エネルギー高騰×カーボンニュートラル⇒原発回帰か
〇原子力発電回帰派の発言を何点か紹介。
経団連の前会長の中西氏
”原発の着実な再稼働や新増設を実現しなければならない”
日商の会頭の三村氏
”安全性を確保した上での原発は欠かせない。国が前面に立って原発政策を全身させることを強く期待する”
■何故、今原発回帰なのか
菅前総理が表明した2050年までに温室効果ガスの排出ゼロを実現する上で、日本のCO2排出量の内40%がエネルギー転換(主に発電)となっているため、カーボンニュートラルの照準になっています。
再生可能エネルギーの取り組みも進んできていますが、コストと安定性の面で多くの課題があります。
そこで、核分裂によるエネルギーで大量のエネルギー(熱)を生み出すため、CO2を排出しない原発に注目が集まっています。
世界の動きとしては
ドイツ、アメリカ、イギリスが減少傾向な一方、中国ロシアが増加傾向にあります。
特に中国がここ10年で35基増設、現在48基所有し、今後さらに2基の増設が決定と、世界で3番目に多くの原子力発電所を有する国へと急成長をしています。
中国は「原子力はクリーン」と推進し、原子炉の国産化を進め「華龍一号」という型を開発し、イギリスやアルゼンチン、イラン等での原子力発電建設事業を受注し、原子炉産業に前のめりになっています。
また、中国は、2013年に原子炉の輸出強化方針を国家戦略として定め、「一帯一路」構想(中国が目指す経済・外交圏構想)と絡めて原発輸出を推進しています。
https://www.jaif.or.jp/cms_admin/wp-content/uploads/2021/05/doukou2021-press_release.pdf
■カーボンニュートラル×エネルギー高騰⇒原発回帰か
EUは「気候変動対策」や「脱炭素」を中心に据える「グリーン・リカバリー」を推進し、カーボンニュートラルを仕掛けた張本人。
そのため、お金を払って炭素を出すより炭素排出量削減へ舵を切るため、ロシアは天然ガスの供給を制限することで、価格が高騰しています。EUからしたら、裏をかかれた状況。
これまで原子力利用に対する態度を保留してきたEUにおいて、原子力に対して肯定的な評価が表に出るようになってきている(EUの公式文書で「気候変動対策における原子力の役割」)事も考えると、より原子力発電に偏る判断をすると予想出来る。
中国はその原発需要をよんでいたんだろうか?中国による支配へと向かうのだろうか。
一方、原発に頼る社会にすることは奥の院の描くシナリオに反するように感じる。
共認次第で「原子力は危険」という共認がなされれば、世界中で原発産業が止まってしまう諸刃の剣である。
原子力発電に頼る社会になってから、その共認支配がはじまった時世界はどうなるのだろうか。
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