2020-02-13

反グローバリズムの潮流(さらに混迷が深まるドイツ)

無題昨年10月にドイツの状況を、反グローバリズムの潮流(ドイツはついに景気後退に、EU=グローバリズムの限界が露呈)で紹介しました。イギリスがEUを離脱した今、ドイツの状況はどうなっているか調べてみました。

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まず、メルケル率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と連立を組む社会民主党(SPD)ですが、昨年11月に行われた新党首選挙で、メルケル首相との連立に批判的な党首が選定されました。この時は、社会民主党(SPD)内の連立維持派も強い勢力があり、党の分裂を防ぐために連立を継続すると言う判断になったようですが、いつ連立が崩れてもおかしくない状況です。さらに言えば、連立を組んでいる社会民主党(SPD)がいつ崩壊してもおかしくない状況とも言えます。

さらに、テューリンゲン州の首相選挙では、州議会選挙でCDUと社民党が大敗し極右勢力AfDが躍進した結果、首相選挙でCDUの推す候補が極右勢力AfDの支持を受けて当選する事態に至りました。極右勢力を嫌うメルケル首相はこれを批判し、首相は1日で辞任すると言う大失態を演じます。

これを受けて、メルケル首相の後継としてキリスト教民主同盟(CDU)の党首となっていたクランプカレンバウアー氏は党首を辞任する事態まで発展しています。かつて4割を超えていた二大政党の支持率はCDUが27%、ドイツ社会民主党(SPD)が14%にとどまり、緑の党が22%、AfDが14%で追い上げるなか、クランプカレンバウアーでは次の選挙に勝てないと言う批判が高まったためです。

ドイツのこのような混乱状況を受けて、ユーロは対ドルで2017年5月以来の安値に下落。ますますドイツの混迷は深まています。

 

■ドイツSPD党首選、連立懐疑派が勝利 メルケル連立政権の先行き不透明に2019年12月2日

ドイツ連立政権の一翼を担う社会民主党(SPD)は11月30日、新党首を選ぶ党員投票の結果を公表した。メルケル首相の保守派との連立に批判的なワルターボーヤンス氏とエスケン氏のペアが勝利し、政権の行方に不透明感が生じている。ワルターボーヤンス、エスケン両氏は、メルケル首相のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)との連立協定を再交渉し、社会的公正や投資、環境政策をより重視した内容に見直すことを求めている。ワルターボーヤンス氏は公共放送ARDで1日、こうした取り組みに連立相手が非協力的であれば、連立を継続できないという決断を下さざるを得ないと述べた。

■独社民党、即時連立離脱は回避へ 賃上げなど条件闘争 2019年12月6日

ワルターボーヤンス氏らは「連立離脱自体が目的ではない」として即時離脱の道は選ばなかった。そのうえで(1)環境保護(2)インフラ投資(3)最低賃金引き上げ――の3つの分野で党の政策をより反映できるように条件闘争に臨む。

連立懐疑派が「妥協」(エスケン氏)を余儀なくされたのは、党内の連立維持派の勢力が依然強く、離脱すれば党の亀裂が決定的になりかねないためだ。党首選挙では接戦の末、ショルツ氏らの連立維持派を破ったが、党の中枢を担った同氏への不信任投票の意味合いが強かった。

■極右支持候補が州首相に ドイツで初、排外主義に懸念2020年2月6日

ドイツ東部テューリンゲン州議会で5日、州首相選挙が行われた。右派・自民党の候補が、極右「ドイツのための選択肢」(AfD)の支持を受けて勝利。極右の支持を受ける州首相はドイツで初めてとみられ、同州を含む旧東独地域での排外主義に懸念が広がっている。

昨年10月末の州議選で、CDUと社民党が大敗する一方、AfDは第2党に躍り出た。各党がAfDとの連立を拒否して連立交渉は難航し、結論が出ないまま5日の首相選に突入。わずか5議席の自民党のケンメリヒ氏が3度目の投票でAfDとCDUの支持を受け、現職のラメロウ州首相(左派党)を1票差で破って棚ぼた式に当選した。

■極右政党の支持受けたドイツ州首相が辞意、議会解散と選挙呼び掛け2020年2月7日

旧東独テューリンゲン州のケンメリヒ首相は6日、辞任と州議会解散の意向を表明した。同州首相は極右政党の支持を受けて選出されたばかりだが、それがドイツ全土で政治的な反発を招いていた。自由民主党(FDP)所属のケンメリヒ氏は、国政で与党のキリスト教民主同盟(CDU)と極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の支持を受け、現職の州首相だった左派党のラメロウ氏を破って当選した。CDUとAfDの連携は前例がなく、AfDの支持を受けた州首相の誕生も初めてだった。

だが南アを国賓訪問中のメルケル首相が、自身の母体政党であるCDUがAfDと手を組んだことについて「許されない」と非難、撤回を要求するなど政治的な混乱が広がっていた。

ケンメリヒ氏は州都エアフルトで記者会見し、自らの政党であるFDPがAfDと協力することはないと繰り返し主張。「AfDの支持を受けたという汚名をそそぐため、新たな選挙を実施したい」と述べた。

■メルケル首相後継白紙に ドイツ与党党首が断念 2020年2月10日

ドイツの最大与党、キリスト教民主同盟(CDU)のクランプカレンバウアー党首は10日、次期首相候補となることを断念し、党首も近く辞任する意向を固めた。クランプカレンバウアー氏は党首就任から1年あまりが経過し、政治的な失言や選挙での相次ぐ敗北で求心力を大きく失っていた。

2月5日に東部チューリンゲン州で極右「ドイツのための選択肢(AfD)」の後押しを受けた自由民主党のケメリヒ氏が首相に就任すると、同氏に投票したCDUも強い批判にさらされた。この混乱の収拾に指導力を発揮できなかったことが決定打になったとみられる。ケメリヒ氏は結局、就任からわずか1日で辞任表明に追い込まれたが、再選挙実施の有無などを巡って混乱が続いている。

メルケル首相もクランプカレンバウアー氏の辞任を支持したという。同氏は幹事長などとしてメルケル首相に仕え、側近とされたが、党首就任後は難民政策などを巡ってメルケル氏との足並みの乱れも目立ちつつあった。

ドイツでは21年秋に連邦議会選挙を予定している。かつて4割を超えていたCDUの支持率は20%台に低迷し、緑の党などに激しく追い上げられている。国民に不人気のクランプカレンバウアー氏では選挙を戦えないとの厳しい見方も広がっていた。

■メルケル氏後継選び、「強い遠心力」が翻弄 極右で混乱2020年2月11日

21年秋の次の選挙までドイツ政治は不安定な状況が続く。既存政党の政治家同士の足の引っ張り合いに有権者が愛想を尽かせば、極右政党がさらに勢いづきかねない。かつて4割を超えていた二大政党の支持率はCDUが27%、ドイツ社会民主党(SPD)が14%にとどまる。緑の党が22%、AfDが14%で追い上げるなか、ドイツで初めて緑の党出身の首相が誕生するとの観測も飛び交い始めた。

■ユーロ、対ドルで2017年以来の安値-新型ウイルスの経済的影響に懸念2020年2月13日

12日のニューヨーク外国為替市場で、ユーロが一時、ドルに対して2017年5月以来の安値に下落した。新型コロナウイルスが世界経済に与える影響が長引き、ドイツ経済がリセッション(景気後退)に向かうとの不安が膨らんでいる。メルケル独首相の後継計画を巡る懸念や、欧州中央銀行(ECB)のハト派姿勢もユーロを圧迫している。

List    投稿者 dairinin | 2020-02-13 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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