2022-12-20

金融の構造① 銀行システム(中央銀行+銀行)と債務マネー

現代の経済は、金貸しが金を貸す債券経済→債務マネーで運営されている。
今後の金貸しVSロシアなどの情勢予測のため、金融の原理的な構造から把握してみる。

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※中央銀行の構造シリーズの続きです。
中央銀行の力の根源 ~通貨発行権と徴税権~
中央銀行 教科書には載らない歴史背景(日銀)
日銀のB/Sと収益分析1
日銀のB/Sと収益分析2

現在の銀行システムは、歴史的に
①15C~銀行の始まり(イタリア発)、16C~西欧重商主義と大航海→株式会社の始まり
②17C~中央銀行の始まりと軍事財政国家化
③20C~FRB+BISを中核とするドル基軸(米国債買い支え)体制

・・・この3層の構造になっている。現在ロシアの攻撃を受けているのは③のドル基軸体制だが、ロシアは債務マネーの構造そのものを転換しようとしているリンク。(金貸しの銀行システムと比較すると、違いがよく分かる。)

元々、貴族などの個人の金資産を担保に、金貸しが預かり証(紙幣)を発行したのが銀行であり、預かり証が紙幣の元祖と考えると非常に分かりやすい構造をしている。

●通貨は銀行にとっての負債
通貨の発行は「信用創造」、英語で「Credit Creation(負債の創造)」と言われる。
紙幣は、銀行にとっての預金者・国民からの負債(税金を担保にした前借・借用書)。
※金細工師が金を担保に発行する預り証=貴族への負債証明書。
※参考記事:債務から通貨を創造する

・銀行システムは、貸付を行うことで、マネーサプライ(=預金=銀行の負債)を創造して増やす。(銀行の帳簿では「貸付金の増加(資産)=預金の増加(負債)」)

※現代の信用創造とは?
現代日本で通貨(紙幣)の裏付けは2つ。それを元手に信用創造、2段階ある。
①国民・企業から銀行への預金を元に貸付(預金通貨、発行するのは銀行)。
②中央銀行が国債を担保に発行する紙幣(当座預金から銀行が引き出し)。
※現状①の預金の総量は約1400兆円(マネーサプライ:M3)、当座預金(マネタリーベース)から銀行が国債を担保に引き出している紙幣量は約120兆円。信用創造を行うのは主に銀行である。

●中央銀行を必要とした銀行と政府
イングランド銀行など先行事例を除き、19世紀から各国で銀行の上に「中央銀行」が作られる。理由は2つある。
① 信用創造→度々信用不安(取付け騒ぎ)が発生するため、銀行の銀行として中央銀行が始まる。取り付け騒ぎで銀行が破産しそうになると、中央銀行が紙幣を増発して銀行を救う。→銀行に対する銀行の機能(当座預金)。

② 政府は資金量で勝敗が左右される国家総力戦に対応するために、国債を担保に紙幣発行する中央銀行を必要とした(財政軍事国家化)。大元に金貸しによる資本の収奪合戦→植民地圧力・戦争圧力の充満。

★中央銀行の無限信用とは、国債(国民の税金)という徴税権とセットであることに由来。中央銀行の口座=当座預金を介して、銀行システムを形成。実質の徴税権≒通貨発行権は金貸しにある。国家という私権統合体を、資力⇒通貨の元に再統合したのが近代国家。
★金貸しは、資力⇒国家を超えたグローバル金融帝国と化すことで、国家を外から操縦(戦争させ金を貸す)。


●複式簿記と資本主義

銀行=金や預金を預かる →資産と負債を対照する必要性の発生 →簿記の必要性。
資産=負債、誰かの資産・お金は誰かの負債という構造。貸し手と借り手。調達と運用。

※株を発行して、資本を元手に増殖していく資本主義は、金貸しと発想が全く同じ。
貴族からの出資を元手にいかに利益と資産を増やすかが活力源。
→植民地収奪戦と産業拡大へ。
原点は、金細工師のB/S(貸借対照表)だった金の預かり帳か?

※中央銀行の通貨発行は、会社が株券を発行する行為と同じ。株券と社債が会社の負債であるように、通貨は負債。株券と紙幣は同じ役割をしている。
また、レバレッジなど、資産を元手にどう増やすかという発想も同じ。次に資産をリスクから守るために先物取引やオプションなどの発想→保険やデリバティブ(金融派生商品)が出てくる。

★不整合感と追求ポイント
・債務マネー(金の預かり証であり、将来の徴税の証書)である通貨の構造自体が不整合感。
・さらに、偽金造りに似た信用創造という仕組み。
→これらは、カネが第一の価値と思わせるところから発生している。しかし、現代の(金貸しによる)戦争封鎖と経済成長の停止。カネが第一ではなくなった?
ロシアの通貨構想は、西側経済と決別したシステムを構築しようとしている。この必然性。

続く

List    投稿者 inoue-hi | 2022-12-20 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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