2008-01-27

サブプライローンは悪性腫のように市場を食い荒らす

今、市場はサブプライム問題一色ですが、このサブプライムローン(信用度の低い層向け債権)の感染力は強力で、元本割れはしないと言われ比較的安全と思われた、MMF(マネー・マーケット・ファンド)と呼ばれる債権にまで悪性腫瘍のようにその影響が及んでいる。
また、「モノライン」と呼ばれる米金融保証会社の資産価値も大幅に下落するなどその影響はとどまるところを知らない。
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図はこちらから引用。
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上記の図は、「サブプライムローンを含む証券化商品の流れ。住宅ローン担保証券は、証券化の1次商品。サブプライム住宅ローンは、AAAからBBBまですべてのトランシェ(=スライス、区分)に含まれている。ABS CDOとは資産担保証券(=ABS)のなかの、ローンと社債を合わせた債務を担保としたストラクチャード商品のこと。ハイグレードとメザニンは2次証券化商品、スクエアは3次証券化商品になる=作成:岩本麻人
上記の説明に有るように、サブプライムローンはあらゆる証券の内部に姿を隠して浸入している。
ちなみに、サブプライムローンの米国住宅ローン全体(約10兆ドル)占める割合は約1.3兆ドルだそうです。
つまり、サブプライムローンは
RMBS:住宅ローン担保証券(住宅ローンを基にした証券)に組み込まれ
CDO:債務担保証券(自動車ローンや消費者金融ローンなど様ざまな債権を証券化したもの)と合成
⇒これをSIVと呼ばれる運用体(シティグループやベアースターンズなど欧米金融機関の傘下)が買う
⇒SIVは購入したCDOなどの資産を担保にしてABCP(資産担保コマーシャルペーパー)を発行して資金を集める。つまり償還期間が短く金利の低いお金を集めて、償還期間の長く金利の高い住宅ローンなどで利ざやを稼ぐ。
⇒このABCPを大量に買い込んでいたのがMMFである。
MMFは短期国債やCPなど償還期間の短い債権に投資する投資信託で銀行に準じて安全性が高いとみなされてきた。そのMMFにサブプライムが混入していたのである。
MMFは個人が銀行預金をするような感覚で運用しているため、元本割れの不安が広がると個人客が窓口に殺到し取り付け騒ぎを起す可能性がある。
MMFには米国の地方債も組み入れられているため、その地方債やCDOの元利金を保証してきた「モノライン」と呼ばれる米国金融機関の経営が揺らぐことになる。

モノライン保険が機能しなくなれば、地方自治体など、格付けが低い債券の発行体は調達コストが上昇するか、まったく資金を調達できなくなる可能性もあります。米国の政府や自治体にとって、モノライン保険はなくてはならない存在ですが、そこがサブプライムローンに直撃をくらってしまったわけです。

記事
サブプライムの影響はまだまだとどまるところを知らないようです。
そもそも、子供でも分かるような破綻が明白な悪性腫ローンを、健全な証券と混ぜれば安全だろうという発想が狂っているとしか云えません。
恐らくこのシステム全体はノーベル賞級の知能を持つ金融工学者が作ったものと考えられますが、その資質に潜む邪心と驕りが命取りとなりそうです。

List    投稿者 ryujin | 2008-01-27 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨2 Comments » 

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コメント2件

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