2017-05-02

北朝鮮問題やシリア内戦はアメリカ産軍複合体の生き残り戦略か

AS20170427001421_commトランプ大統領は4月6日にシリアにミサイル攻撃を実施したかと思えば、そのすぐ後に空母カール・ビンソンを日本海に派遣し北朝鮮を牽制するなど、まるで映画かテレビドラマでも見ているかのような、派手な演出が続いています。トランプ大統領は何を考えているのか、北朝鮮との武力衝突は発生するのでしょうか。

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北朝鮮問題をめぐる、アメリカ、中国、ロシア、北朝鮮それぞれの利害を考えると、誰にとっても現在のような緊張状態が続くことが、最もメリットが大きいことが見えてきます。

中国、ロシアにとっては、北朝鮮問題は国際社会で、自分たちの主張を押し通す良い材料になります。中国であれば南沙諸島問題、ロシアであればクリミア問題による経済制裁の、有効な交渉材料になります。また、日米に対しても譲歩を引き出す良い材料です。

アメリカにとっては、韓国にTHAADを配備しただけでも大きな儲けになりますが、さらにその運用費用の負担交渉もできます。また、日本や台湾の軍備増強でもう一儲けすることも可能です。アメリカの産軍複合体にとってみれば、戦争がやりにくくなった中で、北朝鮮問題はまたとないビジネスチャンスです。

そして、北朝鮮にとってですが、もちろん戦争を始めてしまえば大打撃を受けることは必定、下手をすればパニックになった国民が暴動を起こす恐れもあります。それに対して現状は、戦争をちらつかせることで、裏で金銭や物資の支援をせしめていると思われ、北朝鮮にとって緊張状態は飯の種になっているとも思われます。

北朝鮮は長らく経済制裁を受けているのですが、報道を見ている限り以前より豊かになっていると思われます。これだけミサイル実験が行えるのも極貧の国民から搾取しているとは思えず、どこかからお金をもらっているとしか思えません。真っ先に考えるのは、アメリカとの交渉カードを持ちたい中国、次にロシアの支援だと思いますが、最も可能性が高いのがアメリカの産軍複合体からの支援です。

北朝鮮にとってみれば10億円ももらったら大喜びでしょうが、韓国に配備されたTHAADは10億ドル≒1200億円です。利益率が10%だとしたら120億円の儲けですから、アメリカの産軍複合体にとってみれば、北朝鮮を支援して緊張状態を創りだした方が圧倒的に儲かります

シリア内戦も、ロシア主導の停戦合意が動き出したところで、毒ガス利用を理由にミサイル攻撃を仕掛けたアメリカの動きも、その主要な目的はシリア内戦を長引かせる効果を狙っていると考えると納得がいきます。

アメリカという国は、第一次、第二次の二度の世界大戦で、軍需産業が国家経済に完全に組み込まれ、軍需なしには経済が回らない国家体制になっています。だからこそ、第二次大戦後も先進国で唯一、戦争を続けている国家なのです。しかし、そのアメリカでも国内世論が戦争を認めなくなってきました。そこでベトナム戦争以降はテロとの戦いに舵を切ったと思われますが、テロとの戦いもイラク戦争の8年に及ぶ泥沼の戦いで、戦闘を行うの了解を得るのはアメリカと言えども容易ではなくなりました。

産軍複合体が生き残っていくためには、従来の戦争のような「太く短い儲け方」ではなく、規模な戦闘は行わずに日常的な緊張状態を維持する「細く長い儲け方」が唯一残された道なのではないでしょうか。トランプ大統領の過剰とも思える演出の背景には、産軍複合体の生き残りをかけた方針転換があるのではないでしょうか。

 

■トランプ政権 北朝鮮制裁強化方針を全上院議員に説明4月27日

アメリカのトランプ政権は、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮への対応をめぐり、上院議員全員をホワイトハウスに招いた異例の会合を開き、経済制裁の強化などを通じて北朝鮮への圧力を強化していく方針を説明しました。

■米空母と護衛艦の共同訓練 写真を公開4月27日

アメリカ海軍と海上自衛隊は、太平洋や東シナ海で頻繁に共同訓練を行い、緊密な連携がとれるようにしています。

具体的には、双方の複数の艦艇が担当するエリアを決めて、海中を航行する潜水艦を探知して追尾する「対潜訓練」や、上空からの戦闘機やミサイルの攻撃に対処する「防空訓練」、それに弾道ミサイルを探知し迎撃することを想定した訓練などを行っています。

■台湾 蔡総統 トランプ大統領と再び電話会談も4月28日

台湾の蔡英文総統は海外メディアとのインタビューで、アメリカのトランプ大統領と、状況によっては再び電話で会談することに前向きな姿勢を示し、アメリカとの緊密な関係を強調する狙いがあると見られます。

さらに、蔡総統は最新鋭ステルス戦闘機のF35について、「戦略上、有意義なものだ」と述べ、アメリカからの購入に意欲を示しました。

■トランプ大統領「北朝鮮 外交で解決したいがとても困難」4月28日

トランプ大統領は、北朝鮮が核とミサイルの開発を加速させている問題について、「われわれは外交で解決したい。しかし、とても困難だ。最終的に北朝鮮と大規模な衝突になる可能性もある」と述べました。

そのうえで、「中国の習近平国家主席がアメリカに協力するため全力を挙げていると強く感じている」と述べ、北朝鮮の後ろ盾となっている中国の行動を見守る姿勢を示しました。

同盟国、韓国に配備するアメリカ軍の最新の迎撃ミサイルシステム「THAAD」について「10億ドルのすばらしいシステムだ。われわれは韓国を防衛したい。しかし、韓国は支払うべきだ」と述べ、対価を求める意向を示しました。

■米空母カール・ビンソン 日本海に展開4月29日

海上自衛隊と共同訓練を行いながら北上していたアメリカ軍の空母は、29日昼すぎ、長崎県沖の対馬海峡を通過して日本海に入りました。朝鮮半島周辺への空母の展開によって、北朝鮮に対するけん制がさらに強まることになります。韓国海軍が今月末ごろに日本海で共同訓練を行うとしていて、今後、海上自衛隊と交代する形で、空母と韓国海軍との訓練が行われる見通しです。

弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮は、29日朝も1発を発射しましたが、朝鮮半島周辺へのアメリカ軍の空母の展開によって北朝鮮に対するけん制がさらに強まることになります。

■THAADの経費めぐり米韓高官が会談 米側も負担を確認4月30日

北朝鮮の弾道ミサイルの脅威に対応するため韓国に配備されるアメリカ軍の最新の迎撃ミサイルシステム「THAAD」をめぐって、アメリカのトランプ大統領が経費は韓国側が支払うべきという考えを示したことに関連して、韓国大統領府は30日、両国の高官が会談し従来の合意が再確認されたとして、アメリカ側も負担する原則に変わりはないとの認識を示しました。

韓国大統領府は、今回の会談によって負担に関する両国の従来の合意が再確認されたとして、運用や維持の経費については、アメリカ側が負担する原則に変わりはないという認識を示しました。

■“中国が協力するなら貿易面で譲歩” 対北朝鮮で米大統領5月1日

アメリカのトランプ大統領は北朝鮮の核・ミサイル問題について「貿易よりも重要だ、貿易も重要だが、何百万人もの死者が出る大規模な戦闘になる可能性がある」と指摘し、中国が解決に協力するなら、貿易面で譲歩する考えを示し、中国に影響力を行使するよう促しました。

■米大統領「正しい状況ならキム委員長と会う」5月2日

アメリカのトランプ大統領は、大手メディアのインタビューで、北朝鮮の核・ミサイル開発問題をめぐり、「正しい状況のもとでなら、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長と会うだろう」と述べ、対話の可能性も排除しない姿勢を示しながら北朝鮮に核・ミサイル開発の断念を促す狙いがあると見られます。

■中国 THAADの配備に改めて反対を表明5月2日

アメリカ軍が韓国に配備を進めている最新の迎撃ミサイルシステム「THAAD」が、運用可能な状態になったことが明らかになったことについて、中国外務省の耿爽報道官は、2日の記者会見で「われわれは米韓による韓国への『THAAD』配備に反対する」と述べて、直ちに配備の手続きを停止するよう求めました。

■米ロ首脳 電話会談へ シリアや北朝鮮の対応注目5月2日

アメリカのトランプ大統領とロシアのプーチン大統領は、2日に電話会談を行う予定で、米ロ関係が冷戦後最悪と言われる中、シリアや北朝鮮への対応をめぐって、どのようなやり取りが行われるか注目されます。

このうちシリア問題をめぐっては、プーチン大統領は、欧米が退陣を求めるアサド大統領の処遇を棚上げし、過激派組織IS=イスラミックステートへの対応など、テロ対策での協力を求めるものと見られます。

一方、北朝鮮の問題では、アメリカが武力行使も排除しない姿勢を示しているのに対し、ロシアは、北朝鮮が核を放棄しないのはアメリカが軍事的な圧力を強めているためだと批判しており、あくまでも対話による解決を主張すると見られます。

List    投稿者 dairinin | 2017-05-02 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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