2008-10-14

『ウォールストリート;恐怖の8日間』より(6)今後は円>ユーロ>ドル

前投稿からの続きです。

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▼今、ユーロが下げ、米ドルがユーロに対し維持し、円が上がっている理由
【ユーロの、対ドルでの下げの原因】
今は米ドルに対し、1ユーロは$1.36に下げています。
ユーロに対しては、ドルが上がった。
この原因は、米国の金融機関が、欧州にもつユーロの株や証券を売ってユーロを得て、そのユーロをドルに交換(ユーロ売り=ドル買い)して、自国での資金繰りに充てているからです。
欧州の株価の下落は、米国と欧州の金融機関及びファンドの、ユーロ株売りによります。
(注)米国の金融機関とファンドは、前述のように、対外債権を$16.5兆持っています。これを、売っている。
【米ドルの、対円での下げの原因】
他方、米ドルは、日本円に対しては$1=100円付近に下げています。(08.10.08)
この原因は、米系ファンドがもつ日本株の売りの金額(円売り=ドル買い)より、日本の金融機関によるドル債やドル株の売り(ドル売り=円買い)の金額が大きいからです。
ドル債を売ってドル札に換え、そのドルを円に交換(ドル売り=円買い)し、自国に持ち帰っているからです。今、日本に資金が回帰しています。
●今通貨でもっとも強いのが円、次がユーロ、もっとも弱いのが米ドルです。
【短期では】
短期では、米国の金融機関とファンドの、資金繰りのためのポジション解消売りで、米ドルへの回帰(ドル買い)が上回って、ドルが上げるように見えるときがあるかもしれません。
【重要】
しかし前述のように、米国は、今後1年で228兆円が不足します。したがって、3か月、6か月スパンで見た時の、いずれの、世界の通貨に対するドル安は、避けられない。
米国のドルの信用が下落しているのです。
(中略)
■8.重要な事実
▼ドル下落に向かう米国債を、どこが買うか?
米国は2009年、2010年にかけて、228兆円もの国債の増発が必要だということを示しました。
●米国債は、今でも、その94%を、海外が買っています。米国内では、増発される国債を消化できない。根底の理由は、毎年の、国民の増加預金(残高は700兆円)がないからです。
【重要】228兆円ものドル建て証券を、どこの国が、買えるかです。買えなければ、中央銀行のFRBが買うしかない。日本、アラブ、中国を、懸命に合わせても100兆円分が限界でしょう。欧州は買う力がない。
そうすると、2000兆円の対外債務の米ドル証券が、激しく売られ、米ドルが崩落し、米国債の金利が、市場の圧力で高騰します。

▼米国世帯の消費は、100兆円が過剰だった
米国世帯の資産とは、株であり、住宅の値上がり(1年で100兆円〜200兆円の含み利益)でした。
これがなくなると、米国の世帯は、1年で、100兆円くらいの個人消費を減らさねばならない。米国の個人消費は、約800兆円(GDPの70%)です。
100兆円は、12.5%の個人消費の減ですから、大きい。1世帯当たりで1年100万円分の消費減です。米国の消費者ローンは、大きく減っています。
2009年の米国GDPは、相当なマイナス(−3%から5%)になります。これは、米国の自動車会社3社を破産させ、中国・日本の輸出工場も直撃します。米国での、日本企業の生産も、減ります。
米国の貿易赤字を売上としてきた貿易黒字国の過剰生産力(約100兆円分の生産力)は、今後数年の、デフレ圧力(商品物価の下落圧力)になります。
過去、5%の高い実質経済成長だった世界は、2009年、2010年と、GDPのマイナスを、経験するでしょう。

(引用以上)

List    投稿者 watami | 2008-10-14 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨11 Comments » 

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コメント11件

 カーロス・リベラ | 2009.03.14 20:50

上ノ左派政権ノ表ヲ見ルト、
新自由主義ハ否定スルガ、
市場原理ハ肯定スルトイウ、
ワケノ分カラナイモノニナッテイマスガ、
大丈夫デスカネ?

 benihana | 2009.03.14 23:07

南米諸国は今まで、アメリカの裏庭とまで呼ばれるようになっていました。
南米でアメリカの覇権が確立された背景には、当然のことながら各国にアメリカの言いなりになることで利益を得る人たちがいたからであり、アメリカの支配によって利益を得るものと、虐げられるものの間で格差が広がったために現在の状況になっているのですね。この構図は、今まで世界の至る国々で存在していたと思いますが、これまでと違うのは、複数の南米諸国の権力構造が同時期に一気に代わったということなのでしょう。そういう意味でもこの国際ブロックは、非常に注目すべきエリアと思います。

 バランス | 2009.03.15 21:59

>中南米は日本との関係も実は濃い。
ブログの内容とは関わりありませんが、
WBCメキシコ代表応援団の子どもたちの
顔が日本人の子供のようで不思議に思えました。
キューバの場合は全く違いますが、
中国・朝鮮・モンゴルより、ペルーやメキシコの
先住民が日本人とにているのは時空のマジックのようで楽しい感じです。

 mukai | 2009.03.20 1:26

カーロス・リベラさん、benihanaさん、バランスさん
コメントありがとうございます。
ゴールドマン・サックスのアルベルト・ラモス副社長は
インタビューに応え、中南米の経済成長率は2009年
後半から回復が始まり、10年には2.7%成長すると
予測する。
また、中南米でブラジルやメキシコに次ぐ注目市場と
してコロンビア、ペルー、チリを挙げている。
また狙われているのです。金貸しの動きにも注目です。
 

 gokuu | 2009.03.21 22:40

確かに、カーロス・リベラさんが仰るように、市場原理に中南米が走る危険性はあると思います。
しかし、極として統合していく内容が、市場原理とも言い切れないので、その可能性を見極めたい所ですね。
国際金融資本による、収奪経験を持つ国家群ですから、その可能性は高いと見ていますが・・・・・どうでしょう?

 カーロス・リベラ | 2009.03.27 22:49

gokuuサンヘ
中南米ノ国ハミンナ貧乏デス。
ダカラ、治安モ悪イデス。
ミンナ豊カナ暮ラシガシタイト思ッテイルハズデス。
市場原理ニ頼ラナクテモ豊カナ暮ラシガデキルノダト
ミンナガ納得デキルカ、ドウカデス。
ドウ思イマスカ?

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