【ドル基軸通貨の行方】~世界情勢を左右する中立パワーの存在~
世界中でドル離れが加速しているが、ユーラシアを舞台に動いている「エネルギー争奪戦」が、それをさらに加速させています。
さらに世界勢力として注目が必要なのは、『中立勢』。
もはや世界は、『西側 対 中露』 ではなく、『西側 対 中露 対 中立勢』 の構図となっています。
その筆頭は、本ブログでも注目してきたインド。
そこに、ブラジル・南アフリカ・サウジアラビア・トルコ・インドネシアなどが続きます。
ウクライナを巡るロシアの動きに関しても、明確に避難しているのは西側諸国を中心に世界人口の36%を抱える国々。ロシア支援は、32%。そして、残り32%は中立国です。
(日本がどこに位置するかは明白ですが)
今後、世界情勢を左右するのはこれら中立勢になりそうです。
さらに「エネルギー戦争」とも呼ばれる今回の世界的な動きの中で、ついにロシアはエネルギー輸出をBRICsにシフトしました。
サウジアラビアが中国への石油輸出の一部を、ドル建てから人民元建てに変更したり、
インドがベラルーシの国営肥料大手からインド・ルピー建てで肥料のカリを100万トン輸入する可能性があることが明らかになったりと、
エネルギーを巡る世界の動きも目覚ましいですが。ここでもカギを握るのが、中立勢です。今後もこの勢力の動きに注目していきます。
〇参考:協調嫌がる「中立パワー」台頭 note:たけ セブに住んで人生が変わった話より引用https://note.com/take1008/n/n880d4c19e4c4
※日経新聞記事を解説してくれています。
>今回の日経新聞は「世界秩序の変化に、日本は最も鈍い主要国の1つだろう」と厳しい論調から始まっていました。そしてさらに「この路線は決して間違っていない。ただ、米国主導の秩序がいつまで持続できるのか、冷静に分析することも急務になってきた。」と世界の変化の速さに注視すべきだと続きました。
アメリカは「世界はウクライナ侵攻に対して結束した」とバイデン大統領は強調しますが、実は逆のことが起きています。
しかし日本はアメリカの核の傘の下で守ってもらえるという安心感があるのです。それは地政学的にも、ロシアや中国に最も違い場所にあるアメリカの同盟国のひとつだからです。
ところが、その守ってくれるはずのアメリカの国際的な存在感が弱くなってきています。
それに同調するようにアジアを中心とした各国の足並みはそろっているとはいえなくなっているのです。
協調嫌がる「中立パワー」台頭
もう今は世界対ロシアではなく、G7対ロシアというの正しい状況と言えます。
>*アジアに圧力強めるロシア
では、具体的にどのくらいの割合でウクライナ侵略を非難や制裁している国々があるか?といえばを人数ベースでみると西側諸国を中心に世界人口の36%が非難しています。32%は中立、残る32%はロシアへの理解や支持をしています。
多くの国が侵攻非難している様に感じるのはGDPベースでみると60%なので、先進国中心に非難する国が偏っていることが要因なのです。
東南アジアやインドの会議参加者からは、米国の指導力は約10年前から衰えていたと声を揃えます。
>*西側主導に戻す目標
米主導秩序に代わって現れてきたのは、一部識者が予測したような無極化でなく、3極化の秩序が誕生,勢力がせめぎあう世界でした
上述の通り
第1の勢力西側陣営でEUとG7各国、韓国、など
第2は中国,ロシア中心でイランや北朝鮮も加わります。
第3は中立パワーでインドや南アフリカ、インドネシア、トルコ、ブラジルが名を連ねます。
大国との同盟に頼らない分、中立パワーは価値や原則に縛られるのを嫌い、自国の都合を押し通しがちの行動を取ります。
私と関わりの深いフィリピンもインフラの投資に中国からのマネーを多く使っています。一方アメリカとの関係も維持しながら南沙諸島の行き過ぎた行為を監視もしています。
どっちつかずの行動で双方から自国が不利益を得ないようにけん制しながら、最大限利益をもたらす協力を双方に投げかけているのです。
実利主義ですよね。
=引用終わり=
〇参考:ロシアが仕掛けたエネルギー戦争で、ドル以外の国際決済通貨が生まれる エコノミストより引用https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20220410/se1/00m/020/002000d
>米欧のSWIFTからロシア排除に慄いた新興国
ロシアのウクライナ侵攻は、日本をも巻き込む“エネルギー戦争”を引き起こしただけではない。すでに“通貨戦争”の様相も呈している。
対露経済制裁の一環として今回、米欧が国際銀行間通信協会(SWIFT)からのロシア排除などを決め、ロシア経済に大きな影響が及ぶことが見込まれるが、これに戦慄(せんりつ)したのが中東産油国など非西側諸国だった。
国際決済に詳しいある機関投資家は「非西側諸国は、米欧に決済インフラを握られていては国際貿易の息の根を止められる、と恐怖を覚えている」と明かす。
米ドルやユーロへの依存度を引き下げようという動きはすでに始まっているようだ。3月15日にはサウジアラビアが中国への石油輸出の一部を、ドル建てから人民元建てに変更することを検討していると米紙が報じた。
実は貿易決済通貨の多極化はロシアのウクライナ侵攻の前から静かに始まっている。
SWIFTによれば今年1月、国際決済通貨における人民元のシェアはすでに円を抜いており、3・2%と過去最高になった(図1)。
人民元だけではない。
今年2月にはインドがベラルーシの国営肥料大手からインド・ルピー建てで肥料のカリを100万トン輸入する可能性があることが明らかになった。ベラルーシが欧米の制裁でドルやユーロの取引を制限されていたからだ。
=引用終わり=
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山田 | 2022.06.30 10:32
西側陣営が一枚岩じゃないところがポイントのような気がしますね。日本の報道があまりに忖度しすぎていて、その辺のところまるで伝わってこないけれども、英国がEUを離れて、その英国からスコットランドが独立しようとしてるのは氷山のほんの一角で、そもそもフランスは左傾化した押しつけがましいドイツを相当ウザいと思ってるし、そのドイツもフランスもアメリカが大嫌いだし、ウクライナごときで団結できるとは到底思えない。