2021-07-23

新型コロナ感染症感染拡大、にもかかわらず経済拡大、なんで?

アメリカ新型コロナ感染拡大により、世界経済は壊滅的な打撃をこうむると、誰もが思っていました。しかし、現実はどうでしょうか。日本は昨年度、税収が過去最高を記録、法人税も消費税も予測をうわまりました。アメリカをはじめ世界的に需要が増え、物不足から物価上昇に向かっています。一体何が起こっているのでしょうか。

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まず、具体的な現象を見てみましょう。

世界で半導体不足。自動車販売の急回復に加え、5G(第5世代移動通信システム)スマホの販売好調、ゲーム機新製品投入や巣ごもり需要による大型テレビ販売拡大。ノートパソコンやデータセンター需要も堅調に推移。

日本では税収が過去最高を更新、法人税が3兆円、消費税も1兆7000億円増える見通し。

中国国家統計局が発表した5月の卸売物価指数は昨年5月に比べ9%上昇

アメリカでは人手不足。原因は、コロナ対策で上乗せされている「失業給付」。6月の米消費者物価指数は急上昇。

新型コロナ感染症が世界経済に与えた影響で最も大きかったのが、全世界の政府の財政出動を最大限促したこと。それまでは、世界中で財政均衡を目指すことが重要とされていたが完全にタガが外れました。これに付随して、超低金利政策が実行され、借金をして住宅や自動車などの高額商品を買う動きも広がっています。

そして、もう一つが、情報(DX)、環境市場(カーボンゼロ)という新しい市場を生み出したこと。今後、情報投資、環境投資で大きく市場が拡大することは、間違いなさそう。コロナワクチン市場も新市場と言えるかもしれません。

最後に、これは一過性のものかもしれませんが、コロナで抑制されていた消費活動が解放され一気に需要が拡大しています。

この結果を見ると、コロナは金貸しにとってこの上なく都合の良い状況をもたらしています。国がどんどん借金をしてくれるのに加え、低金利で国民も借金をし、法人も新市場の拡大を受けて設備投資の借金をしてくれる。マスコミのコロナに対する反応は過剰と思われましたが、この結果を見ると全て金貸しの利益につながっていて、なるほどという感じです。

しかし、この状態はいつまで続くのでしょうか。今回の景気拡大を基底部で支えているのが国の借金と低金利。それはコロナ対策という大義があって認められています。であれば、コロナを克服すると間もなく、市場は急縮小に向かう可能性が高い。それは早ければ半年、遅くとも1年後ではないでしょうか。

 

■今なぜ世界で「半導体不足」なのかのナゾを解く2021年3月20日

20年秋ごろから、自動車販売の急回復に加え、5Gスマホの販売好調、ゲーム機新製品投入や巣ごもり需要による大型テレビ販売拡大。ITを駆使した在宅勤務がコロナ禍で一気に拡大し、ノートパソコンやデータセンター需要も堅調に推移。今後、気候変動対策による「脱炭素化」に関連した需要が世界中で高まる

ワクチン接種による世界景気回復・消費回復はほぼ確実だと言える。これまで蓄積された消費と貯蓄が一気に解き放たれる。鉄鉱石、石油、海運運賃などの商品市場の急騰がそれを裏付けている。

また、コロナ禍はDXを一気に推し進める起爆剤になった。在宅勤務、在宅医療、在宅教育、リモート製造、バーチャルを活用したエンターテインメント、デジタル政府など例を挙げればきりがない。

■「中国発インフレ」が世界に与える小さくない影響2021年6月15日

中国国家統計局が発表した5月の卸売物価指数は、昨年5月に比べ9%上昇した。リーマン危機のあった2008年9年以来で最大の上昇率だ。

航空貨物会社や海運会社が需要増への対応に苦しむ中、太平洋を横断する航空貨物運賃は3倍に高騰するケースも出てきている。製紙会社は今年春、ナプキンやトイレットペーパーなどの大口販売価格を4倍に値上げした。豆腐用の大豆も価格上昇が続く。

オーストラリアから輸入している鉄鉱石やアメリカから輸入しているトウモロコシの値上がりが、中国の物価上昇の大部分を占めている。李克強首相は「法令に従って独占や買い占めを断固として取り締まり、市場の監視を強化するよう」役人に指示した。

■昨年度 国の法人税の税収 政府見積もりより3兆円余増加 2021年7月5日

政府は去年12月、感染拡大で企業業績の悪化は避けられないとして、法人税の税収を8兆410億円に減ると見込んでいました。しかし、法人税の税収が11兆2000億円に上り、3兆円余り増えました。“巣ごもり需要”の高まりによって電機や食品などの業界で増益を確保した企業が多かったほか、新車販売の改善など、製造業を中心に業績が回復傾向をたどっているためです。

消費税の税収も21兆円と、去年12月の見積もりから1兆7000億円増えました。国の税収全体では、60兆8000億円となり、平成30年度の税収を上回って過去最高を更新する見通しです。

■経済活動の回復進むアメリカで「人手不足」2021年7月8日

ワクチン接種が進み、アメリカでは感染拡大前の生活を取り戻しつつあります。経済活動も回復する中、いま大きな課題になっているのが「人手不足」です。

街では幅広い業種で人手が不足。給料を上げても効果はなく、就職相談会にも、例年の1割ほどしか人が集まらなかったといいます。なぜ、求人に応募がないのか?原因として指摘されるのが、現在コロナ対策で上乗せされている「失業給付」です。

大手求人情報会社が仕事を探している人を対象に行った調査でも、「急いで探している」と答えた人は、わずか10%ほど。より自分に合った働き方ができる仕事を見極めているとみられます。

■米消費者物価、2008年以来の大幅上昇-市場予想の全てを上回る2021年7月13日

6月の米消費者物価指数(CPI)は前月比で急上昇し、2008年以来の高い伸びを示した。CPIの伸びの3割余りを中古車が占めた。ホテル宿泊やレンタカー、衣料品、航空運賃など経済活動再開の広がりに関連した分野での価格持ち直しもCPIの伸びに大きく反映された。

パウエルFRB議長はこのところの物価上昇について、経済活動再開に伴う一過性の影響との見解を示してきたが、長期的なインフレ圧力の可能性も最近になって認めてきている。

List    投稿者 dairinin | 2021-07-23 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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