米国覇権は終わっている② 米国・キューバ国交回復の意味
引き続き、マスコミが伝えない本質を追求するという観点から、世界の覇権移行を示すトピックスとして、米国・キューバ国交回復の意味を考えてみます。
●もはやラテンアメリカはアメリカの裏庭ではなくなった
>このような動きの背景には、国際政治の勢力図が大きく変化した事情がある。 オバマ大統領による人権重視の姿勢や人道主義が今回の決断を生んだのではない。ラテンアメリカ全体と米国の力関係が決定的に変わってきたことが根底にある。
>周知のように米国は、1959年のキューバ革命の後、1961年からキューバとの国交を断絶した。経済封鎖も断行し、現在に至っている。
>ところが今世紀に入るころから、米国の裏庭といわれてきたラテンアメリカで政治地図が塗り変わりはじめる。
>なかば当たり前に行われていたラテンアメリカへの軍事介入が、今世紀になってからは公然と出来なくなっている。
ラテンアメリカ諸国の連帯が強固になり、キューバの孤立もほぼ解消された。この地域全体が米国の裏庭ではなくなったのだ。
●背景に中露のラテンアメリカへの急接近
>こうした状況の下でラテンアメリカに急接近しているのが、中国とロシアである。
>世界の人口の大半を占める第3世界で民族自決の波が台頭してきた。その典型がラテンアメリカである。米国を中心とした世界は、ゆるやかに崩壊へ向かっているのである。>こうした状況の下で、米国がキューバに対する経済封鎖を続けるメリットがあまりなくなってきた。キューバに対する経済封鎖に、ラテンアメリカ諸国からの批判も強い。それを無視すると関係が悪くなる。かといって、それをかつてのように軍事介入でつぶすこともできなくなっている。
<米国とキューバの国交回復。アメリカ衰退の象徴だが、うらで中国の動きが影響。>より引用
●マスコミ報道では本質は見えない
日本のマスコミは、米国とキューバの国交回復は、オバマ大統領の善意が、対キューバ政策の見直しに繋がっているかのような報道ぶりですが、事実は決してそうではありません。
事実は、もはや米国がキューバと国交を回復せざるを得ないところに追い詰められているということです。かつて米国が世界の覇権を握っていた時代には、ラテンアメリカも武力で脅かして支配することが可能でした。そもそものキューバ危機→国交断絶も背景に米ソ対立がありましたが、米国にとっては、キューバという小国と国交を断絶し、経済封鎖をしても米国覇権の大勢には影響はないという判断もあったでしょう。
ところが、現在は世界情勢が大きく変わってしまい、米国が武力にモノを言わせて発展途上国を支配するのは不可能になっています。キューバはそんなに大きな市場ではないとは言え、うかうかしていたら中露に市場を奪われ、さらにはラテンアメリカ全体の市場を失って行きます。
このような情勢変化を背景にして、米国が追い詰められたがゆえの危機感が、オバマ大統領を動かし、キューバとの国交回復の動きに繋がっていると見るべきでしょう。勿論、かつてのような米ソ冷戦構造がなくなったという情勢変化もあるでしょうが、そもそも、米ソ冷戦構造を裏で操ってきたのは金貸し(中心はロスチャイルド)です。ロックフェラーに勝利したロスチャイルドは、米国覇権が終焉する次の覇権国家としてBRICSを育てる戦略を着々と実行に移しています。ロスチャイルドは民主党→オバマを使って、ラテンアメリカ市場の主導権をも握ろうとしているものと思われます。
今後、キューバのみならず、ブラジル等のラテンアメリカ市場においても、米国に戦いを挑むEU、中露等が入り乱れての主導権争いが激化して行くと思われますが、米国盲従の日本が世界から取り残されて行かないように注視が必要です。
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