2020-05-19

スウェーデンの『緩い』コロナ対策は成功するか その後

 

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4月28日に「スウェーデンの『緩い』コロナ対策は成功するか」という記事をお届けしました。この時は、少なくともパンデミックに向かってまっしぐらという状況ではないとお伝えしました。その後、トランプ大統領が死亡者数の多さを指摘し都市封鎖をしないスウェーデンを批判したり、マスコミが死者3000人を突破したと危機的状況をあおったりしていますが、その実態はどうなのでしょうか。

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上は「グラフで見る世界各国の感染者数」ですが、これを見ると4月下旬をピークに、やや減少傾向と言えそうです。人口100万にあたりの死亡者数は、ベルギー783、スペイン592、イタリア529、イギリス512、フランス432に次いでスウェーデン366で6番目、ちなみにスウェーデンを批判したアメリカは272で9番目です。この数字を見ると、緩い対策のわりに、よく健闘していると言えるのではないでしょうか。そして、もっと詳しく見てみると、ロックダウンをしなかったスウェーデンの対策は数字以上に成功していることが見えてきます。

まず、スウェーデンの死亡者数ですが、その多くが施設に入っていた高齢者と、移民なのです。この失敗は、スウェーデン政府も認めています。高齢者施設でのクラスターの発生は、ロックダウンとはあまり関係がありません。注意すればロックダウンしなくても防げました。さらに、スウェーデンでは80歳以上の高齢者は原則としてICUでの治療は行わないそうなのです。これは高齢者差別ではなく、若者でも既往症があって予後が悪いと判断される人にはICUの治療は行わないのだそうです。したがって、死者数は多くなる

また、移民は言葉がわからない人が多く、なおかつ大家族で行事で集まることも多いために、ここでもクラスター感染が広がったそうです。

ただし、スウェーデンも何の対策もしていないわけではありません。休業要請はなく経営者の自己判断で営業継続、健康な子ども(6~15歳)は学校に通う、公共交通機関は通常運営されていて、労働者は働きに出るし、スーパーはもちろん、カフェやレストランもオープンしている。しかし、国からの勧告を受けて自己規制は厳しく行います。

規制が厳しいのはレストランやカフェなど飲食店で、「テーブルの間隔は2メートルあけること」が義務付けられ、違反者には閉店命令が出る。早い時期には、「自由なスウェーデンはカフェに客の群れ」という報道もありましたが、それは規制が敷かれる前のごく一部の店で、大半は営業難なのだそうです。

そして、スウェーデン政府は人命よりも経済を優先しているわけでもないそうです。自主性を重んじる方針で、「自分で考えて行動してください」から今の形になった。「何がベストか」を考えた結果、今の対応になったのだそうです。経済を回すためにロックダウンしない、とは受け取っていない。みんなができることをして社会を守っていく、政府は国民を信頼し、国民は政府を信頼していた。その結果なのだそうです。

そして、スウェーデンでも国民の不安が高まり、ロックダウンするべきという動きもあったそうですが、国民が政府を信頼した理由として次の4つが挙げられています。まず、情報の透明性、毎日記者発表を行い同時に質問にもきちんと回答する。次に科学的根拠、どんな厳しい質問にも科学的根拠をもってきちんと答える。そして失敗は認めてすぐに対策を打つこと。最後に、情報の真贋を国民が見極めることだそうです。

スウェーデンでは、激しい批判や同調圧力に負けず、科学的根拠を元に正しいとした政策を曲げなかった国の姿勢に自分もそんな人間でありたい――そう思った人が多かったようです。

日本を、どんな問題があっても生き残れる国にするうえで、今回のスウェーデンの対応は非常に参考になると思います。今、日本では、ほとんどの国民が政治家やマスコミの言うことに根拠もなく、同調圧力によって従っています。日本は自分では何にも考えていない国民があまりにも多すぎる。国民全体が政府におんぶにだっこになっているようでは、コロナによる死者数を抑えられても、日本の将来は明るいとは言えないと感じてしまいます。

 

■「集団免疫」作戦のスウェーデンに異変、死亡率がアメリカや中国の2倍超に2020年5月1日

ロックダウンに頼らない独特の新型コロナウイルス対策で知られるスウェーデンで、感染者が増え続けている。しかも米ジョンズ・ホプキンズ大学の集計によれば、死亡率は4月30日時点で12%超。これは、感染者が1000人を超える国の中で6番目に高い割合で、現在の感染拡大の中心地で死者数も最多のアメリカ(約5.8%)、ウイルスの発生源とされる武漢市がある中国(約5.5%)と比べても2倍以上の高さだ。

スウェーデンはこれまでに2万1000人近くが新型コロナウイルスに感染したと報告しており、このうち2500人近くが死亡している。感染者の死亡率はノルウェー(約2.6%)の6倍近く、同じ北欧のフィンランド(約4.2%)やデンマーク(約4.9%)と比べても3倍近くにのぼる。かつて中国以外で最も高かったイランの感染者死亡率(約6.3%)も、スウェーデンの半分ぐらいだ。感染者数を見ても、スウェーデンの感染者数はデンマークの2倍以上、ノルウェーの3倍近くで、フィンランドの4倍以上に達している。

ドナルド・トランプ米大統領は4月30日朝、公式アカウントにツイートを投稿。この中で「封鎖措置を取らなかったスウェーデンは、その決定の手痛い代償を払っている」と指摘。

 

■スウェーデン新型コロナ「ソフト対策」の実態。現地の日本人医師はこう例証する2020年5月7日

新型コロナ感染者は、新型コロナ感染で死亡しなくても、感染が確認されていれば、病名として記載されます。ですから、新型コロナで死亡した数だけカウントしていたり、検査されてないが新型コロナで死亡したであろう死者数がカウントされていない他の国に比べて、何割増しかになっている可能性があります。

このグラフは人口10万人あたりの年代別感染者数(男女別)です。これを見ていただくと、90歳以上では100人に1人以上、80歳代でも200人に1人は感染しています。死者の数でいうと、80歳以上の死亡者は全体の64%、70代以上で見ると87%。つまり、高齢者の感染リスクが高く、犠牲者のほとんどは70歳以上です。これは、公衆衛生局も認めたとおり、高齢者施設でのクラスター(集団感染)発生を防ぐことができなかったことによるものが大きいです。

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スウェーデンの死亡者数の大部分を占める高齢者、特に高齢者施設に暮らす高齢者の死亡は、施設における感染対策の失敗が直接の原因です。ロックダウンしなかったこととはあまり関係がないですね。

ちなみに、日本で同様に10万人あたりの年齢別感染者を調べてみると20代から50代が最も多く感染しており、高齢者層は低めと、スウェーデンとは逆になっています。

スウェーデンの新型コロナ対策は成功したのでしょうか。ロックダウンはすべきだったのでしょうか。これまでの感染者数、死亡者数を見ると、成功したとは言えないでしょうね。ただ、完全にロックダウンをしたイギリスなどと比べて、(人口100万人当たりの感染者数、死亡者数の)結果が劣っているわけでもありません。イギリスは3月23日にロックダウンしたのですが、それと比較してみると、それほど推移が変わりません。また、死亡者の多くが高齢者施設で発生していることを考慮すると、ロックダウンしなかったことにより増えたであろう死亡者数には、高齢者施設での死亡数を含めるべきではないのかもしれません。

医療崩壊していなくても、死者数はこれほど増えるものなのでしょうか。死亡者の多くは高齢者施設で感染し、入院することもなく、あるいは入院してもICU治療を受けることなく亡くなった方です。また、高齢者の死亡率については複雑な事情もあります。医療崩壊を防ぐために、従来からICU治療の適応を厳しく規定しているため、高齢者が重症化した場合には、ICU治療を受けることはできないという情け容赦ない現実があるのです。ICUで治療してもらえるのは、年齢相応に元気な80歳以下の患者さんです。

高齢者はICUへ入室できないというと、スウェーデンは「楢山節考」などと揶揄されることがあります。しかし、そうではありません。高齢者にかかわらず、若年者でも、予後が悪いと分かっていれば、通常からICU入室を許されないことは往々にしてあることなのです。

高齢者施設以外には、感染者や重症者に移民のバックグラウンドがある人が多いというニュースも衝撃的でしたね。スウェーデンでは、移民のインテグレーションがうまく進まず、近年多くの問題が起こっています。スウェーデンに住んでいてもスウェーデン語を理解しない人や、独自の文化を維持しているため多世代家族であったり、行事などの際に大勢で集まる機会が多いなど、クラスターとなる要因が複数存在したのでしょうね。

■コロナ独自路線のスウェーデン、死者3000人突破に当局の科学者「恐ろしい」2020年5月8日

新型コロナウイルス対策で厳しいロックダウン(都市封鎖)を行わないという独自路線を貫くスウェーデン(人口1千9万人)では、5月7日の時点で同ウイルスの感染者が少なくとも2万4623人、死者の数は3040人に達している。この状況についてスウェーデン公衆衛生局の疫学者アンデシュ・テグネルは6日の記者会見で、「死者数3000人だ。これは恐ろしい数字だ」と語った。他の北欧諸国の死者は、デンマークが514人、ノルウェーが217人、フィンランドが255人だ。スウェーデンは人口が倍あることを考えても、その死者数は群を抜く。

スウェーデンでは今でも、健康な子ども(6~15歳)は学校に通うことが義務づけられていると指摘。「つまり健康な教師たちも、学校で授業をし続けなければならないということだ。これまでに複数の教師が(新型コロナウイルスに感染して)命を落としている。

■都市封鎖なしのスウェーデン、新型コロナ死者3000人超える2020年5月8日

感染対策で厳格なロックダウン(都市封鎖)を敷かず、他の欧州諸国と一線を画して国際的に注目されていたスウェーデンで7日、新型コロナウイルスによる死者が3000人を超えた。だが、当局は医療体制面ではまだ受け入れ能力に余裕があるとして、厳しい外出制限を課さない戦略を擁護している。スウェーデン政府の感染症対策を率いる疫学者のアンデシュ・テグネル(Anders Tegnell)氏は、「流行曲線からは、われわれが大体において(感染状況を)医療体制の対応可能な範囲内に抑制できていることが分かる」と述べた。

スウェーデンの人口は約1030万人。新型ウイルスによる各国の感染者・死者数をまとめている統計サイト「ワールドメーター」によれば、人口100万人あたりのスウェーデンの死者数は301人で、ノルウェーの40人、デンマークの87人、フィンランドの46人と比べてはるかに多い。

こうした批判にもかかわらずスウェーデン当局は、長期的に見て現行方針の継続は可能だと主張。大胆な措置を短期的に導入するのは、社会に与える影響を正当化するには非効率的だとして否定している。

■政府の「国民の自主性を信頼した勧告」に8割支持した理由2020年5月13日

じつはスウェーデンと日本のコロナ対策、似ている点が少なくない。ともに自粛要請や勧告という形の防衛策を取り、ロックダウンはしない。しかし、具体的な内容は天と地ほどの違いがある、と言ってよい。経済活動はスウェーデンのほうが自由度は高い。休業要請はなく、経営者の自己判断で営業継続する。業種によって国が差別をつけることはない。公共交通機関は通常運営されていて、労働者は働きに出るし、スーパーはもちろん、カフェやレストランもオープンしている。しかし、国からの勧告を受けて自己規制は厳しく行う。

規制が厳しいのはレストランやカフェなど飲食店である。「テーブルの間隔は2メートルあけること」が義務付けられ、違反者には閉店命令が出る。早い時期には、「自由なスウェーデンはカフェに客の群れ」という報道もあったが、それは規制が敷かれる前のごく一部の店で、大半は営業難なのだ。

これらはいずれも基本的に自粛である。規制を定めたのは疫病専門当局の判断で、国による強制ではなく、国民の自主性を信頼して勧告するという形をとる。この対策を8割の国民が支持し、納得して受け入れている。この8割という支持率の高さは、手厚い経済的な補助と、政治家への信頼から生まれる安心感にある。

 ■コロナ禍でスウェーデン政府への「大批判」が「信頼 」に変わっていった4つの理由2020年5月14日

新型コロナウイルスというかつてない脅威が入ってきたとき、スウェーデンでも何をどうすればいいのか意見が分かれ、正直何が正しいのかさっぱりわからないというのが皆の本音だったと思います。

特に国民の不安が高まった時期が二度あったように思います。一度目は、三月半ば。周辺諸国が次々と国境を閉じ、義務教育課程の学校を休校にしたときです。「なぜさっさとロックダウンしない! もう手遅れになる!」新聞紙面でも連日そんな批判が躍り、二千人もの学識者が連名で政府に抗議を申し入れたほどです。

二度目に不安が高まったのは、四月頭に死者数が百名を超えたとき。そのときにも22人の研究者たちが連名で抗議の手紙を大手朝刊紙に投稿。新型コロナ対策の中心人物となっている国家主席疫学者のことを「能力に欠ける役人」とまで呼んで、政策を批判しました。

しかし五月頭現在、スウェーデンは精神的にかなり落ち着いています。この状態に落ち着くまでに、政府はいかにして国民の信頼を得てきたのでしょうか。

わたしが一番安心を感じたのは、情報の透明性でした。毎日14時から省庁合同記者会見が行われ、その時どきに対処が必要な分野がどうなっているかという報告があります。記者会見の最後には、各メディアの記者からの質疑応答タイムが必ずあります。これはわたしが特に楽しみにしている部分でもあります。

例えば、本当にずっと休校にしなくて大丈夫なのかなと不安だったとき。「子どもが重症化するのは非常に稀です。それに、少しでも風邪の症状があれば大人も子どもも学校に来てはいけないことになっていますよね?症状のない子どもが人に感染させる確率は低いという研究結果が出ていますし、スウェーデン内で学校がクラスタになっているという報告も上がってきていません」

記者会見の質疑応答では、スウェーデンの政策を批判する手厳しい質問もたくさん飛び出します。顔色ひとつ変えずに、科学的根拠と国が把握している情報に基づいて質問に答えます。

スウェーデンの対応がすべてにおいて完璧だったわけではありません。スウェーデンの場合は高齢者施設で集団感染が発生してしまったこと(死亡者の三分の一に相当)、そして移民の感染者の割合が高くなってしまったことでした。それが発覚したとき、政府は大きな批判を浴びましたが、すぐに問題対処に動きました

どの記者会見・首相の会見でも必ず言われる「正しい情報を見極めて、情報に躍らされないようにしてください」です。大事なのは科学的根拠 があるかどうか、そして一次情報かどうか。記者会見と新聞の見出しを比べてみると、見出しのほうがかなり煽っている印象がありました。だから新聞の見出しを鵜呑みにしなくなりましたし、自分で記者会見を聞くようになりました。

スウェーデンでは、激しい批判や同調圧力に負けず、科学的根拠を元に正しいとした政策を曲げなかった国の姿勢に自分もそんな人間でありたい――そう思った人が多かったようです。

■独自のコロナ施策つづくスウェーデンの現在は!?現地の日本人に聞いてみた2020年5月15日

「何がベストか」を考えた結果、今の対応になったと思う。コロナ前、中、後で生活はあまり変わらないと思う。大きく変わった人もいるが大多数は「少し不便になった」だけ。

ソーシャルディスタンスを取りながら外出を楽しんでいる。実際感染者数はスウェーデンは多い。犠牲はしいたが、市民生活はできる限りそのままの対応になっている。また、実は政府が「集団免疫を目指す」と言ったことはない。自主性を重んじる方針。「自分で考えて行動してください」から今の形になった。

経済を回すためにロックダウンしない、とは受け取っていない。みんなができることをして社会を守っていく。人命を守ることは優先されていたと思う。人命より経済を優先したとは思わない。政府は国民を信頼し、国民は政府を信頼していた。報道だと、わかりやすく表現するため、どちらかという極端な表現になる。

今回はかなり突発的なできことだった。対応ができたのは普段からの積み重ね。こういうことが起きたからうまく対応するではない。市民一人ひとりの意識。意識が高いと乗り越えるハードルが低くなる

List    投稿者 dairinin | 2020-05-19 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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