2021-01-21

ロシアは今どうなっているか(世界の混乱に対応するため、内政の引き締めを進めている?)

 

201217095255-04-putin-presser-1217-super-169アメリカでは大統領選挙の混乱を受けて、内戦に突入する可能性もある危機的な状況ですが、この状況下でロシアが今どうなっているか調べてみました。ロシアでは、プーチン大統領が内政の再構築を進めているようです。

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この年末年始のロシアでの主要な動きをあげてみると、12月17日にプーチン大統領が年末恒例の記者会見を開きました。ここではアメリカとの関係改善を期待すると言う程度で大した発言はありませんでした。一方でコロナ対策でオンライン形式の記者会見になったのが印象的です。

同時期に報道されたのが、ロシアによるアメリカ政府機関へのサイバー攻撃疑惑。トランプ大統領は中国に疑惑を向けましたが、バイデン氏はロシアに報復を宣言するに至っています。年明けには、FBIが正式にロシアによる犯行と断定し、バイデン政権となれば米ロの対立が激化するのは避けられないようです。

そして、ロシアのコロナ対策。年末にはこれまで発表していた死者数が過小であったことをロシアが認め死者数を5万人から18万人に修正。1月18日から18歳以上の全国民を対象にしたワクチン接種が始まりました。プーチン大統領はコロナ対策で、昨年春からモスクワ郊外の公邸に巣ごもり状態でオンラインで執務しているそうです。

このような状況の中、プーチン大統領の引退をうかがわせるような動きも出ています。まず、大統領経験者が生涯にわたり刑事・行政上の責任を問われない免責特権を保障する法案と、大統領経験者の終身上院議員への転身を認める法案の成立です。これは、プーチン大統領を対象とした法案であることは明らかです。その時期に、野党自民党のジリノフスキー党首がプーチン大統領の後継候補9名のリストを公表しました。

そして、反体制派ナワリヌイ氏の逮捕。バイデン氏やEUの大反発を招いていますが、意に介していないようです。

これらの動きを見て感じるのは、プーチン大統領は、今後の世界の大変動に備えて内政の引き締めに入っているのではないかという事。コロナで公邸に引きこもったのも、引退する可能性をにおわせたのも、あえて圧力を緩めることで、反プーチン的な動きを誘い出し、今のうちに対処しようとしているのだと思われます。

 

■プーチン大統領、対日関係言及なし 米新政権との協力期待―ロシア2020年12月17日

ロシアのプーチン大統領は17日、オンライン形式で開いた年末恒例の記者会見で、バイデン次期米大統領について「内政と外交で経験が豊かだ」と述べ、冷え込んでいる米ロ関係の改善に期待を示した。

プーチン氏は米ロ関係の悪化は米国内の政争に起因していると指摘。米ロの問題の「すべてとはいかないが、少なくとも一部は新政権の下で解決されることを期待している」と語った。来年2月に期限が切れる米ロの新戦略兵器削減条約(新START)の1年延長も改めて呼び掛けた。

また、トランプ大統領については「大きな支持基盤を持っており、政治から去るつもりはないだろう」と述べた。

■ポンペオ米国務長官、政府機関へのサイバー攻撃にはロシアが関与と2020年12月20日

ポンペオ国務長官は「この活動に携わったのはロシアだと、かなりはっきり言える」と述べた。

米ソフトウェア会社「ソーラーウィンズ」(本社・テキサス州)が開発したソフトウェアを狙ったサイバー攻撃は数カ月前から続いていたが、先週になって発覚したばかり。ソーラーウィンズ社製のソフトはアメリカのさまざまな政府機関が利用しており、標的にされた中には核兵器を管理するエネルギー省の国家核安全保障局も含まれているという。

一方、トランプ大統領はこのハッキングによる被害は軽微で「制御されている」としている。また、ロシアの関与には疑問を示し、中国が関わっていると示唆していた。

■大統領経験者に生涯「免責特権」、プーチン氏が法案に署名 2020年12月23日

ロシアのプーチン大統領は22日、大統領経験者が生涯にわたり刑事・行政上の責任を問われない免責特権を保障する法案に署名した。大統領経験者の終身上院議員への転身を認める法案にも署名した。プーチン氏は7月発効の改正憲法で2036年までの続投が可能になったが、途中退任に向けた準備も進めている。

24年に大統領通算4期目の任期(6年)満了を迎えるプーチン氏の去就を巡っては、プーチン氏が24年で退任して上院議長などに転じ、後継大統領への影響力を維持する「院政」を敷くシナリオも取りざたされていた。

■プーチン氏、政権交代後の対米関係に「変化なし」との見通し2020年12月24日

プーチン大統領は23日、議員や政府関係者らとの会合で、「米国の政権交代について、われわれにとってより困難になるかどうかだが、私はそうは思わない。これまで通りだろう」と話し、対米関係では変化の見通しはないと述べた。 一方、ドミトリー・ぺスコフ報道官は同日の記者会見で、ロシア大統領府は米国関係で明るい要素は何も期待していないと語っていた。

米政府機関へのサイバー攻撃をめぐり、ロシアの関与が取り沙汰された数日後に行われたこのインタビューの中でリャプコフ氏は、「ロシア嫌悪で出世し、わが国をけなす者ばかりで、こうした人々から良いことを期待するのは妙な話だろう」と話していた。バイデン氏は22日、サイバー攻撃について「放置してはおけない」と述べ、来月20日に大統領に就任し次第、報復措置を取ると明言していた。

■政府機関狙った大規模サイバー攻撃 米がロシアに対抗措置検討2020年12月27日

アメリカでは今月、民間のセキュリティー会社の調査をきっかけに、主要な複数の政府機関のコンピューターネットワークに何者かが不正に侵入していることが発覚し、政府が被害状況の調査と修復を急いでいます。攻撃を受けた政府機関では、ネットワークを管理するソフトウエアに不正なプログラムが仕掛けられ、外部から侵入して情報を抜き取ることができるようになっており、このソフトウエアが更新されたことし3月以降、数か月間、何者かが内部情報を監視していた疑いがあるということです。

攻撃を受けたのは国務、国防、国土安全保障、エネルギー、財務、商務、それに新型コロナウイルス対策で中心的な役割も担うNIH=国立衛生研究所など主要な複数の政府機関に及び、政府の情報を盗むサイバー攻撃としてはアメリカ史上最も深刻な被害になるおそれも指摘されています。

アメリカ政府は攻撃の規模や手口などからロシアの政府系のハッカー集団による犯行という見方を強めていて、経済制裁や、報復のサイバー攻撃も含む対抗措置の検討に乗り出しました。ただアメリカが政権移行期に入るなか、トランプ大統領はこの問題にほとんど言及しておらず、本格的な対応はバイデン次期大統領に委ねられる見通しです。バイデン氏はロシアへの言及は避けながらも「誰が攻撃したのか明らかにし、責任を取らせる」と述べていて、米ロ関係の新たな火種となるおそれもあります。

■ロシア、コロナ死者数3倍超と認める 世界3番目の18.6万人に2020年12月29日

ロシア政府は28日、同国内の新型コロナウイルスによる死者数が、これまでの公式統計の3倍以上に当たる18万6000人余りであることを明らかにした。同国の死者数は世界で3番目の多さとなった。保健当局のこれまでの統計では死者数は5万5265人と、被害の大きい他の国より大幅に少なかった。ロシアはこれまで、新型コロナウイルスが主な死因だったことが病理解剖で確認された人のみを死者に数えており、この集計方法は批判を浴びていた。

■サイバー攻撃は「ロシアの可能性高い」 米FBIなど2021年1月6日

去年、明らかになったアメリカの政府機関や企業へのサイバー攻撃について、FBI(連邦捜査局)などはロシアが関与した可能性が高いとの見方を発表しました。FBIはNSA(国家安全保障局)などと共同で声明を出し、「ロシアに端を発した可能性が高い」としてロシアによるスパイ活動との見方を示唆しました。一連の攻撃を巡り、トランプ大統領はロシアを非難せず、中国の関与をほのめかしていましたが、アメリカの捜査当局が大統領の認識に反してロシアの関与を正式に認めた形です。

■蠢動はじめたポスト・プーチン「ジリノフスキーのリスト」2021年1月15日

ロシアの極右政党・自由民主党のウラジーミル・ジリノフスキー党首が昨年12月末、国営テレビの討論番組で、2024年の次回大統領選でウラジーミル・プーチン大統領の後継者が決まる可能性があると唐突に述べ、有力候補9人の名前を挙げた。

政権担当21年になるプーチン大統領は、昨年の憲法改正で2036年までの続投が可能になったが、ロシア社会は新型コロナ禍や経済停滞で閉塞感が高まる。昨年後半は大統領の健康不安説もネットメディアで報じられた。今年9月の下院選が大統領選の前哨戦となり、時代は「プーチン後」へ徐々に動き出すかもしれない。

(1)ミハイル・ミシュスティン首相(54)、(2)ドミトリー・メドベージェフ安保会議副議長(55)、(3)セルゲイ・ショイグ国防相(65)、(4)セルゲイ・ソビャーニン・モスクワ市長(62)、(5)ワレンチナ・マトビエンコ上院議長(71)、(6)セルゲイ・ナルイシキン対外情報庁長官(66)、(7)ビャチェスラフ・ボロジン下院議長(56)、(8)アレクセイ・デューミン・トゥーラ州知事(48)、(9)アレクセイ・クドリン会計検査院長・元蔵相(60)

要注意は、真っ先に挙げたミシュスティン首相だろう。首相はナンバー2ポストで、大統領に有事が起きて退陣した場合、「大統領代行」を務め、3カ月後の大統領選を統括する。無名のプーチン氏もそうして大統領の座を射止めた。実はロシア政界では、1年前まで無名のミシュスティン氏の行政手腕が評価されており、後継候補とみなす向きも出てきた。伏魔殿といわれたロシアの税務局を近代的で汚職の少ないハイテク官庁に変えたことをプーチン大統領が評価した。

ポスト・プーチンが取りざたされること自体、大統領の権威低下を示唆している。プーチン氏は昨年春から、モスクワ郊外の公邸に巣ごもり状態で、オンラインで執務している。この間、個人生活をめぐる醜聞や健康不安説がネットメディアで報じられた。

■ロシア 18歳以上の全国民へのワクチン接種 始まる 2021年1月18日

ロシアでは18日、18歳以上のすべての国民を対象に新型コロナウイルスのロシア製のワクチンを接種する大規模な取り組みが始まりました。ロシア製のワクチンの有効性などを強調するねらいもあるとみられます。

■ロシア反体制派を空港で拘束 プーチン政権、批判抑圧2021年1月18日

昨年夏にロシア国内で毒殺未遂に遭った反体制派ナワリヌイ氏が17日、療養先のドイツのベルリンから帰国し、モスクワの空港到着直後に司法当局に拘束された。毒殺を命じたのはプーチン大統領だと批判し、今秋予定される下院選に向けて対決姿勢を強めるナワリヌイ氏に対し、政権は力で抑え込む姿勢を鮮明にした。バイデン次期米政権や欧州連合(EU)は拘束を強く非難し、即時釈放を要求した。

■プーチン氏の後継議論も ロシアの論客たちが語る2021年の展望2021年1月19日

経済に関しては、ロシアを代表する民間銀行が次のような見通しを示しています。「2021年は、経済回復の年と見られている。しかし、どのくらいのスピードで回復するかについては、2020年の最後の数ヵ月、とりわけ最後の数週間で、より慎重にならざるをえなくなった。2021年には正常な生活に完全に戻れるという期待があったが、現在はそれに数年を要するというシナリオが現実味を増している。ワクチン開発は進展しており、ロシア政府は2020年のような厳格なロックダウンは回避すると見られる。それでも、ワクチン接種は一定の時間を要し、すべての制限措置が早期に解除されるとは期待できない」

一方、ロシア経済の屋台骨を支える石油産業では、。「OPEC+の枠組みで実施されている石油の協調減産により、価格の安定が保たれている。我々の予想では、2021年にブレント油価は1バレル当たり55〜57ドル程度となろう。」

天然ガス市場について以下のよう。「どうやら、コロナ危機の打撃は、石油や石炭に比べて、天然ガスでは比較的軽微と思われる。欧州向けの輸出量を2020年の1,700億立米から2021年には1,830億立米に拡大することを見込んでおり、価格も33%上昇すると見ている

アメリカではいよいよ1月20日にバイデン政権が発足します。ロシアの論壇では対米関係に関し悲観論一色です。「バイデンはロシア問題の指揮を自らとろうとするだろう。国務省やその他の機関に丸投げするようなことはせず、政策は自らが主導することを望むはずだ。バイデン政権はまさに、ベラルーシ、ウクライナ、南コーカサスなどの旧ソ連空間の問題に重点を置くことになると思う。アメリカの理論家たちが提唱しているのは、ロシアの周辺にトラブル地帯を作り出し、情勢を尖鋭化させ、それによりロシアに圧力を行使するというものだ」

内政の焦点は9月19日の投票が予定されている下院選挙。現時点の議席配分は与党「統一ロシア」が3分の2を優に超えています。その他は、共産党、自由民主党、公正ロシアといった、いわゆる「体制内野党」が脇を固める形。プーチン政権は2021年の下院選でも、統一ロシアが3分の2を大きく超える議席を獲得することを、当然のノルマとして設定しているということです。しかし、それは容易な課題ではありません。2018年の年金改革、コロナのパンデミック、経済危機といった要因が社会のムードを決定付けているわけで、与党は難しい戦いを迫られる。

今後のロシアの国家体制を左右する大きな問題はやはり、プーチン現大統領が2024年の(さらには2030年の)大統領選に出馬するのか、それとも後継者を指名して身を引くのかという点です。実は、これに関し、年末に興味深い動きがありました。野党自由民主党のV.ジリノフスキー氏が、8名から成るプーチンの後継者候補のリストなるものを明らかにしてみせたのです。

政治コンサルタントのK.カラチョフ氏。「個人的にプーチンに近いのはメドベージェフ氏であり、同氏はすでに試験を終えているが、有権者受けに問題がある。国民は、ミシュスチン氏であれば、政権を託してみたいと考えている。」

ロシア科学アカデミー地理学研究所のD.オレーシキン氏「プーチン大統領は、後継者を探すことなど考えたこともない。彼は健康が許す限り国を治めるつもりだ。ただし、なぜジリノフスキー氏がこの段階で問題を提起したのか、それが彼自身の発案なのか、それともクレムリンの要請によるものなのかについては、考えてみる必要がある」

List    投稿者 dairinin | 2021-01-21 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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