アメリカ・デフォルトは起きるのか!?-3 〜金とドル最後の戦い〜
(写真はコチラからお借りしました)
前回は、リンゼイウィリアムズ氏によるデフォルト説を取り上げました。マイクロチップやスマートメータ等、本当の事ならばすでにヤバイ状況に突入している事になりますね。
さて、今回は、著書「恐慌前夜」で“リーマンとメリルは消えてなくなる”と断言し、見事リーマンショックを的中させた副島隆彦氏が言及するデフォルトへのシナリオを見ていきましょう。
■ 副島隆彦氏ってどんな人?
一般的な副島氏の評判はロスチャイルド寄りであり、自らも(国内政治に関しては)小沢一郎氏信奉者と積極的に公表しています。ゆえに、副島氏の中では、悪の根源はあくまでD・ロックフェラーであり、ロスチャイルドを責めるような表現はほとんどありません。その姿勢から、一部ではロスチャイルドのまわし者ではないかと言われているようです。
(リンク)
彼は、著書『帝国の逆襲〜金とドル最後の戦い〜』において、2015年2月にアメリカはデフォルトすると明言しています。果たして、リーマンショック同様、アメリカのデフォルトも的中させてしまうのでしょうか?今回はこの副島説=ロックフェラー主謀説を、客観的に読み替えて解説していきます。
■ アメリカ財政(政府のお金)の動き
上図は、副島氏が考えるアメリカ財政破綻までのシナリオです。
記憶に新しい10月1日の「政府機関の一部閉鎖」(フェーズ2)までは既に起きています。次に、アメリカは債務上限引上を行い、(フェーズ3)には至らず生き延びています。まずは、この2つの事実について取り上げます。
そして、今後の流れとして、「金」とドルの戦い、デノミ、デフォルトまでの副島氏によるシナリオを要約し、客観的に考察してまとめていきます。
■ “米国破産”の緊迫した現実味 〜7月から既に始まっていた政府閉鎖問題〜
(p44〜p51を要約)
18年ぶりに政府機能が停止した2013年10月より前、7月から既に米政府は、連邦政府(州や大きな市ではない)レベルで「金曜日は、一般職員や軍隊の事務職は役所に出てくるな。」と命令を開始していた。歳出の強制的自動削減としてシークエスター(公務員の一時休暇、自宅待機の事)を行い、事実上の給料1/5カットを実施し始めていたのだ。
そして、10月に政府閉鎖で公務員は自宅待機を余儀なくされ、国防・医療など重要な業務を除く公共サービスは停止された。
前回取り上げたリンゼイ氏の記事では、バーナンキ氏(FRB議長)は、「金融緩和縮小」に伴い生じる金利上昇(3→12%)によって、デフォルトした際の“金融界”の挙動を計る予行演習をしていたとの事です。
そして、今回の債務上限引上決議の延期による「政府機関の一時停止」は、デフォルトした際の“庶民レベル”の挙動を計る予行演習という見方はできないでしょうか?
■ デフォルトを避けるために国債発行(QE3)行い、資金繰先に利用される日本
(p52〜p56)
円・ドルの為替相場に関しては、ドル・ユーロ・円の3通貨が互いに見合いで釣合うように決まる。米・欧・日とも、無制限どころか“無尽蔵”の通貨供給をやっている。だから、三すくみ状態で、3通貨すべてが減価すれば、どの通貨も落ちない(変わらない)ように見える。が、今後円高・ドル安でドルが下落すると見る。
しかし、その後米は日本へ50兆円の国債を売出し、1ドル100円に引き戻すだろう。
安部自民政権は、2013年2月21日の首脳会議で「アベノミクスによる円安(80→100円)と株高(8,600→16,000円)の許可」と引換に50兆円分の米国債を買った経緯がある。アメリカは2013年5月から6,7,8,9,10月と、日本からのお金で生き延びた。アメリカのQE3による資金供給(金融機関からのMBSなどの資産の買い入れ)は、月額8.5兆円(850億ドル)だ。1ヶ月8.5兆円×6=50兆円だ。数字がピタリと合う。
このとき、1回に付き5兆円の日本政府の金を、為替でドルに交換した。そしてアメリカ政府に送金した。5兆円の円売り・ドル買いで為替は2円円安になる。と言う事は1回に2円ずつの円安で、これが10回行われた。2円×10回=合計20円だ。これでピタリと20円の円安(ドル高)になった。1ドル80円は100円になった(2013年5月10日)。
つまり、これと同様の行為を繰り返すつもりだ。結局の所、米は日本からのお金で生き延び、国家の債務を膨らまし、大統領中間選挙が終わる2014年11月迄生き延びていくのだ。
リンゼイ氏同様、副島氏もQE3打ち止めがデフォルトを招くという見解ですね。結局の所、債務上限を引上げ、国債を発行しても買い手がいなかればすぐにでもデフォルトしてしまうほど、アメリカは苦境に立たされているのですね。そして、QE3による最大の買い手が借金大国“日本”と言う事も悲しい事実です。
■ 「帝国の逆襲」金とドル最後の戦い 〜FRB(ドル)は失墜し、金は高騰する〜
(p168〜197)
FRBが“空売り=ありもしない金を貸しまくって”金の下落を秘密裏に仕組んでいる。これを私は「金を殺そうとしている」と表現する。ボロボロの米ドルの信用を守るためにだ。この闘いはこのあと15ヶ月続くだろう。
IMFやWGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)の発表では、アメリカは8000トン以上の金準備を持っている事になっている。
しかし、アメリカは毎年の貿易赤字だけで6,000億ドルある。代金の決済用にどうしても金を使っている。また、ドイツがアメリカに預けている「金の在庫確認」を拒否し、預り証を発行するだけという事実は、もうそれだけ金が手元に無いと言う事だ。
もしかしたら1000トンもないかもしれない。ゴールドマンは4月16日暴落(1オンス1321ドル)、6月(1オンス1179ドル)を仕掛けた。しかし、この6月に付けた最安値が“ボトム”であった。
アメリカが憎しみを込めて金を売り浴びせ、市場で架空の流通量が増える一方、世界中の新興諸国の小金持ち達が金の現物買いに走る。現に、中国を始め、インド、ブラジルも、それからその他ヨーロッパ諸国も金の現物買いに走った。また、アメリカに預けている金を帰還させる準備もヨーロッパ諸国で進んでいる。
空売りによって多く発生した金ETF(金の交換証券=架空の金)をもつ人たちが、「現物の金に換えてくれ」と殺到するとき、現物を持たず空売りばかりしていた事が露見し、おそらくアメリカの金融恐慌が始まる。
「金の取引停止」を政府が強行し、金が高騰、それに伴いドルの信用は失墜し暴落する。それが、15ヵ月後の2015年だ。
“FRBはドルの信用を守るために「金」を殺す”と副島氏は主張しています。
裏付けである「金」を流出、価値下落させてドルの信用を守るとは一体どういう事でしょうか。矛盾していますよね。副島氏は、何か本音を隠しているのではないでしょうか。
■ 着々と進むデノミ(通貨単位の変更)の準備
(p60〜61)
FRBは2013年4月24日、新100ドル札を10月8日に発行を開始した。10年にわたる研究の成果を結集してデザインを刷新したとFRBは説明。特に、“偽造防止対策の強化”に重点を置いた。
しかし、普段の買い物(日常)で100ドル札を使用する機会はほぼ無い。米国民の多くはクレジットカードもしくは、20ドル札までで買い物をする。ゆえに、“偽造防止”のために新札に切り替えるとはどういう事か?
アメリカは2015年の全面的な新札切り替えに向かっている。この動きは、デノミネーション(通貨単位の切替)に合わせた国家破綻(デフォルト)に連動しているのではないか?
10ドルを1ドルに、いや、100ドルを1ドルにするというデノミ(通貨切替)になる。
副島氏は、“新ドル札”がデノミの切り札であると述べています。
しかし、ドルの信用を守るものは、先述した通り、「金」のはずです。一体、新ドル札でのデノミは、一体何を裏付けとするのでしょうか?その裏付けに対する言及がない事に、少し違和感を覚えます。
■ デノミの準備が完了する2015年、「第2のニクソンショック」
(p62〜69)
米国家財政における、国債発行の債務上限は2015年に入ると20兆ドル(2,000兆円)に達する見込みである。この時アメリカに大きな異変が起きると考えなければならない。
「米政府による巨大な債務の踏み倒し」=「借金を返さない」
すなわち売った米国債の償還を行わない、と宣言する。
そうすれば、アメリカ国内では“預金封鎖”が起きる。このときは政府機能の停止では済まない。次に、“3.各種の補助金と福祉のお金の支払いが遅延”する。ここで民間企業での給料の支払いの遅延も、それに連れて起こる。
そして、米では既に、連邦政府の職員に対する年金の支払額の減額(フェーズ3)が起きているのだ。そして、3.に連動する形で、4.インパクテッドエコノミー、5.カタストロフィーへと向かう。
2015年に債務上限が20兆ドルに達した時、デフォルトの合図だと副島氏は主張しています。そして、ドル札は紙くずになり、金の価値はデフォルトを機に、ドルの反対勘定として高騰するとも見ています。正直、何故20兆ドルに達した時なのかは分かりませんが、リンゼイ氏とほとんどデフォルトの読みが同時期なので、一定程度信憑性があるのでしょう。
【ロスチャイルドはアメリカを見限り、世界を視野に入れ始めた】
副島氏の説によると、矛盾点が幾つか散見されます。
① ロックフェラーが画策していると主張するが、主要な登場人物はロスチャイルド系である点
② FRBはドルを守るため、裏付けとなる“「金」を殺す”としている点
③ 新ドルがデノミの切り札とするが、信用の裏付が何なのか提言が無い点
④ 「金」を殺すと言いながら、デフォルトを機に「金」が高騰すると主張している点
上記の矛盾点を考慮すると、そもそも副島説に基づくデノミは可能なのでしょうか?
先に触れた様に、副島氏はロスチャイルドの擁護派で、あるいはまわし者とまで言われています。そして、ロックフェラーがロスチャイルドの傘下に入った()事を合わせて考えると、このデフォルトの首謀者はロスチャイルドである可能性が高いのではないでしょうか。
そういう意味では、ロックフェラーとロスチャイルドを入れ替えれば、副島氏の話は一定信憑性があると思われます。
その考えに基づけば、“「金」を殺してドルの信用を守る”ではなく“ドル=アメリカはどうなっても良い”と考えているのではないでしょうか。
つまり、ロスチャイルドはアメリカを見限ろうとしているのでしょう。
これまで、基軸通貨として後先考えずに大量に印刷してきたドルに、早々と見捨てる動きに出たように思われます。ドルに変わる世界統一通貨の方向へ舵を切ろうとしてるのではないでしょうか。そのため、裏付けとなる「金」を集めているのでしょう。
実際に、「金」の価格を決定しているのはロスチャイルドであり(リンク)、現在の「金」の価格下落は、殺すためではなく、生かすための動きなのでしょう。よって、「金」とドル最後の戦いは、「金」を有するロスチャイルドが勝者となるのです。
ちなみに、そして、今後の世界統一通貨となり得る可能性を示唆した「フェニックス」や「ビットコイン」の存在もあります。詳しくは、以下の記事をご参照下さい。
1.新世界通貨“フェニックス”構想の裏づけは金(リンク)
2.中央銀行支配からの脱却(4)〜ビットコインの可能性と危険性〜(リンク)
この内容の検証については、次回以降取り上げます。
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