2007-03-16

住宅バブルの崩壊、大手住宅ローン会社が破綻

米国の住宅バブル(住宅建設の活況)が、2006年にはじけた。
米国の新規住宅着工統計(戸建住宅)によると、2004年から2006年5月まで、年率で200万戸の水準だったものが、2006年10月には150万戸にまで縮小し、価格も大幅に下落した。
参考 新規民間住宅着工戸数(年率)
この住宅バブルの崩壊の影響が、いよいよ、住宅ローン会社の破綻にまで行き着いた。
サブプライムローン(信用力の低い階層向けローン)と言われる住宅ローン会社であるニュー・センチュリー・ファイナンス社の倒産危機から、NY証券取引所の株価は大幅に下落した。
この動きの解説は、「フジ・サンケイ・ビジネスアイ」3月15日付けの記事が比較的詳しく報道している。
同時株安再び 背景に米住宅ローン危機
サブプライムローンの最大手であるニュー・センチュリー・ファイナンス(NEW CENTURY FINANCIAL CORP)の株価は、昨年の最高株価が52ドルだった。それが、住宅バブル崩壊の影響が出だした昨年12月〜今年2月初めには、30ドルの水準をまで低下した。そして、住宅ローンの不良債権化、同社の経営危機が言われだした2月中旬からは、下落一方で、2月下旬に20ドルを切り、3月に入ると5ドル台となり、3月15日にはついに、0.79ドルとなった。
NY証券取引所のニュー・センチリーの株価の動き
(なを、上記のリンクは同社が上場廃止の場合は、なくなる可能性があります。)
では、住宅バブルの崩壊が、どのような仕組みで金融危機(住宅ローン会社の倒産)につながっているか見てみよう。

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「サブプライムローン」という、返済能力に問題のある顧客にもローンを付与し、住宅建設を加速した。住宅価格が右上がりで推移している局面では、サブプライムローンの顧客が返済できない場合は、住宅を転売してローンを解消でき、ローン会社は損失を生じない。
しかし、住宅価格が下落していく局面では、住宅転売でも損失が生じ、最悪の場合は、転売できずに全てが損失となる。
2006年6月以降に起こった「住宅バブル崩壊」による価格下落のミクロな状況である。
この結果、サブプライムローン会社の損失が膨らんで行った。
サブプライムローンの会社は、貸し付けた住宅ローンを「証券」化し、この証券を売却する形で、金融会社から資金を調達していた。この証券の売却には、「買い戻し特約」がついており、サブプライムローン会社に資金供給した主融会社は、買い戻し請求をすることで、資金回収が可能となっていた。
ハイリスクの住宅ローン、そのハイリスクローンの証券化、証券売買による買い戻し条項による資金供給側のリスク回避というように、ファイナンス手法の基本要素が組み込まれていた。
しかし、このファイナンス手法も、住宅価格の継続的な上昇を前提しており、住宅(価格)バブルの崩壊により、一気にローン会社倒産、資金供給してきた金融会社の損失発生に至っている。
その様相を、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事「サブプライム住宅ローン業者に不良化ローンの買い戻し迫る動き」から紹介しておきます。

米住宅金融大手ニューセンチュリー・ファイナンシャル(NYSE:NEW)は12日、同社の取引銀行が同社への融資を引き揚げる方針だが、同社は債権者からの返済要求に応えることができない見通しであると明らかにした。同社によると、先週7日以降、金融大手各社からデフォルト通告の免除を受けている。各社からの借り入れは総額84億ドル。これらのすべての貸し手から住宅ローンの買い戻しを迫られた場合、同社には買い戻す資金力がないとしている。そうなれば同社は、多くの同業他社と同様、連邦破産法の適用を申請せざるを得なくなる。

同社最大の債務は、モルガン・スタンレー(NYSE:MS)に対する25億ドル。ニューセンチュリーによると、シティグループ(NYSE:C)が6日、融資の一部の「利益の不足分」を補うために8030万ドル相当の追加担保を要求してきたのに続き、ゴールドマン・サックス・グループ(NYSE:GS)からは翌7日にデフォルトを通告され、約1億ドルの返済を求められた。

ニューセンチュリーが12日に証券取引委員会(SEC)に提出した書類によると、住宅ローン買い戻し債務は、対クレディ・スイス・グループ(NYSE:CS)が約9億ドル、対IXISリアルエステート・キャピタルが8億ドル、対バンク・オブ・アメリカ(NYSE:BAC)が6億ドル、対ゴールドマン・サックスが1億ドル。
ニューセンチュリーが12日明らかにしたところによると、同社は8日、モルガン・スタンレーからの融資2億6500万ドルを、シティグループからの7億1700万ドルの借り入れの返済に充てた。同日、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、IXISからデフォルト通告を受けた。

インサイド・モーゲージ・ファイナンスのニュースレターによると、昨年実行されたサブプライム住宅ローンの総額は約6050億ドルと、米国の住宅ローン全体の約5分の1を占めている。

リンク
2月には、レスメイ・モーゲージ・コープとモーゲージ・レンダーズ・ネットワークUSAが、米連邦破産法第11条の適用を申請した。また、サブプライムローンの大手である「米ノバスター・フィナンシャル」や「HSBCホールディングス」の株価も急落している。
15日には、福井日銀総裁が、「住宅ローンに占めるサブプライムローンの比重は限定的。ただ、一部の専門業者が影響を受けていることもあり、心理面を含め、今後見ていく必要がある」、「この動き自体で、この先暗くなることはない」とコメントしているが、米国の住宅バブル崩壊の最終局面、住宅ローン会社の破綻連鎖が大手住宅ローン会社まで波及し、金融危機の様相を呈している。

List    投稿者 leonrosa | 2007-03-16 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨3 Comments » 

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コメント3件

 koike | 2007.04.08 16:33

外貨準備高の全体的なシェアを見ればまだドルが6割ほどらしいですが、ユーロの伸びを見るとこれから世界は共同体になっていかなければ生き残れないことを意味しているように感じました。
アルゼンチンも経済破綻から立ち直ったのはメルコスールという南米共同体に加盟したからだとも考えられます。
日本もアジアの共同体の一員になっていかなければと感じました。

 hermes austria | 2014.02.01 8:43

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