2022-02-23

日本経済はアルゼンチンの二の舞にならないためにどうする?

かつて高度経済成長を実現してきた日本。

その影は遠くはるか昔。

円の価値が下がっている!でもあげているように、日本経済は低迷の一途を辿っている。

そんな中で、アルゼンチンと日本の経済の歴史が酷似しているという見解がある。

重要なのは歴史に学ぶことができるか。

今回はアルゼンチンの歴史から日本経済の可能性を見ていきたい。

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日本が「先進国脱落」の危機にある理由、衰退国家アルゼンチンの二の舞いに?より転載

アルゼンチンは19世紀以降の世界で唯一、先進国から脱落した国家として知られる。農産物の輸出で成長したが、工業化の波に乗り遅れ、急速に輸出競争力を失ったことがその要因だ。国民生活が豊かになったことで、高額年金を求める声が大きくなり、社会保障費が増大したことも衰退につながった。時代背景は違うが、似た現象が起きているのが現代の日本である。IT化の波に乗り遅れ、工業製品の輸出力が衰退しているにもかかわらず、社会は現状維持を強く望んでいる。この状況が続けば、アルゼンチンの二の舞いになっても不思議ではない。(経済評論家 加谷珪一)

■かつて対照的な立場にあった日本とアルゼンチンだが…
このところ、「日本が先進国の地位から脱落するのではないか」との指摘をよく耳にするようになってきた。数年前からこの問題に警鐘を鳴らし続けてきた筆者としては、世間が現状を正しく認識するようになったことは高く評価できる。

だが、国家が一度落ちた経済力を復活させるのは極めて難しいのも事実であり、日本はまさに転落の瀬戸際にある。先進国の地位から脱落した国がどうなってしまうのか、唯一の先例であるアルゼンチンを参考に考察してみたい。

社会の近代化が急速に進んだ19世紀以降、先進国として豊かな社会を形成していた国がその地位を失うケースは極めて珍しい。

近代資本主義社会は先行者に圧倒的に有利なシステムであり、欧米を中心に一足先に近代化を実現した国は当初から豊かで、その後も豊かな社会を持続している。後発の国はなかなか豊かになれず、先行した国が脱落することもなかった。

だが、この常識に当てはまらない国が世界に2つだけある。それが日本とアルゼンチンである。

景気循環論で有名なノーベル賞経済学者サイモン・クズネッツは「世界には4つの国がある。先進国と途上国、そして日本とアルゼンチンだ」とジョークを飛ばしたといわれる。アルゼンチンの衰退と日本の成長が異例という意味だが、今では皮肉なことに、日本がアルゼンチンに続いて衰退しようとしている。

転載終わり

○現在のアルゼンチンの経済規模はタイやマレーシアと同程度
現在のアルゼンチンの一人当たりのGDP(国内総生産)は約1万ドルで、日本の4分の1に当たる。一方、タイは約7,800ドル,マレーシアは1万1000ドルなので,アルゼンチンは両国と同水準といえる。
日本とアルゼンチン、米国のGDPの推移の比較グラフを以下に示す。

○アルゼンチン衰退の歴史
戦前のアルゼンチン経済は輸出大国となっており、主に農業の生産性が圧倒的に高かった。下記図を見るとよくわかるが1890年以降、アルゼンチンは食料輸出により貿易黒字が続いた。

だが、世界恐慌をきっかけに各国が工業化に動き出したことで、アルゼンチン経済が変化。農業に比べて工業の生産性は圧倒的に高く、相対的にアルゼンチンの輸出は不利になっていった。

以降、食料に代わる高い輸出競争力を持つ産業がうまく育たず、アルゼンチンは貿易赤字を計上する年が増えていった。

一方、国民の意識としては、生活が豊かになったことで高額な年金を求める声が大きくなり、社会保障費の増大や工業化等の変革を拒んだりと政治的な問題が増えた。

第二次世界大戦前後でアルゼンチンは激しいスタグフレーションに陥り、経済の衰退が明らかになった。こうした状況で、戦後の政権を担ったのは強権政治とポピュリズムで知られるペロン大統領だった。

ペロン大統領は産業の国有化を始め、労働組合を取り込み、広範囲な賃上げを実現した。一時はこうした政策が功を奏したが、国有化した産業の競争率は急激に低迷し、アルゼンチンの経済は赤字体質が定着していった。

その後も政府が国内産業の保護を続けたことから、経済はさらに非効率となり、何度もインフレを繰り返すと慢性的なインフレ国家に変貌した。現在も経済が不安定な状況が続いている。

○アルゼンチンと似ている日本
アルゼンチンと日本は時代背景も産業構造も異なるが、衰退のプロセスはよく似ている。

日本経済は戦後、工業製品の輸出で高度経済成長を遂げたが、90年代以降に輸出競争力は急激に衰退。世界全体の輸出に占める日本のシェアは80年代には8%とドイツに並ぶ水準だったが、現在はわずか3%台となっている。(下記グラフ参照)

日本の製造業が低迷した一つの大きな要因として考えられるのは、世界的なI T化の流れに乗り遅れたことが挙げられる。世界の主力産業は製造業から知識産業に以降したが日本はその流れを見誤り、ハード重視の従来型ビジネスに固執した。(下記図参照)

豊かになった国民が社会保障の維持を強く求めたことや、競争力の低下に伴う国産化への過度な期待、ナショナリズムの推進などアルゼンチンとの共通点は多い。

○日本はどうするべきか
 以上のように日本もアルゼンチンと同じ構造で衰退の一途を辿っており、このままでは更なる衰退は免れない。
供給制限発インフレから金融覇権の崩壊へ、インフレが意味する未来像でも上げているが、今後世界的な金融経済崩壊の流れは十分に考えられる。だからこそ、先駆けて日本の経済が答えを出していくことになる。
可能性を今後も探っていきたい。

List    投稿者 前の院 | 2022-02-23 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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