2022-09-22

各国の中央銀行 債務超過事例 ~日本がとるべき選択は~

当ブログでは過去、中央銀行の基礎構造(リンク)や力の根源(リンク)、教科書に載らない歴史背景(リンク)など、

あまり知られていない中央銀行制度の構造について扱ってきました。

日本の中央銀行である日本銀行も国債買入が続き、「日銀破綻」も現実味を帯びているのではないか。という声も出始めています。

そこで今回は、世界の中央銀行の債務超過他の事例を調査してみます。

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FINANCIAL FREEDOMより引用 https://freetonsha.com/2022/06/02/insolvency/#%E3%80%8C%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E9%8A%80%E8%A1%8C%E3%81%AE%E5%82%B5%E5%8B%99%E8%B6%85%E9%81%8E%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%80%8C%E9%80%9A%E8%B2%A8%E3%81%AE%E4%BF%A1%E8%AA%8D%E3%80%8D%E3%81%AE%E9%96%A2%E4%BF%82

■債務超過の実例:ベネズエラ、ジャマイカ、チリ(自国通貨安

では通貨安からの債務超過ケースを確認すると、以下の通り。

1.通貨安からの中銀債務超過の類例は80~90年代にベネズエラやジャマイカといった中南米諸国であり(植田審議委員講演要旨「自己資本と中央銀行」より)、債務超過と高インフレが併存したケースがみられます。

2.他方、1997~2000年にチリ中央銀行が債務超過におちいったものの、きわめて緊縮的な財政政策があったことから、00年のインフレ率は4%以下と、中銀が債務超過になっても高インフレにならなかったケースがみられます。

つまり、「中央銀行の債務超過」が直線的に「通貨の信認毀損」にはならないケースが存在したということになります。

>結局、債務超過は財政・金融政策などの帰結にすぎず、本質的には政策が信頼されるか

上記②のケースを特に材料視すれば、結局は基本に立ち返って、中銀の債務超過そのものが本質的かといわれればそうではなく、

物価の安定に資する金融政策であるのか

国債が将来の税収によって本当に担保されるのか(=低成長×野放図な財政政策となっていないか)

という2点に帰着するのではないか、ということです。

ただしマーケットというのは繰り返しながら、「人々が売買する以上は人々の思惑が密接に関連し、いったん流れができると行き過ぎることもある」のが常です。

そのため、中銀の債務超過をセンセーショナルに材料視する向きが現れ、そしてそれが大きな潮流となるならば、通貨安という可能性は一応考えられます。

=引用終わり=

Rakuten Infoseek News より引用 https://news.infoseek.co.jp/article/president_41684/

>国民の側もそれをよくわかっているから、自分の国の財政運営が本当に危ないと思えば、預金の引き出しや国外への資金逃避が加速する。そういう事態に陥ったとき、当初は中央銀行が政策金利をできる限り引き上げて、資金流出を止めようとするだろう。しかし、それでも資金流出を止められなかった事例は歴史的にも数多くある。そうした国が採り得る手段はただ一つ、国際的な「資本移動規制」をかけることだ。

>実際、リーマン・ショック以降にも、そうした悲惨な事態に陥った国が複数存在する。アイスランド、キプロス、ギリシャの3カ国がそれだ(図表1)。

>アイスランドは北大西洋に浮かぶ島国で、EU非加盟の小国である。2008年の金融危機以前は、政府債務残高規模(名目GDP比)はわずか27%、財政収支も約5%の黒字という“超”健全財政国だった。唯一の問題は同国の民間銀行で、折からの低金利に乗じて、欧州大陸向けに派手にビジネスを展開し、同国の三大銀行の資産規模は、金融危機直前の2007年には実に名目GDP比900%近くにまで膨れ上がっていた。2008年、そのアイスランドをリーマン・ショックが直撃し、株価や地価といった資産価格は暴落し、三大銀行は相次いで経営破たん、その救済のために、アイスランドの財政事情は急激に悪化した(図表2)。

同国の通貨であるアイスランド・クローナは外国為替市場で売りを浴びせられて急落。アイスランド中央銀行は当初、政策金利を18%にまで引き上げてクローナを防衛しようとしたが、国内の経済や財政運営のことを考えれば金利の引き上げにも限度があり、市場の圧力に抗し切れなくなった。

IMF(国際通貨基金)は「為替急落を引き金とする金融危機」の状態を図表3のように図示しているが、当時のアイスランドはまさに、「為替の減価(急落)」と「金融引き締めの制約(限界)」、「資本流出」が三つ巴での負の連鎖状態に陥るという、まさにその典型的な事態に陥ったのである。同国に残された選択肢は国際的な資本移動規制をかけて国外への資金流出を止めることで、そのための措置が金融危機の2カ月後の2008年11月に導入された(前掲図表1)。他に方法はなかった。

アイスランドはその後、IMFから一定の支援は受けたものの、基本的には自力で経済と財政の立て直すことを余儀なくされた。国民が政府に納める、ありとあらゆる税や手数料が5割増し、2倍、といった水準に引き上げられた(図表4)。日本と同じ島国でありながら、そうした重税に耐えかね、全人口の実に2~3%が国外に流出したとみられている。これは日本に置き換えれば、大阪市と広島市の人口がまるごと国内から消えるようなレベルの事態に相当する。

>金融とは、つくづく恐ろしいものだ。好況に浮かれて過剰なリスクを抱え込んでしまうと、ひとたび情勢が変化したとき、あっという間に一国の経済や社会秩序を崩壊させてしまう。アイスランドでは2010年1月に金融危機の元凶のひとつとされるネット専業銀行Icesaveの頭取宅が“焼き討ち”にあっている。2012年4月には、危機時の首相だったホルデ氏が、危機を招来した過失を問われ、有罪判決を下されてもいる。

そして、アイスランドが、国民の重い負担によって財政運営を改善し、何とかこの資本移動規制を解除できたのは2017年3月、実に8年4カ月後のことだった。

前掲図表1が示すように、こうした例は、アイスランドにとどまらない。キプロスやギリシャでも同様の事態が発生した。その原因は、①放漫財政や、②民間銀行の過剰なリスク負担だった。
=引用終わり=

何をもって破綻というかは議論があるが、債務超過の事例は過去実際に起こった事実。

各国の中央銀行が利上げを加速するなかで、日銀は緩和維持をかたくなに続けている。

結果、円安に歯止めがかからず、ついには24年ぶりの円安水準に。

 

金利を上げれば、日銀の損失が増加し、債務超過の可能性も。金利を上げなければ、円安は上がるばかり。

取るべき道はどちらなのか。

List    投稿者 itou-t | 2022-09-22 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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