2018-08-23

ベネズエラのハイパーインフレは残忍な社会主義独裁政権の失政か?

 

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南米の産油国ベネズエラが、インフレ率100万%というハイパーインフレに見舞われ国家崩壊の危機に瀕しています。マスコミは(残忍な)社会主義の独裁者マドゥロ大統領の失政によりここまでの混乱に陥っている、と報道していますが、世界でもトップクラスの石油埋蔵量を誇るベネズエラが、なぜここまで経済的に混乱するのでしょうか。不思議に思い調べてみました。

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ベネズエラのマドゥロ政権は、チャベス大統領の後継者です。そしてチャベス大統領が作ったのが、米国主導の競争原理に基づく市場優先の新自由主義的な地域統合構想に対抗して、『21世紀の社会主義』の原則の下に中南米・カリブ海諸国の相互支援と協力、連帯、社会開発の共同などを協定した米州ボリバル同盟(ALBA)でした。ベネズエラは南米における反アメリカの急先鋒なのです。ALBAには他にもキューバやボリビアなどの反米政権が存在しており、アメリカにとって邪魔な存在であることに間違いはありません。

そして、アメリカの言う事を聞かないベネズエラが大量の石油を保有していることも脅威だったようです。中国の専門家は、アメリカのベネズエラやイランへの経済制裁はアメリカのシェルオイル産業を復活させるための手段だと言う見方を示しています。専門家は、ベネズエラの経済が破綻した後、米国の資源会社はベネズエラが保有するカリブ海の石油精製施設や輸送施設を相次いで封鎖や買収していたと強調しています。

ベネズエラのハイパーインフレは社会主義の独裁政権が引き起こした失政が原因と言うマスコミ報道を鵜呑みにするわけには行かないようです。

 

■焦点:ベネズエラに経済崩壊の危機、原油減少に歯止め掛からず2018年1月20日

南米の産油国ベネズエラは、経済を支える原油の生産量が昨年28年ぶりの水準に落ち込んだ。石油輸出国機構(OEPC)が18日公表した集計によると、ベネズエラの昨年の原油生産は前年比約13%減の日量207万2000バレル。約30万バレルの落ち込みはOPEC加盟国で最大だ。12月の生産は日量162万1000バレルで、前年比29%減った。ベネズエラの石油産業は非効率な投資、納入業者への支払いの遅れ、米国の経済制裁、頭脳流出などで大きな打撃を受けている。マドゥロ大統領は業界の「汚職摘発」に取り組んだが、国営石油公社PDVSAをマヒ状態に陥らせただけだった。

PDVSAの元従業員や現従業員によると、経営陣刷新や給与への不満から1月にPDVSAではかつてない規模で従業員が離職した。ある従業員は「経営陣は生産継続に必死だが、増産はあまりにも難しい。社内は壊滅的な状況だ」と話した。

■超インフレで紙幣不足、ベネズエラ経済の意外な勝者2018年2月18日

ベネズエラ首都カラカスにある駐車場で、ビーダーベン・ビレガスさん(35)は兄弟と一緒に、毎日約30台の車を洗っている。洗車代は50セント(約50円)にも満たないが、誰もキャッシュで支払おうとはしないという。物価高騰により供給不足となっているキャッシュ(紙幣)を十分に持たない顧客を呼び込もうと、野菜売りからタクシー運転手まで多くの人がモバイル決済アプリに登録している。ベネズエラ国民が1日に現金自動預払機(ATM)から引き出せる金額は最大1万ボリバル(約40円)程度だが、闇市場の為替レートでは約4セントの価値にしかならない。

ベネズエラで発生したデジタル時代初のハイパーインフレは、過酷なビジネス環境の中で意外な「勝者」を生んでいる。それは、危機に見舞われる同国で成長する小規模なテクノロジー企業だ。

■経済危機への対応策? ベネズエラがなんと仮想通貨を発行、不透明さ指摘も2018年3月3日

独裁政権による失策で経済危機に陥っている南米ベネズエラで、急速に電子マネーが普及しています。マドゥロ政権は、こうした状況を逆手に取り、独自の仮想通貨ペトロの発行を開始。

ベネズエラは世界でもトップレベルの石油埋蔵量を誇る国ですが、国家経営は安定していません。マドゥロ政権は、庶民からの支持を取り付けるため、バラマキ政策を実施するとともに価格統制を実施しましたが、国内産業は疲弊し、財政も悪化してしまいました。こうした状況に原油価格の下落や米国による経済制裁が加わり、外貨や物資が不足。インフレが一気に進行し、2017年の物価上昇率は2500%を突破しています。

ベネズエラはネット接続環境が悪いといわれていますが、それでも多くの人が、生活のため電子決済を活用しています。また一定以上の資金がある人は、自国通貨をビットコインなどの仮想通貨に換えて資産の劣化を防いでいるといわれています。

ペトロは仮想通貨イーサリアムの技術を活用しており(真偽の程は不明)、政府が管理する石油資源が担保になっていると政府では主張しています。しかし、本当に価値が保たれるのかは何ともいえず、一部からはその不透明性が指摘されています。そのような中、マドゥロ大統領はペトロに続き今度は金を裏付けとした仮想通貨「ペトロ・ゴールド」を導入すると発表しました。

■米、ベネズエラ仮想通貨の流通禁止=経済制裁回避封じる2018年3月20日

トランプ米大統領は19日、南米の産油国ベネズエラの政府が発行する仮想通貨について、米国内での流通や米国人による取引を禁止する大統領令を出した。ベネズエラが仮想通貨を使って外貨を調達し、経済制裁を回避することを封じるのが狙い。

■ベネズエラのインフレ率の推移2018年4月19日

年間のインフレ率、1980年21.36%1985年11.38%1990年40.66%1995年59.92%2000年16.21%2005年15.96%2010年28.19%2015年111.80%2016年254.39%2017年1,087.53 %2018年13,864.59%

■ベネズエラ、インフレ率1万3779%に加速 国会が公表2018年5月8日

南米ベネズエラの国会は7日、4月時点の物価上昇率(インフレ率、年率換算)が前年同月比1万3779%に達したことを明らかにした。世界一の原油確認埋蔵量を誇るベネズエラだが、国債は部分的なデフォルト(債務不履行)に陥り、国内では食品や医薬品の不足が深刻化している。外貨準備も落ち込むなか、ニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)政権は紙幣を刷り続け、通貨ボリバルはほとんど価値がなくなっている。

■マドゥロ大統領が再選=低投票率で正統性揺らぐ-ベネズエラ2018年5月21日

南米の産油国ベネズエラで20日、大統領選の投開票が行われ、独裁色を強める反米左派のニコラス・マドゥロ大統領(55)が野党のエンリ・ファルコン前ララ州知事(56)ら3候補を破り、再選を確実にした。中央選管に当たる全国選挙評議会(CNE)によると、第1回発表時点でマドゥロ氏が約580万票、2位ファルコン氏が約180万票を獲得した。ただ、国会で多数派を占める野党連合「民主統一会議(MUD)」が選挙の公正性や透明性が保証されないとしてボイコットを呼び掛けた結果、投票率は前回大統領選の79%に遠く及ばない46%に。根拠に乏しい投票時間の大幅延長など、投開票における不正の疑いが強いことも含め、選挙の正統性は大きく損なわれた。

■米、ベネズエラ制裁の大統領令 マドゥロ氏再選認めず 資金調達規制で石油部門への影響必至2018年5月22日

トランプ米大統領は21日、ベネズエラ大統領選を受け、同国政府の債券や政府系企業の株式に関し、米国人の取引を禁止する大統領令を出した。国営ベネズエラ石油(PDVSA)との取引も対象になり、主要産業である石油部門への影響は必至だ。

米国がマドゥロ氏らを制裁対象とするなど圧力を強める中、中露が関係を強めており、米政府高官は21日、懸念を示すとともに、両国にマドゥロ政権との関係を見直すよう求めた。

■EU、対ベネズエラ制裁を強化へ 大統領選やり直し要請2018年5月29日

ベネズエラでマドゥロ現大統領が再選を決めた20日の大統領選を受け、欧州連合(EU)は、ベネズエラ当局者11人に対する新たな経済制裁を科すことを検討している。EUの外交筋が25日明らかにした。EUは大統領選が自由または公正でなかったと批判している。

■【中国の視点】ベネズエラやイランへの制裁、米シェール産業の復活が目的か2018年5月31日

原油価格はきのう30日、1バレル当たり70米ドルに接近した。また、米国によるベネズエラやイランへの制裁を解除しなければ、1バレル当たり100米ドルまで上昇する可能性があるとの見方も出ている。中国の専門家は、一連の経済制裁について、米政府が同国のシェールオイル産業を復活させるための手段だとの見方を示した。米国がイランに対する経済制裁を強化する前、世界最大の石油埋蔵国であるベネズエラの経済を破綻させていたと批判。米国の経済制裁を受け、ベネズエラの1日当たりの原油輸出量は2016年の約240万バレルから現在の約150万バレルまで縮小。これに伴い、ベネズエラの原油生産量が30年ぶりの低水準まで縮小している。専門家は、ベネズエラの経済が破綻した後、米国の資源会社はベネズエラが保有するカリブ海の石油精製施設や輸送施設を相次いで封鎖や買収していたと強調。

■ベネズエラの経済混乱を受けたALBA主要国の状況(キューバ・ボリビア・エクアドル)2018年6月4日

2004年に米国主導の米州自由貿易地域(FTAA)に対抗するかたちで、当時のキューバのフィデル・カストロ国家評議会議長と、ベネズエラのウーゴ・チャベス大統領の主導で結成された、米州ボリバル同盟(ALBA)の主要国が岐路に立たされている。かつてラファエル・コレア大統領の下で結束を固めていたエクアドルは、後任のレニン・モレノ新大統領による方針転換で同盟との距離を置きつつあり、地域の右傾化の中で主要国のベネズエラ、キューバ、ボリビアなどの孤立が進んでいるが、その反動で3カ国における結束は固まっている。

ALBAを主導してきたベネズエラは、チャベスの後継者であるニコラス・マドゥーロ大統領政権下で、国際的な原油価格の下落を背景とした外貨準備高の減少とハイパーインフレ、米国の経済制裁などの影響により、国内の食料や医薬品の供給が滞っている。危機にひんした国民の一部は、コロンビアなど近隣国への避難を始めている。

米国は2017年8月に自国国民や組織の国内外におけるベネズエラ政府への融資禁止や国債、PDVSA(国営石油会社)債の取引禁止などの金融制裁を発動した。これに対してベネズエラ政府は、12月に仮想通貨PETRO(ペトロ)の導入や、2018年3月には通貨単位の1,000分の1切り下げを発表(当初6月に切り替えの予定が8月に延期)することで事態打開を図ってきた。

■インフレ率1,000,000%、激減所得の穴埋めに紙幣刷るベネズエラの失政スパイラル2018年7月25日

国際通貨基金(IMF)はこのほど、同国のインプレ率は2018年末までに100万%に達する可能性があると警告した。ベネズエラのインフレ率はすでに高水準で、通貨ボリバルの価値は今年、史上最低にまで下落しかねない。危機的状況にもかかわらず、ベネズエラ政府は原油価格の急落による国家予算の穴を埋めるために、紙幣を印刷し続けている。

ニコラス・マドゥロ大統領は経済改革の実施を拒み、現在の危機を、国内の反政府派がアメリカやその他の競争相手国と手をくんで仕掛けた「経済戦争」のせいだとしている。政府機関は、国の崩壊の本当の姿を隠すために、経済統計の公表を停止している。

■ベネズエラ経済を破壊するアメリカ合州国2018年8月20日

アメリカの商業マスコミは、反ベネズエラ・プロパガンダの揺るぎない猛攻を続けている。ワシントン・ポストは、ベネズエラ“海賊”について、いきまき、ニューヨーク・タイムズは、エクアドルは必死のベネズエラ移民に圧倒されていると報じている。不幸なことに、プロパガンダはかなりの程度成功している。“社会主義は機能しない、ベネズエラを見れば良い”というのは良くあるセリフだ。公の場で話す機会がある人物が、真実を暴露するのは極めてまれだ。ベネズエラの問題は、まずはオバマ政権時代、そして今トランプ政権下で続いている、アメリカ合州国政府によって作り出されたものだ。

ベネズエラ政府と国民に対する経済制裁が、ハイパーインフレと飢餓と、かつて、あの地域の羨望の的だった壊滅的な医療制度を生み出した。経済制裁は、他の手段による、大半の目には見えない戦争だ。軍隊も銃弾も爆弾も無人機も兵器もない。だが経済制裁は、トランプならそれまでやりかねないあらゆる軍事侵略と同様に破壊的だ。

■こんなに大量の現金をどうやって持ち歩いていた? 写真で見る、ベネズエラの経済危機2018年8月22日

ハイパーインフレに対応するため、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は17日(現地時間)、同国の最低賃金の引き上げと、独自の仮想通貨「ペトロ」にペッグした通貨制度を導入し、実質的に96%の切り下げを行うと発表した。ベネズエラでは17日、通貨ボリバルからゼロを5つ取るデノミネーション(通貨単位の変更)が実施される前に、買いだめをする人が殺到した(編集部注:デノミは20日に実施された)。ハイパーインフレということは、日用品を買うにも大量の現金が必要になる。ベネズエラの経済危機を、ロイターの写真とともに見てみよう。

■ベネズエラ、デノミで経済がマヒ状態 商店は閉じ人々は引き籠る2018年8月23日

経済危機に陥っているベネズエラ政府が8月20日、ハイパーインフレの抑制を狙って、通貨単位を5ケタ切り下げるデノミを実施した。その日、デノミ後の混乱を心配して数千軒の商店が休業し、多くの市民は仕事に行かず、家に引きこもった。ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は政令で8月20日を銀行休業日とし、翌日に新通貨「ボリバル・ソベラノ」(Bs)が本格的に流通を始めた。米紙ワシントン・ポストによれば、旧通貨からゼロが5ケタ削除されることで、名目上は、インフレ率は自動的に約90%削減できる。首都カラカスでは、コーヒー1杯の値段が250万ボリバルから、25Bsに変わった。

マドゥロ政権は財政破綻を回避するため、他にも対策を打ち出している。最低賃金を9月1日から34倍に引き上げる措置や、付加価値税の引き上げ、燃料補助金の削減などだ。国産仮想通貨「ペトロ」とBsを連動させることも発表した。通貨の信用回復を狙うベネズエラ政府は、ペトロの価値について、豊富な埋蔵量を誇るベネズエラの原油を裏付けにしている、と説明する。だが専門家はその信憑性を疑問視する。米政府はすでにペトロでの取引を禁止しているし、仮想通貨のウェブサイト「ICOindex.com」はペトロを「詐欺」とみなしている。

深刻な経済危機のせいで、ベネズエラからは多くの国民が逃げ出している。国連の推定では、すでに230万人以上が脱出し、出国者は一日5000人前後に上る。その多くが、コロンビアやエクアドル、ブラジルなどの近隣諸国に向かった。

List    投稿者 dairinin | 2018-08-23 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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