2018-04-26

反グローバリズムの潮流(中国の一帯一路構想の現状)

 

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前回は日本が中心になって進めているTPP11の状況を紹介しましたが、今回は中国が主導している一帯一路構想を調べてみました。どんな意味があるのか良く分からないTPP11に比べて、一帯一路構想は着実に世界的な影響を強めています。

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一帯一路構想に協力的なのがアフリカ、東欧、中南米です。

アフリカでは、2000年には1兆円ほどだった中国のアフリカとの貿易額。2014年には、およそ23兆円にまで増加しました。文化面でも中国の影響力は強まっていまして、例えば、中国政府が中国語を広めるために国外に設立している学校「孔子学院」は、アフリカで39か国54か所に上ります。東アフリカのジブチ中国軍は初めての国外基地を建設。

東欧では中国が東欧16カ国をグループとして2012年に「16+1」を組織した。1は中国を指す。毎年秋に首脳会議を開催し,李克強首相と16カ国首脳が一同に会する。バルカン半島の交通インフラ開発の計画は中国が高速道路や鉄道,発電所などのインフラ投資を行う。中国開発銀行,中国輸出入銀行,中国銀行などの金融機関が融資に入り,中国の国有企業がインフラ建設を担う。

中南米では、近年、中国の影響力拡大が著しく、中南米33カ国で構成する中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)と中国の閣僚級会合が開かれ、中国はシルクロード経済圏構想「一帯一路」に中南米諸国も加わるよう呼び掛けた。

対抗しているのが、EU、インド、オーストリア、アメリカ

EUは28カ国中、27カ国の駐北京大使が、一帯一路」について、「自由貿易を打撃し、中国企業の利益を最優先している」と批判する内容の報告書を作成した。

インドは、東南アジア諸国とのつながりを強化して、巻き返しを図るねらいで「アクト・イースト」政策を推進しています。

オーストラリアとアメリカは、インドと日本も加えた4か国対話を開始、オーストラリアの首相は一帯一路に対立する目的を否定しているが、中国は警戒感を示している。

中途半端なのが、イギリスと日本

イギリスのメイ首相は李克強首相、習近平主席と会談し、一帯一路に協力を約束しながら、貿易ルールは国際ルールを守る必要があると、同構想への署名はしなかった

日本の安倍総理は、TPP11を推進しながら、一方で、日中関係の改善と巨大な市場への参入のため、一帯一路支持で動き出した

 

■安倍政権が一転、中国の「一帯一路」支持で動き出す経済界 2017年12月13日

日本の経済界が、中国政府のシルクロード経済圏構想「一帯一路」に熱い視線を注いでいる。これまで冷淡だった安倍政権だが、日中関係改善の“切り札”として構想に協力する姿勢に転換したことで、これまで及び腰だった企業も積極姿勢に転じている。

「一帯一路」の沿線国人口は計約44億人と世界の約6割を占め、国内総生産(GDP)の合計は約21兆ドル(約2360兆円)で世界の約3割に迫る。数字をみれば魅力的な経済圏に映る。安倍政権は2016年まで、中国を排除した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の成立に血道をあげてきた。しかし「アメリカ第一」のトランプ政権はTPPから離脱し、日本は「ハシゴ外し」に遭ってしまった。日本政府は、アメリカ抜きの11カ国新協定「TPP11」発効を目指しているが、米中の入らない経済圏に求心力はない

中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)は「意思決定過程が不透明」と批判してきただけに参加のハードルは高いが、「一帯一路」に加盟手続きはなく、民間が進めればそれで済む。

安倍政権の方針転換を受け経済産業省は、「一帯一路」に参加する日本企業の協力分野を企業に説明し始めた。1.「省エネ・環境協力」では、太陽光と風力発電所の開発・運営。2.「産業高度化」として、タイ東部の工業団地の共同開発。3.「物流利活用」では、中国と欧州を結ぶ鉄道を活用するための制度改善を協力推進。を挙げ、政府系金融機関の支援も検討するとしている。官が、中国協業を躊躇していた企業の背中を押す構図である。

■中南米も「一帯一路」へ=中国、影響力を拡大-CELAC2018年1月23日

中南米33カ国で構成する中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)と中国の閣僚級会合が22日、チリの首都サンティアゴで開かれ、中国はシルクロード経済圏構想「一帯一路」に中南米諸国も加わるよう呼び掛けた。「米国の裏庭」と称されてきた中南米では近年、中国の影響力拡大が著しい。

■インドが中国「一帯一路」に対抗 「アクト・イースト」政策2018年1月25日

中国が推し進める経済圏構想「一帯一路」。これに対してインドのモディ首相が力を入れているのが、「アクト・イースト」政策。東南アジア諸国とのつながりを強化して、巻き返しを図るねらいです。 一方、軍の幹部は中国海軍に対する警戒心をあらわに。近隣諸国に姿を見せた潜水艦など、中国の海洋進出の動きを懸念しています。

中国はインドの主要な貿易相手国で、これまでインド政府の関係者が表立って中国を批判することはほとんどありませんでした。しかし、最近のインド洋での中国海軍の動きや、去年の国境地帯での軍事的緊張、さらには『一帯一路』を口実にインド包囲網を構築するような動きに反発して、中国を警戒し、非難する発言が頻繁に聞かれるようになりました。

インドの姿勢は大きく転換しました、その背景には何があるのでしょうか?インドが、アメリカの影響力の低下を心配するようになったからです。インドは今、外交で金科玉条としていた『非同盟・自主自立』の政策を事実上転換し、対中国を念頭に『国際協調路線』、価値観を共有する国と同盟関係に近い関係強化を進めています。『アクト・イースト』戦略で東南アジアや周辺国とのつながりを強化しているのも、その一環です。

■豪米印日 中国の「一帯一路」への対抗案を実現できるか2018年02月28日

2月23日、トランプ米大統領と豪州のターンブル首相は新プロジェクトへのアプローチを話し合った。記者団からの、豪州、米国、インド、日本は中国の経済圏構想の「一帯一路」に対抗する統合体を作るのかという問いに対し、ターンブル首相はマスコミは冷戦のスタイルで記事を書くためのあらゆる方策を探しているが、これは豪州の考える地域発展に合致したものではないと答えた。

豪州、米国、インド、日本という4方向からの戦略対話は昨年2017年11月、10年間の空白を経て再開された。再開に中国は否定的な反応を示し、中国外交部はこの4か国に対し、第3国に対しての制限を設けず、時代の精神を理解するよう呼びかけている。4か国は中国との競争を否定してはいるものの、中国のほうでは独自のプロジェクトへの強敵出現を感じていることは間違いない。

■Brexit後を見据えた英国の中国接近、メイ首相は慎重な姿勢も2018年3月1日

メイ首相は、1月31日から2月2日にかけての訪中で、李克強首相、習近平主席と会談し、英中間の貿易関係の拡大、90億ドルの商談、一帯一路構想での協力などで合意した。

中国側が最も協力を欲している一帯一路構想については、上記共同記者会見でも、国際的基準を満たすことを明確に求めているし、同構想の覚書には署名していないと報じられている。一帯一路構想は、透明性を欠き、中国がインフラ建設を通じて影響力を地域で拡大する地政学的ツールとして濫用されることが懸念されている。一帯一路構想への協力をしつつ、注文を付けていくというのであれば、それも一つのあり方であろう。

■独外相、中国の「一帯一路」を批判2018年03月04日

独外相は習近平国家主席が推進する「一帯一路」構想に言及し、「民主主義、自由の精神とは一致しない。西側諸国はそれに代わる選択肢を構築する必要がある」と述べた。

中国はロシアと並び欧州の統合を崩そうと腐心し、欧州の個々の国の指導者を勧誘している。中国は欧米の価値観とは異なる一帯一路プロジェクトのため5兆ドル相当のインフラ資金を投資している

「中国はグローバルなリーダーシップを発揮し、民族主義、保護主義の復活を刺激し、世界の秩序に大きな影響力を行使している」

■「中国の『一帯一路』構想の手口に乗った国の悲劇」2018年03月07日

中国の「一帯一路」構想の一環として建設されたスリランカのハンバントタ港が2017年、借金のカタとして中国に99年間譲渡されることになった。ベルギーのセーブルルージュ港は17年、港湾運営会社が中国に買収されてしまった。オーストラリアのダーウィン港も15年、中国に99年間の運営権を取得された。アラブ首長国連邦(UAE)のハリファ港も16年、埠頭の35年間の利用権を取得されてしまった。掠め取られてしまった港や特区を並べ揚げればキリがない。これはアヘン戦争後の英国のアジア植民地化の手口とそっくりだ。

中国のやり口はヤクザさながらの手口である。インド洋の島国モルディブは中国から15~20億ドル(約1580~2110億円)を借りたが、返済不良に陥り、2019年中にも中国への領土割譲が不可避になっている。

■「一帯一路」戦略による中国の東ヨーロッパ進出:「16+1」2018年3月12日

「一帯一路」の一環に「16+1」がある。中国が東欧16カ国をグループとして2012年に組織「16+1」がある。中国が東欧16カ国をグループとして2012年に組した。1は中国を指す。毎年秋に首脳会議を開催し,李克強首相と16カ国首脳が一同に会する。バルカン半島の交通インフラ開発の計画ルートは「バルカン・シルクロード」と呼ばれ,中国が高速道路や鉄道,発電所などのインフラ投資を行う。中国開発銀行,中国輸出入銀行,中国銀行などの金融機関が融資に入り,ルクセンブルクに投資ファンドが開設され,中国の国有企業がインフラ建設を担う。過剰生産となっている中国の鉄鋼やセメントを使用し,過剰能力を抱えるインフラ建設企業が稼働する。中国の過剰を海外で有効活用する。国内の経済問題の解決に「一帯一路」を利用しているのは明らかだ。

ブリュッセル(EU)の一部では,「16+1」は中国のEU分断策ではないかと不安が高まっている。確かに,「16+1」にもっとも熱心なハンガリーとポーランドの両政府には「反EU」の行動が目立つ。だが「16+1」をそのような観点からだけ見るのは間違っている。第1に,EUの通商はすでに中国に深く依存しており(輸入では中国が断然第1位,輸出でも第2位),「16+1」を使わなくても,目的を達する方法はいくつもある。第2に,2050年を展望すると,アメリカをにらんで,EUとは協力関係を強め,ロシアとも協力して主要ライバルのアメリカに当たる,というのが中国の基本戦略であろう。第3にEUはリーマン危機・ユーロ危機によって西バルカン支援を事実上放棄した。わずかに行う支援においても,貧困国ではそもそも無理と思える民主主義化要求を繰り返し,他にも先進国本位のEUルールを強制する。中国はその隙間を巧みに捉えた。

■“中国化”するアフリカ 習近平の“一帯一路”はいま2018年4月10日

いま中国はアフリカへの進出を加速させ、現地での影響力を急速に拡大させている。去年8月には東アフリカのジブチに海外ではじめての基地の運用を開始。さらにケニアやエチオピアに鉄道を敷設し、物流の大動脈を築くとともに、国の安全を支える基幹システムも輸出、国造りそのものに深く関与しはじめている。中国の狙いはどこにあるのか?

中国の一帯一路においてアフリカの玄関口に位置するケニア。10年間でGDPが倍増。急速な経済発展を遂げています。中国が3,000億円以上を融資し、去年(2017年)5月には、首都ナイロビと東部の港を結ぶ鉄道が開通。

国のシステムにも、中国式が広がっています。20年前にケニアに進出した、中国の通信大手「ファーウェイ」です。オフィスで働く400人の社員の半数は中国人です。インターネットの通信網の構築。さらには、国民の6割が利用し、ケニア経済を支えている電子マネーのシステムなどを提供しています。今、ファーウェイは「セーフシティ」と呼ばれる国の治安維持のシステムの導入を進めています。ケニアの2大都市に1,800台を超える4Kの高画質カメラを設置。その映像を警察がリアルタイムで監視します。システムには最新の顔認証技術が使われ、個人が特定できるといいます。

一帯一路を通して、関係を深めていく中国とアフリカ。経済面では2000年には1兆円ほどだった中国のアフリカとの貿易額。2014年には、およそ23兆円にまで増加しました。文化面でも中国の影響力は強まっていまして、例えば、中国政府が中国語を広めるために国外に設立している学校「孔子学院」は、アフリカで39か国54か所に上ります。さらに、中国の放送事業者がアフリカの30か国以上に拠点を置いて、中国のニュースやドラマも見られる事業を展開しています。住民に衛星放送のためのアンテナや受信機を無償で提供していて、視聴者はアフリカ全土で1,000万人以上とも言われているんです。

南シナ海からマラッカ海峡を抜け、インド洋、そして地中海に至るルートをつなぐために、港や拠点を確保しようとしています。その要衝の1つが、東アフリカのジブチです。中国軍はここに、初めての国外基地を建設しました。去年11月、中国軍はジブチで実弾を伴った大規模な訓練を実施しました。アメリカの軍事専門家は、中国がインド洋からアフリカへのシーレーンを確保するとともに、世界各地での自らの権益を守る意思を示していると指摘します。

■EU大使「一帯一路」構想に反対 2018年4月26日

欧州連合(EU)28カ国中、27カ国の駐北京大使は、中国の習近平国家主席が提唱し、国を挙げて促進している新しいシルクロード計画、通称「一帯一路」について、「自由貿易を打撃し、中国企業の利益を最優先している」と批判する内容の報告書を作成した。

中国企業が公共事業の調達に関する欧州の透明性原理、環境保護、社会規約の遵守を強いられなかったならば、欧州の企業は良き商談を得ることは難しい。そして、中国側は欧州の個々の加盟国との関係を強化し、欧州の結束を分断しようとしている。例えば、ハンガリーやギリシャは中国の投資に依存しているため、中国からの圧力を受けやすい。

ドイツのシンクタンク、メルカートア中国問題研究所によると「欧州でのロシアの影響はフェイクニュース止まりだが、中国の場合、急速に発展する国民経済を背景に欧州政治の意思決定機関に直接食い込んできた。この場合、中国企業のドイツの先端技術の取得といった経済スパイ、知的所有権の侵害問題ではない。政治的影響だ」と警告を発している(「中国の覇権が欧州まで及んできた」

List    投稿者 dairinin | 2018-04-26 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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