2017-04-27

フランス大統領選挙、グローバリストは追い詰められている

modal_034月23日に行われたフランス大統領選挙、マクロン候補「アン・マルシェ!(前進)」とルペン候補「国民戦線」が決選投票に進みました。フランスはこれまで2大政党制で、共和党、社会党の候補がどちらも決選投票に進まなかったのは共和制の歴史始まって以来の出来事だそうです。

ルペン候補はEU離脱、移民規制を訴える国民戦線の代表で前回の大統領選挙では得票率18%の3位で決選投票に進めませんでしたが、前回より得票率を3%伸ばして決選投票に進みました。反グローバリズムの潮流の中で、国民戦線のルペン氏が支持を伸ばすのは予想された結果で、一位を取るかどうか注目されていました。

番狂わせだったのが1位となったマクロン候補です。社会党を離党して新たな政治団体「アン・マルシェ!(前進)」を立ち上げたばかり、立候補当時は泡沫候補の扱いでした。何故、マクロン候補が1位になれたのでしょうか。

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マクロン候補は、「左派右派のあらゆる良き意思を結集」して「左派でも右派でもない政治」を目指すと宣言し、政治運動「前進!(En Marche!)」を結成。
一見すると、新しい政策を打ち出しているように見えますが、旧勢力である、共和党や社会党が、国民戦線を切りくずすために、国民戦線の主張を取り入れて行ったのとは違い、国民戦線のルペン氏と真っ向対立する政策を打ち出しているのが旧2大政党と違う大きな特色です。

その政策を良く見るとグローバリズム、市場原理を最大限利用した経済体制、歳出は削減し、公務員の大幅な削減、規制緩和、国営企業の民営化を主張するなど、10年前、20年前に逆戻りする様な内容です。ここまで社会が行き詰った原因である、政治経済の考え方を蒸し返しているにすぎません。

こんな古い政策でなぜ1位になれたのか、簡単に言うとマスコミがマクロン候補を多く取り上げたからのようです。マクロン候補は政治の世界に入る前はフランスのロスチャイルド銀行に勤めており、若くして副社長各にまで昇進したエリートです。ルペン党首率いる国民戦線が大衆の立場に立って反グローバリズムを政策に掲げ、支持を集めていることに、グローバリスト勢力が強い危機感を覚えて旧勢力を切り捨て、生き残りをかけて1点集中で支持したのがマクロン候補であったと思われます。

決選投票の予測では、マクロン候補60%、ルペン候補40%と旧勢力であるマクロン候補の方が優位ですが、グローバリズムを推進する金貸し勢力がマスコミを総動員してマクロン候補を応援し、ルペン候補を極右勢力と批判しても、40%の国民がルペン候補を支持している状況は、グローバリズム勢力が本当に追い詰められていることを示しています。

今回の大統領選挙ではマクロン候補が勝利するかもしれません。しかし、彼が主張する政策は、これまで世界中で実行されことごとく失敗した古い政策です。この政策が実行されればフランスの政治経済が今よりも行き詰ることは明らかです。マクロン候補は政権を取るかもしれません、しかしその結果グローバリズムの限界が明らかになり、一気に反グローバリズムの世論がEUを席巻する結果になりそうです。

■2017年フランス大統領選挙
1回目の投票は4月23日に行われたが、過半数を獲得する候補者がいなかったため、5月7日にマクロン候補とル・ペン候補の上位2名による決選投票が執行されることになった。

エマニュエル・マクロン「アン・マルシェ!(前進)」24.01%
マリーヌ・ル・ペン「国民戦線」21.30%
フランソワ・フィヨン「共和党」20.01%
ジャン=リュック・メランション「左翼党」19.58%
ブノワ・アモン「社会党」6.36%

■異例の大統領選 マクロン氏か ルペン氏か
中道・無所属のマクロン氏か、極右政党・国民戦線のルペン氏か。これまで政権を争ってきた、伝統的な右派でも左派でもない政党の候補が大統領の座を争う異例の展開となりました。5月7日の決選投票を制するのは、どちらの候補か。マクロン氏優勢との見方がある一方、1回目の投票で2人に投票しなかった有権者の動向は最後までわからず、行方は予断を許さない状況です。

最新の支持率と推移(決選投票)マクロン候補60%、ルペン候補40%

■仏大統領選で2大政党は敗北
オランド現大統領の出身政党・社会党が推すブノワ・アモン元厚相は得票率6・2%と2桁を割り、歴史的敗北を喫した。フランスでは従来の大政党、共和党の候補者フィヨン元首相と社会党の候補者アモン元厚相は決選投票に進出できなかった。両候補者の得票数は合わせても有権者(約4700万人)の約4分の1に過ぎない。有権者の既成政党離れが急速に進んでいるわけだ。

ちなみに、欧州政界が恐れてきたシナリオは、極右派のルペン氏と極左派のメランション氏が決選投票に進出した場合だった。両者はEUの離脱を主張してきただけに、ブリュッセルにとって最悪のシナリオは回避されたわけだ。

■エマニュエル・マクロン
生年月日:1977年12月21日(39歳)、出身校:パリ政治学院、国立行政学院

2004年財務省財政監察官。2006年社会党に入党。2008年にロスチャイルド家のフランスにおける中核銀行たるロチルド & Cieに入行。2010年には副社長格にまで昇進し、一時期の年収は200万ユーロにも上ったという。2012年、大統領府副事務総長としてフランス大統領フランソワ・オランドの側近。2014年経済・産業・デジタル大臣に就任。2016年4月、「左派右派のあらゆる良き意思を結集」して「左派でも右派でもない政治」を目指すと宣言し、政治運動「前進!(En Marche!)」を結成

自由貿易を促進するグローバリズムの支持者と目される。市場原理を最大限に尊重した経済体制を主張している。また、歳出は削減し、公務員の大幅な削減、規制緩和、国営企業の民営化を積極的を主張するなど新自由主義者である。また、積極的な移民・難民の受け入れを主張するなどリベラル・左派的な姿勢をとっている。

外交面では親イスラエル路線を採用し、パレスチナの国家承認に否定的な立場。シリア問題ではアサド政権の退陣・追放を主張、反体制派武装勢力への支持。このような経緯からロシアへの制裁継続を支持

■フランス大統領選の最有力候補に浮上、エマニュエル・マクロン氏とはどんな人物か
エマニュエル・マクロン氏は、ほんの数カ月前まではフランスのマイナーな政治家で、有権者にあまり知られていない存在だった。しかし、今や次期大統領選の本命と目されている元社会党で、フランソワ・オランド大統領政権下で2年間だけ経済相を務めた。政界に入る前は、ロスチャイルド銀行の幹部だった。これまで大統領選に立候補したことはなく、看板政策や選挙をリードするための業績も特には見当たらない。

マクロン氏は2016年11月に大統領選への出馬を表明したが、当初は「見せ物」とあしらわれていた。フランスのメディアはカリスマ的なマクロン氏を多く取り上げ、他の政党から「えこひいき」だと批判されている。またフランスのタブロイド紙は、マクロン氏の高校の先生だった24歳年上の妻ブリジット氏との関係に焦点を当てている。

■マリーヌ・ルペン党首は親日?若い頃の顔画像は?独身で結婚歴あり
マリーヌ・ルペン氏はメディアには極右やレイシストなどのレッテルを貼られていますが、富裕層でなく一般人であるフランス国民からは多くの支持を受けて、大躍進しています。1968年8月5日に生まれ現在48歳です。

8歳の時に、政治家であった父を狙ったと思われる自宅を破壊された事件に、姉と共に巻き込まれて、学校では父親のことが原因で「悪魔の娘」と呼ばれていじめられていました。父親は「国民戦線(FN)」の創設者です。

フランス大統領選で、EU離脱を問う国民投票の実施や、ユーロを廃止して自国通貨の復活、移民受け入れの制限、などを公約に掲げています。

■フランス大統領選3位に急浮上、左翼党メランションの脅威
メランションは「社会主義の真の体現者」とか「フランスにおける共産主義の最後の巨頭」。メランションを支持するのは、現状に不満を抱える労働者階級だ。

メランションは既存秩序が嫌いだ。メディアに対しても批判的で、反米・社会主義政権を率いたベネズエラのウゴ・チャベス前政権や共産主義キューバのカストロ兄弟の長年の支持者。ユーロ懐疑派で、NATOから脱退する。

List    投稿者 dairinin | 2017-04-27 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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