習近平氏の、トランプ大統領就任後の発言
中国の最高指導者である習近平氏と、トランプ大統領が4月に首脳会談を行うという報道があり、トランプ氏が大統領に就任した以降の習近平氏の発言を調べてみました。
意外だったのは、習近平氏のアメリカ関連の発言が予想以上に少ないこと。中国が報道規制で外に発信していないだけかもしれませんが、人民日報日本語版の習近平氏の記事一覧に殆どアメリカに対する発言は出ていませんでした。
中国は将来展望としてアメリカよりも、アジアやイスラムとの関係強化に力を入れているのかも知れません。
報道官の発言も含めて、アメリカ関連で発言されていた主要な内容は以下の3点です。
- 世界は保護貿易に向かうのではなく、自由貿易を推進するべき。
- 中国は市場を開放し、世界経済の発展に寄与してきた。
- 中国は領土主権を守る。中国は1国である。
また、今回、調べてみて初めて知ったのが、習近平氏が全人代で、軍事技術をてこに産業発展を目指す国家戦略「軍民融合」を加速するよう指示したこと。米国のような軍産複合体を育成し、「第4次産業革命」の中核に位置付けられる最先端技術の獲得を目指していると解説されていました。
中国は、アメリカに変わる覇権国家を目指し、市場縮小過程に入ったアメリカを始めとする先進国との関係よりも、市場拡大の余地がある途上国との関係強化に軸足を置いているようです。
■ダボス会議で習近平氏が初講演 矛盾だらけの「自由貿易」「グローバル化」2017年01月18日
中国の国家主席として初めて習近平氏が出席し、基調講演を行った。習氏は、「世界の問題はグローバル化によるものではない」と繰り返し強調。経済のグローバル化を推進する姿勢を明らかに示した。
「中国は、アジア太平洋自由貿易圏の形成などの交渉を進めて、世界に開かれた自由貿易圏のネットワークをつくる。開放的で透明さを訴え、排他的で細分化された仕組みを目指したりはしない」と語り、「自由貿易の発展の堅持」と「保護貿易への明確な反対」について強調した。
■中国「米国は言行を慎め」 南シナ海めぐり米大統領報道官に反論2017年01月24日
中国外務省の華春瑩報道官は「米国は南シナ海をめぐる争いの当事者ではない。米側が事実を尊重し、言行を慎み、地域の平和と安定を損なわないよう促す」と反論した。華氏は「中国は各国の航行の自由をしっかり守る」とする一方で、「他国にどのような変化が起きようと自らの南シナ海の領土主権と海洋権益を守る決意は変わらない」と強調した。
■中国外務省「通貨戦争望まず」、トランプ大統領に反論2017年 02月03日
中国外務省報道官は3日の定例会見で、「中国は為替戦争を利用して貿易で有利な立場を得たり、貿易競争力を高めようとしたことは一度もなく、今後もない」とし、「通貨戦争を戦うつもりはない。そのようなことをしても、長期的に中国の利益にならない」と述べた。
習主席は、「中米両国の発展は完全に相互補完によって達成され、相互に促進しあうものであり、双方は完全によき協力パートナーになることができる。中国は米国との経済貿易、投資、科学技術、エネルギー、人的・文化、インフラ設備などの分野での相互利益の協力を強化し、国際問題や地域の問題をめぐる意志疎通と協調を強化し、世界の平和安定をともに守りたい考えだ」と指摘した。
■トランプ氏議会演説 中国報道官「6万の工場失った」に反論2017年 03月01日
トランプ米大統領が施政方針演説で、2001年に中国が世界貿易機関(WTO)に加盟して以降、米国は6万の工場を失ったと言及した点について、中国外務省の耿爽報道官は1日反論した。米中間の経済貿易について「本質はともに利益を得る関係だ」と強調。二国間貿易と投資により15年には米国に265万人の雇用を生み出したとする米国の企業団体のデータを引用し、「米国との経済貿易協力を不断に深化させたい」と述べた。
■習近平主席 中国は貿易と投資の自由化・円滑化を引き続き推進2017年03月07日
北京で開催中の全国両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)で習近平主席は「中国の開放の扉が閉じられることはない。全方位的な対外開放を堅持し、貿易と投資の自由化・円滑化を引き続き推し進める必要がある」とした。
■軍産複合体の育成加速=総力で「第4次産業革命」―中国2017年03月12日
中国で開催中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、習近平国家主席は12日、軍事技術をてこに産業発展を目指す国家戦略「軍民融合」を加速するよう指示した。習氏は米国のような軍産複合体を育成し、「第4次産業革命」の中核に位置付けられる最先端技術の獲得を目指しているもようだ。「わが軍に強大な科学技術の支えを提供するため、軍民融合の革新的体制づくりを加速しなければいけない」と語った。習氏は8日の四川省分科会でも「軍民融合のハイテク産業基地の建設」を急ぐよう求めた。
■近く米中首脳会談 4月にフロリダとの情報も 2月に安倍晋三首相招いた別荘か2017年03月14日
北朝鮮問題や米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備が主要議題になると述べた。中国は米軍のTHAAD配備に反発している。
トランプ氏は会談で、中国の南シナ海進出への懸念を伝えるとともに、貿易不均衡是正などの経済問題を取り上げる見通しだ。
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