2006-12-15

食料品貿易でさえ赤字を出している米国

第2次世界大戦の戦勝国で、唯一国内被害を受けず、圧倒的な生産国力を誇っていた米国。
その米国の60年後の姿は、生産国力をトコトン衰弱させ、今や、あらゆる物的生産物を、海外からの輸入に頼っている。
その事が、品目別貿易統計の輸出入の数字となって現れている。
まずは、中分類の品目別輸出入の統計で見ると、二つの中分類を除き、殆どの中分類で輸入超過となっている。
■2003年の米国の品目別貿易額(単位億ドル)

品 目 輸出額 輸入額
食料品及び動物(食用)   433   461
飲料及びたばこ    48   126
非食品原材料   335   219
鉱物性燃料   146  1634
化学製品   888  1024
工業製品   686  1415
機械類、輸送用機器  3513  5337
雑製品   845  2299
特殊取扱品   323   520
総  額  7236 13051

世界の統計第9章貿易・商品分類別輸出入額

驚いたのは、大穀倉地帯のミシシッピー流域をもっているにもかかわらず、食料品の金額ベースの貿易が輸入超過となっている点である。2003年の食料輸出額が433億ドル、対して、食料輸入額が461億ドル。

ミシシッピー川流域
300px-Mississippi-map.gif
Mississippi River

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ミシシッピー流域は、総面積325万平方キロメートル。日本の国土(38万平方キロメートル)の8.5倍の面積である。
この膨大な面積で、小麦・とうもろこし・大豆、そして肉牛を生産し、その余剰を輸出している。
上記4品目で、239億ドル(約2.7兆円)の輸出であるが、一方で、魚類・甲殻類・野菜類・肉牛(輸入もあり)の4品目の輸入額が173億ドル。アルコール類に至っては、100億ドル(1兆円)の輸入をしている。
■2003年の食料品等貿易額(単位億ドル)

品 目 輸出額 輸入額
小 麦 39.6  小額
とうもろこし 49.7  小額
大 豆 83.0  小額
肉 類 66.4  38.3
魚 類 21.4  38.1
甲殻類  7.3  52.5
野菜等 24.1  44.2
アルコール類 14.6 101.9

世界の統計第9章貿易・主要商品別輸出入額商品分類別輸出入額

最後に、工業製品を細かい品目で見てみる。
輸出が上回っているのは、真空管・トランジスタ等(半導体類)、計測・分析・制御用機器、航空機、武器等の4品目に止まる。
米国が強いと思われている「医薬品」や「コンピュータ類」も既に、輸入超過である。
典型的な工業製品である乗用車では、輸入額は1160億ドル(約13兆円)、輸出額は224億ドル(約2.5兆円)で、936億円(約10兆円)の貿易赤字である。

海外からドル資産を借り入れ、それを国民の過剰消費の原資として、米国経済は回っているが、この構造は何時まで続けることが可能だろうか?
By leonrosa

List    投稿者 leonrosa | 2006-12-15 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨1 Comment » 

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