっているとみるべきでしょう。

今のところ、「同盟」も「五つ星運動」も政権樹立の意欲を見せていますが、まずは最大勢力である「同盟」が政権に一番近い位置にいることは間違いなさそうです。イタリアはEUの中で4番目の経済力を持つ国であり、イタリアに反EU政権が出来ると、ヨーロッパの反グローバリズムの流れは、一気に加速することになりそうです。

 

■混迷するイタリア総選挙とEUへの影響2018年3月3日

最新世論調査によれば、反移民、反EU、反既存政治を掲げる政党に支持が集まっている。今回の選挙はイタリア国政のみでなく2016年の英国EU離脱を問う国民投票以来、今後の欧州連合の方向性を大きく決める選挙となる。

世論調査によれば、現政権の左派連合の支持率は3割を満たない。五つ星運動の支持率が左派連合を逆転する勢いにある。五つ星運動の支持率は27%で政党支持率1位である。しかし、反移民・反EUの中道右派連合の支持は4割を上回る勢いにある。中道右派連合による政権が誕生する可能性が高まっている。

中道右派連合サルヴェーニ氏はイタリアにこれまで渡った63万人の移民のうち、5年間で60万人の不法移民を送還、国境警備の強化を公約とする移民排斥政策、イタリアのイスラム化の脅威に警告を鳴らしている。また、ユーロではなく、独自通貨の発行、EU条約より国内法を上位に位置付ける反ユーロ、反EUを提唱している。

■3月4日(日)はイタリア総選挙!確認しておくべき5つのポイント2018年3月3日

これまでの欧州諸国の選挙動向、傾向としては、極右の台頭や躍進が目立つ。今回のイタリア総選挙において、まず注目しておくべきなのは、今回の総選挙が2017年11月に施行された新選挙法に基づいて行われることだ。

新選挙法で見逃せないのは、同法が「五つ星運動」を実質的に狙い撃ちにしているとみられる点だ。かつてはEU離脱の是非を問う国民投票の実施を主張していたこともあるなど、大衆の持つ不満を率直に支持するポピュリズム政党として「五つ星運動」は国民の中・下流層から圧倒的な支持を得てきた。

新選挙法は、事前に「提携宣言」をすることにより、各政党が「政党連合」を作ることを認めている。いかに「五つ星運動」が単独政党としては支持率トップだったとしても、「北部同盟」などの地方政党に代表される「顔の見えやすい政党」と比べれば、不利な状況に置かれていることに間違いはないだろう。

今回の総選挙で候補者を擁立している政党は30近くに上るが、有力なのは「右派連合」「中道左派連合」「五つ星運動」、および左派の「自由と平等(LeU)」の4グループとなる。この中で支持率を徐々に高め、現在では37%以上を占めていると見られるのが「右派連合」だ。

■イタリア総選挙、ハングパーラメントへ 右派・ポピュリストに支持集まる2018年3月5日

4日に実施されたイタリアで総選挙が開かれ、右派寄りとポピュリズム(大衆迎合主義)政党への有権者の支持が集まるなか、過半数を占める政党がないハングパーラメント(宙づり議会)となる見通しとなった。

BBCのカティヤ・アドラーBBC欧州編集長はツイッターで、「有権者は、最近の欧州各国で中道左派が罰せられたのと同様、中道左派政権を罰した」とコメントした。「理論的には、五つ星運動と同盟(旧北部同盟)が連立を組むという、欧州にとっての悪夢が現実になる可能性がある」と指摘した。

選挙の主要な争点<移民問題>2013年以降、リビアから地中海を渡る危険な旅を経て、イタリアに到達した移民は60万人以上。多くのイタリア国民は大量の移民の到着に不満を高めており、主流派を含む政治家たちが、移民に対する厳しい主張をするようになった。

<経済>イタリア経済は再び拡大基調にあるが、世界金融危機から約10年が経過したなか、イタリアの国内総生産(GDP)は依然として、危機前より5.7%低い水準にある。2016年には、約1800万人が貧困に陥る危険に直面し、失業率は11%に上っていた。

選挙結果が注目される理由、イタリアの経済規模は欧州で4番目で、EUや欧州の一部の国にとって、ポピュリズムや極右政党の台頭は大きな懸念となっている。候補者たちは口をそろえて、EUの財政規定が景気回復を妨げていると批判。五つ星運動や同盟は一時、ユーロ圏離脱を問う国民投票の実施を公約に掲げていたが、その後、取り下げている。

■イタリア総選挙、「急進的な政権」以外に選択肢なし2018年3月6日

イタリアは総選挙の結果、急進的な政権を樹立する以外の選択肢が断たれた。新政権を率いる可能性が高いのは、新興組織「五つ星運動」と極右政党「同盟」のいずれかだ。ディマイオ氏率いる五つ星運動の得票数は下院が227議席、上院が113議席と、過半数の316議席、158議席に遠く及ばない。同盟は、ベルルスコーニ元首相の「フォルツァ・イタリア」も属する中道右派連合の最大勢力だが、両党併せても過半数には下院で30議席、上院で35議席足りない。このままでは同盟のサルビーニ書記長を首相に指名できない。

五つ星運動のディマイオ氏と、右派連合で最大勢力となった同盟のサルビーニ氏は、いずれも次期政権を担うと主張している。サルビーニ書記長は大連立の可能性を否定。単一通貨ユーロは失敗だったとの持論を繰り返したが、ユーロを巡る国民投票は実施しないとしている。31歳のディマイオ氏はすべての政党との協議に応じると述べた。

■イタリア総選挙で躍進の政党「五つ星」 政権入りへ妥協の道歩むか2018年3月7日

イタリア総選挙で新興組織「五つ星運動」は最大の勝者になった。だが皮肉なことに、政権樹立のためにはこれまで批判対象としてきた既存政党と恐らく手を組まざるを得ず、非常に厳しい選択を迫られている。

単独政党としては2位に得票率で約13%ポイントの差をつけて首位に躍進。五つ星を外して政権を立ち上げるのは、不可能ではないにしても相当難しくなった。ただ五つ星も単独で政権を担当するほどの議席数は持たないため、つい最近まで排除してきた道を行く必要が出てくる。腐敗勢力でイタリア経済凋落の責任者だとこき下ろしてきた主要政党との妥協だ。

これまで五つ星と同盟は、欧州連合(EU)の財政ルールや大企業、ユーロに反感を抱くという共通点があり、政治的に連携するのが自然とみなされてきた。ただ本来的に五つ星と同盟は毛色が異なる上に、ディマイオ氏がユーロ懐疑主義の姿勢を弱めて主要政党側に歩み寄ったことで、最近はさらに違いがはっきりしている。

しかも同盟と組めば、五つ星が主な地盤としているイタリア南部の多くの有権者が動揺するかもしれない。同盟は逆に北部を地盤としており、改称前の名乗りは「北部同盟」で、指導部や支持者は南部の人々を怠け者などと嘲笑していた。

五つ星にとって、既存政党としての特徴が最も強いPDと連携する道も、許容度という面では同盟とそれほど差はないかもしれない。しかし次期首相を選ぶマッタレッラ大統領にとっては、同盟の場合よりもずっと受け入れやすい組み合わせになるだろう。五つ星ディマイオ氏とマッタレッラ氏から見ると、幅広い政党連合による連立が恐らく最も好ましい。議会で安定多数を確保し、事前に合意した改革策が承認される可能性が一番大きくなるからだ。

List    投稿者 dairinin | 2018-03-08 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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