2022-07-26

世界経済を左右する中央アジアの動き

 依然として混沌とした状態が続く中央アジア。
中露関係の強化や、西側諸国の離脱・分解など、中央アジアの覇権は目に見えるように、大国中露へと移っています。
実は中央アジアでは、ロシアメディアの放映が非常に多く、
彼らにとっては、ロシアが世界を知るための窓口になっているというのです。

言わずもなが、あらゆる資源ポテンシャルを持つ、中央アジア。
政策レベルでも、民間人意識レベルでも、覇権はすでにロシアにあると見ていいのかもしれません。

そしてここにきて、インドが中国を牽制リンク
中国は、ロシアとの決済システム利用拡大へ向けて検討開始。テレ朝NEWS リンク
さらに、ロシア発の決済システム「SPFS」に12カ国・70行の海外金融機関が加盟。REUTERS リンク

ロシアーインドor中国の関係がより強固になれば、ロシアーインドor中国ー中央アジア諸国という、資源も人材(人口)も科学も揃う世界最強の派閥が形成されることとなります。
世界経済への影響も少なくはないでしょう。
今後の世界を読み解くうえで、この中央アジアの動きは着目が必要です。

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IDE―JETRO(混沌のウクライナと世界2022)第11回 ウクライナ戦争下の中央アジア――ロシアの「影響圏」での綱渡り より引用

>社会の反応とロシアメディアの影響

各国の民間レベルでは、開戦直後に反戦派やロシア支持派双方がデモを行ったとの報道が見られた。特にキルギスとカザフスタンではウクライナを支持するデモが多かったようである(Putz 2022)。キルギスの司法当局は3月14日、首都ビシュケク市内での集会を禁止する決定を下した (AFP 2022)。ただし、唯一中心部から離れ木立に囲まれたゴーリキー公園でのみその実施が認められ8、反ロシアだけでなく親ロシアいずれの集会も開催された。しかし、現地からの報告によると、当局は反戦集会への参加者のみを逮捕しているという(Wood 2022)。

カザフスタンの最大都市アルマティでも反戦集会が行われた。中央アジア研究者のエリカ・マラトは外交専門誌『ディプロマット』上のインタビューにて、今回のウクライナの事態によりカザフスタン政府は2022年1月に発生した騒擾から国民の関心をそらすことができたと述べるとともに、これまで政府が反中国集会に対して厳しい締め付けを行ってきたことを考えれば、(集会実施側と)政府とのコミュニケーションなしに開催は考えられないと指摘している(Putz 2022)。

キルギスとカザフスタンの両政府はバランスある対応に努めつつも、若干の相違が認められる。前述のとおり、カザフスタンのトカエフ大統領はプーチン同席の公開の場でウクライナ東部のいわゆる「未承認国家」について認めないと発言した。一方、キルギスについては「玉虫色」な対応から一歩出るような明確な態度は見られない。これは自立度の高さの違いが反映されていると考えられる。産油国であり経済力があるカザフスタンと、出稼ぎ労働者の送金に依存している国のなかでも特にロシアへの依存度が高いキルギスとの違いである。

以上のように民間レベルではウクライナ支持が見られるものの、各国社会の一定数はロシア側に立っている。4月7日に発表されたカザフスタンでの世論調査によると、回答者のうち10%がウクライナとの連帯を示した一方、39%がロシアの軍事作戦を支持したという(Demoscope 2022)。この調査は1100人を対象に行われ、そのうち77%がロシア語で回答した。調査を行った研究機関Demoscopeはロシア語話者とロシア支持には強い相関関係があると指摘している(Kumenov 2022)。

>この世論調査の結果とも関連して、中央アジアではロシアメディアが広く視聴されており、その影響力について軽視できないものがある。例えば、2015年に筆者がウズベキスタンの西部、カラカルパクスタン自治共和国の友人宅に泊まったときも、砂漠地帯の地方都市に位置するその家のテレビで「モスクワ市A通りのBスーパーでアイスクリームが○○ルーブル」というCMが流れており、強い違和感を覚えたものであった9。海外の報道や文化紹介など、ロシアメディアは中央アジアの人々にとって世界を知るための窓口かつ手段となっている。ロシアメディアはその内容の豊富さなどにおいて現地メディアよりも優れているというのが、ソ連時代からの一般的な理解である。したがってロシアのフィルターを通じた知やマインドが人々の中に形成されており、その影響力は大きい。そのため、各国で一定の割合の市民がロシアを支持するのは不思議ではない。

このような状況を危惧した在ウズベキスタンのウクライナ大使館は、ロシアによるウクライナ侵攻後、ウズベキスタン政府に対しロシアのテレビ番組の放送を差し止めるよう口上書を発出した(gazeta.uz 2022c)。しかし、その実現は非現実的であると言わざるを得ない。中央アジアにおいて「ロシア」は、外部から圧力をかけてくるものであると同時に、内面にも深く根ざしたものでもあるため、切り離すのは容易ではない。

=引用終わり=

List    投稿者 motiduki | 2022-07-26 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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