食料品貿易でさえ赤字を出している米国
第2次世界大戦の戦勝国で、唯一国内被害を受けず、圧倒的な生産国力を誇っていた米国。
その米国の60年後の姿は、生産国力をトコトン衰弱させ、今や、あらゆる物的生産物を、海外からの輸入に頼っている。
その事が、品目別貿易統計の輸出入の数字となって現れている。
まずは、中分類の品目別輸出入の統計で見ると、二つの中分類を除き、殆どの中分類で輸入超過となっている。
■2003年の米国の品目別貿易額(単位億ドル)
品 目 | 輸出額 | 輸入額 |
食料品及び動物(食用) | 433 | 461 |
飲料及びたばこ | 48 | 126 |
非食品原材料 | 335 | 219 |
鉱物性燃料 | 146 | 1634 |
化学製品 | 888 | 1024 |
工業製品 | 686 | 1415 |
機械類、輸送用機器 | 3513 | 5337 |
雑製品 | 845 | 2299 |
特殊取扱品 | 323 | 520 |
総 額 | 7236 | 13051 |
驚いたのは、大穀倉地帯のミシシッピー流域をもっているにもかかわらず、食料品の金額ベースの貿易が輸入超過となっている点である。2003年の食料輸出額が433億ドル、対して、食料輸入額が461億ドル。
ミシシッピー川流域
Mississippi River
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ミシシッピー流域は、総面積325万平方キロメートル。日本の国土(38万平方キロメートル)の8.5倍の面積である。
この膨大な面積で、小麦・とうもろこし・大豆、そして肉牛を生産し、その余剰を輸出している。
上記4品目で、239億ドル(約2.7兆円)の輸出であるが、一方で、魚類・甲殻類・野菜類・肉牛(輸入もあり)の4品目の輸入額が173億ドル。アルコール類に至っては、100億ドル(1兆円)の輸入をしている。
■2003年の食料品等貿易額(単位億ドル)
品 目 | 輸出額 | 輸入額 |
小 麦 | 39.6 | 小額 |
とうもろこし | 49.7 | 小額 |
大 豆 | 83.0 | 小額 |
肉 類 | 66.4 | 38.3 |
魚 類 | 21.4 | 38.1 |
甲殻類 | 7.3 | 52.5 |
野菜等 | 24.1 | 44.2 |
アルコール類 | 14.6 | 101.9 |
最後に、工業製品を細かい品目で見てみる。
輸出が上回っているのは、真空管・トランジスタ等(半導体類)、計測・分析・制御用機器、航空機、武器等の4品目に止まる。
米国が強いと思われている「医薬品」や「コンピュータ類」も既に、輸入超過である。
典型的な工業製品である乗用車では、輸入額は1160億ドル(約13兆円)、輸出額は224億ドル(約2.5兆円)で、936億円(約10兆円)の貿易赤字である。
海外からドル資産を借り入れ、それを国民の過剰消費の原資として、米国経済は回っているが、この構造は何時まで続けることが可能だろうか?
By leonrosa
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