2017-10-20

反グローバリズムの潮流(ニュージーランドで反TPP政権が成立)

AS20170920003760_commL9月23日に行われたニュージーランドの総選挙、日本のマスコミでは殆ど報道されていませんでしたが、与党国民党が第一党を獲得しましたが、過半数を確保することができず、TPPの見直しを求める左派の労働党が政権を獲得する可能性が示されていました。

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労働党の党首ジャシンダ・アーダーンは37歳の女性で、選挙に当たり支持率が低迷していた前党首が辞任し、彼女が党首に就任すると、一気に支持率が高まり与党国民党を過半数割れに追い込みました。

そして、国民党と労働党のどちらが政権を握るか、そのキャスティングボードを握ったのが、民族主義政党のニュージーランド・ファースト党でした。NZファーストが連立政権の相手に労働党を選択し、ジャシンダ・アーダーンは37歳で首相に就任することが決まりました。

今年も世界で様々な選挙が行われ、民族派、反グローバリズム派が勢力を伸ばしてきましたが、政権を取る事例はこれまで殆どありませんでした。(アメリカのトランプ政権ぐらい)

ニュージーランドも、第1党は獲得できず連立での逆転ではありますが、反グローバリズムの政権が成立したことは、世界の潮流が転換していることを示していると思います。

アメリカの離脱でとん挫したTPPを、残った国で実現しようと推進していたのが、ニュージーランドの前政権ですので、この政権交代でTPPはさらに後退することが予想されます。

 

■総選挙前のニュージーランドではリベラル旋風が吹き荒れる2017年9月10日

9月23日投開票のニュージーランド総選挙に向け、支持率が伸び悩んでいた労働党は、8月1日に新党首にジャシンダ・アーダーン副党首が選出されました。37歳の党首は労働党史上最年少、女性党首としてはヘレン・クラーク氏(元首相)以来2人目となります。その効果により、労働党の支持率は与党・国民党を上回りました。また、労働党への献金が殺到するなど、いわばブームになっているようです。

アーダーン氏は学生時代に労働党に入党し、2001年に卒業後は党幹部の事務所に研究生として勤務。その後イギリスに渡り、ブレア政権の政策スタッフとして経験を重ねます。帰国後の2008年に初出馬で当選を果たし、2011年には早くも「影の内閣」の閣僚に起用されるなど、リベラル派の論客として頭角を現しました。当選3回はいずれも小選挙区で敗れ、その後比例で復活するパターンでしたが、今年2月に行われた選挙区の補選で勝利し、党副党首に就任。初出馬から10年も経たずに首相を目指す立場に上り詰めました。

社会民主主義者を自認し、総選挙では子供の貧困救済などを主張するアーダーン氏は、イギリス労働党のコービン党首を想起させます。主要国の中では行き過ぎた新自由主義にブレーキをかける動きが見て取れるものの、新自由主義を政策の柱とする与党からリベラル政党が政権を奪還するには至っていないのが実情です。世界で初めて婦人参政権を採り入れたニュージーランドが、他国に先駆けて新自由主義路線からの軌道修正に成功できるか、といった点も大いに注目されます。

■NZ総選挙の開票開始、与野党が接戦 TPPに影響も2017年9月23日

ニュージーランド(NZ)で23日、総選挙(一院制、定数120)の開票が始まり、イングリッシュ首相(55)率いる与党・国民党と最大野党の労働党が接戦となっている。2大政党はいずれも単独で過半数に達しない可能性が高い。連立協議によっては、日本やNZが参加する環太平洋経済連携協定(TPP)交渉にも影響を与えそうだ。

国民党は2008年から政権を担い、中国との自由貿易協定(FTA)やTPPなど自由貿易を推進してきた。年3%程度の堅調な経済成長や財政黒字化などの実績を訴え、NZでは約50年ぶりとなる4期連続の政権維持をめざす。

最大の争点となった住宅価格の高騰を巡っては、労働党は外国人による中古物件の購入禁止や移民抑制を掲げた。NZ政府が外国人の不動産購入を制限する権利を維持できるよう、TPPの再交渉を要求している。

TPPに反対する第三極の「NZファースト」が国民党、労働党のどちらと連立を組むかが焦点になりそうだ。

■NZ総選挙:国民党単独の過半数確保できず-小政党と連立模索へ2017年9月23日

ニュージーランドで23日投開票が行われた総選挙は、いずれの政党も過半数を獲得することができなかった。開票率99%の段階で、定数120に対し国民党は58議席(得票率46%)、労働党は45議席(同36%)を獲得した。NZファースト党は9議席(同7.5%)、緑の党は7議席(同5.8%)。

与党・国民党を率いるイングリッシュ首相と最大野党の労働党のジャシンダ・アーダーン党首は、連立政権の樹立に向け反移民を掲げる小政党ニュージーランド・ファースト党の支持獲得を目指す。一方、敗北宣言を拒否した労働党のアーダーン党首も、同盟関係にある緑の党とともにニュージーランド・ファースト党と協議して連立を模索する意向を示した。

■女性首相誕生へ…NZで政権交代、TPP後退も2017年10月19日

ニュージーランド(NZ)で9月に実施された総選挙で第2党になった労働党のジャシンダ・アーダーン党首(37)は19日、他党との連立協議が合意に達したとして、9年ぶりの政権奪取を宣言した。

アーダーン氏は、NZで3人目の女性首相となる。労働党は環太平洋経済連携協定(TPP)の一部見直しを主張しており、日本が推進するTPP協議が後退する可能性もある。

TPPは、米国を除く11か国で発効を目指しており、NZは、日豪などと共に協議を主導してきた。新政権が方針転換すれば、協議全体に悪影響が広がる可能性が高い。

総選挙では、政権党の国民党が第1党になったが、過半数に届かなかった。キャスチングボートを握っていた第3党のNZファーストが同日、労働党支持を決めた。

■ニュージーランド労働党

ニュージーランドの中道左派、社会民主主義政党。社会主義インターナショナル加盟。ニュージーランド国民党とともにニュージーランドの2大政党の一翼を担っている。労働組合を組織母体として1910年に誕生。社会民主主義政党として、労働条件の改善や女性の社会進出、高福祉社会や人種の枠を超えた平等社会の実現を主な政策としており、先住民であるマオリ族に対する優遇政策を採っている。またイギリス労働党などと同様、基幹産業の国有化をめざしていた。

2017年の総選挙を直前に控えても支持率低迷が続いていることの責任を取りリトルは党首を辞任。後任にはジャシンダ・アーダーンが就任した。

■ニュージーランド・ファースト党

保守主義、ポピュリズム、ナショナリズムを政治理念とするニュージーランドの政党。元ニュージーランド国民党所属のウインストン・ピータースが離党し1993年に結成。

高齢者利益の増幅・保護、マオリ族出身者の地位向上、権利の保護を主張し、移民流入、国有財の民営化(特に海外への国有資産の売却)などに強く反対する。他方、減税には賛成している。ニュージーランドに移住して来るアジア系移民の数が(総人口に対して)多すぎると政府の移民政策を批判している。ニュージーランドはニュージーランド人を最優先にすべきと主張する。しかし、政党として反アジア人政策を掲げているわけではないと主張している。

List    投稿者 dairinin | 2017-10-20 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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