反グローバリズムの潮流(イギリスのEU離脱問題、まだ反EU側が優勢?)
前回の反グローバリズムの潮流(イギリスの合意なき離脱は大きな可能性かも)では、イギリスが合意なき離脱に進み、その混乱を乗り越えて自立することがイギリスにとって一番大きな可能性ではないかとお伝えしましたが、その後どうなっているのでしょうか。
イギリス国内は、相変わらず混乱が続いています。前回の投稿からの動きを見てみると、EUが何か検討したとか発表したという報道は殆どなく、イギリス国内の混乱を伝える報道だけが続いています。
イギリス与党から離党が発生、合意のないまま離脱に突き進むなら多数の閣僚が抗議辞任するとメイ首相に警告、メイ首相は離脱協定の議会採決を3月12日に延期、イギリス労働党は2回目の国民投票を支持、メイ首相が離脱延期の可能性に言及、合意なき離脱の可否を議会で採決する議案を可決と、3月29日の合意なき離脱を回避する動きだけが進んでいます。
イギリス国内は合意なし離脱の阻止に大きく舵を切り始めています。EU推進派はイギリスとの国家間交渉ではEU離脱を阻止できないと判断し、イギリス国内の切り崩しに戦略を変えてきたのかもしれません。
しかし、「どんな状況でも」合意なしブレグジットは行わないという修正案は、324対288で否決されており、イギリス国会でも状況によっては合意なし離脱も辞さないと考えている議員が、まだ過半数を保っています。イギリスではEU推進派よりも反EU派の勢力がまだ優勢なのかもしれません。
■ホンダ 英工場を閉鎖へ 社長「EU離脱関係ない」2019年2月20日
ホンダの八郷社長は、イギリス・スウィンドンにある工場での生産を2021年中に終了すると発表し、理由については、今後加速する電動化車両への対応強化と、世界的な生産体制の見直しの一環だと説明した。そのうえで、イギリスのEU(ヨーロッパ連合)の離脱とは、「関係ない」と強調した。
また、トヨタ自動車は、イギリスが合意なき離脱となった場合に、イギリスにある工場を数日から数週間にわたり、操業を停止する可能性があることを明らかにした。
■英与党からも離党、「独立グループ」参加 今後も合流増えるか2019年2月22日
イギリスの最大野党・労働党の離党議員たちが作った「独立グループ」に20日、与党・保守党の離党議員たちが合流した。与野党からの議員離党は、今後さらに増える可能性がある。新しい「独立グループ」は、労働党指導部のブレグジットに対する姿勢や「反ユダヤ主義」を批判して離党した8議員が結成した。
その後、20日に保守党を離党したアナ・スーブリー議員、ハイディ・アレン議員、サラ・ウォラストン議員の3人も加わった。3議員は、ブレグジットなどに関する党の方針を、強硬右派に決めさせていると、党指導部を非難している。
■合意なしブレグジットなら閣僚十数人が抗議辞任か メイ英首相に警告2019年2月22日
通常はテリーザ・メイ英首相に忠実な与党・保守党の議員団が22日、もし政府が欧州連合(EU)との合意のないまま離脱に突き進むなら、多数の閣僚が抗議辞任するとメイ首相に警告した。
政府は、下院の懸念に対応するためのEUとの「生産的」な交渉が緊急性を帯びて続いていると話しているが、メイ政権は、合意のないまま離脱する可能性を否定していない。ブレグジットを支持する議員団は、3月半ばまでにEUと離脱協定が合意できなければ、ブレグジットを延期し、合意なしブレグジットを阻止するため、与野党議員提出の代替案を支持する方針を示している。
■EU離脱協定の議会採決を延期 メイ英首相、「3月12日までに」2019年2月25日
イギリスのテリーザ・メイ首相は24日、イギリスの下院議員は3月12日までにブレグジット協定に関する採決を行うとの方針を示した。一方で、EUとの「前向きな」協議は「なお継続中」で、3月29日に迫った離脱も「手の届く範囲にある」と話した。首相によると、イギリス政府はEUと、アイルランドと英・北アイルランドの国境問題をめぐる「バックストップ(防御策)」についての協議が続いているという。
■英労働党、2度目の国民投票支持も こう着するEU離脱2019年2月26日
イギリスの最大野党・労働党は25日、「保守党の有害なブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)を阻止するため、2度目の国民投票を行う案を支持する用意があると明らかにした。
■英メイ首相 EU離脱延期の可能性を言及2019年2月26日
メイ首相は、EU側と協議している離脱協定案の修正案について来月12日までにとりまとめ、議会採決を行うと明らかにした。その上で、修正案が否決されれば、合意なき離脱の是非について議会で採決し、これも否決された場合、来月29日の離脱日を短期間、延期することについて14日に採決を行うという。
メイ首相はこれまで離脱日は延期しないとしていたが、EUとの再交渉が難航する中、方針転換を余儀なくされた形。
■英下院、合意なしブレグジットと離脱延期の是非を採決へ 野党は国民投票を支持2019年2月28日
イギリス議会は27日、3月半ばまでにEUとの離脱協定が成立しなければブレグジットを延期し、合意なしブレグジットを阻止するかどうかをあらためて下院で採決するという案を、圧倒的多数で可決した。メイ首相は26日に、合意なしブレグジットと離脱延期の是非を議会採決にかける妥協案を発表したが、この妥協案が含まれた修正案(労働党のイヴェット・クーパー議員提出)は502対20の圧倒的多数で可決された。
一方、スコットランド国民党(SNP)が提出した、「どんな状況でも」合意なしブレグジットは行わないという修正案は、324対288で否決された。
■英政府、ブレグジット後に困窮自治体へ16億ポンド拠出計画 野党は「賄賂」と反発2019年3月4日
首相が発表した「町強化基金」の半分以上は、イングランド北部と中部ミッドランズで、雇用促進と景気回復に充てられる。これに対し最大野党の労働党は、これは欧州連合(EU)離脱派地域の下院議員たちから支持を取り付けるための、政府による賄賂だと批判している。政府が提示した16億ポンドという金額は、イングランドの地方自治体の支出総額の2%以下でしかない。
■マクロン大統領、一気に22本の怒涛のツイッター:EU市民宛にブレグジットと欧州議会選挙で2019年3月5日
マクロン大統領がまさに怒涛のツイッターを発信した。 どのように怒涛かというと、EU市民向けのメッセージを、EUの公用語(全部で24言語ある)で発信したのだ。「ヨーロッパの市民へ、緊急なので、私はあなたに語りかけます」と書いた内容は何だったのか。
ブレグジットはシンボルです。 現代世界の大きなショックに直面した人々の、保護の要求に答えることができなかったヨーロッパの危機の象徴、ヨーロッパの罠の象徴でもあります。 罠は欧州連合(EU)のものではありません。 EUを破壊しうるのは嘘と無責任です。
■EU、「受け入れられる」ブレグジット案を英政府に要求 48時間以内に2019年3月7日
欧州連合(EU)幹部は、英・北アイルランドとアイルランドの国境をめぐる交渉打開のため、英政府が「受け入れられる」案を8日までに提出すれば、週末中はノンストップで働くと述べた。英政府は、アイルランド国境の扱いをめぐりブレグジット後も結果的にEUの規定に縛られるのではないかという議員の懸念を一掃するため、「合理的な」提案をすでに用意したと話している。テリーザ・メイ英首相は2度目の「意味ある投票」の日を3月12日に定めたが、これまでのところ目に見える進展はほとんどない。
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kanekashi.com/blog/2019/03/6126.html/trackback