国際金融勢力は、何故、日本と中国を分断する必要があるのか
国際金融のグローバル化という名の元に、巨額の資金が米国に流入している。
米国財務省から毎月、対米証券投資の数字が発表される。
米国以外からの対米証券投資は、毎月500億ドル〜800億ドル(6兆円〜10兆円)の買い越しである。 買い越しということは、米国への資金流入です。
月別対米証券投資の推移(単位:10臆ドル)
大起産業さんの米国経済指標レポート>対米証券投資から利用させてもらいました。
リンク
例えば、2007年4月の対米証券投資では、全体で841臆ドル(約10兆円)の買い越し。3月は512億ドル(約6兆円)、2月は581億ドル(約7兆円)。
2006年5月からの1年間を見ると、約7600億ドル(約92兆円)の資金が、買い越しの形で、米国に流入している。
投資先としては、米国内の企業株式、米国財務省証券(米国債)、米国政府機関の債権、民間企業の社債が区分されている。
投資先を2月〜4月の3ヶ月の平均で見ると、米国債が175億ドル(約2.1兆円)、政府機関債178臆ドル(約2.1兆円)、株式186臆ドル(約2.2兆円)、社債が268臆ドル(約3.2兆円)の買い越しであった。
では、海外諸国が、どれくらい、米国証券を購入し、保有しているのかを米国財務省の資料からみてみます。
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まずは、発行証券の総額と海外の保有額、海外保有率です。
海外の米国証券保有(2006年6月末、単位:10億ドル)
証券区分 | 発行総額 | 同(兆円) | 海外保有額 | 海外保有率 | 2000年の海外保有率 |
株 式 | 23,750 | 2,850 | 2,430 | 10.2% | 6.9% |
米国債 | 3,321 | 399 | 1,727 | 52.0% | 35.2% |
政府機関債 | 5,874 | 705 | 984 | 16.8% | 7.3% |
社 債 | 9,893 | 1,187 | 2,021 | 20.4% | 12.3% |
合 計 | 42,838 | 5,141 | 7,162 | 16.7% | 9.7% |
米国債の海外保有率は、2000年では、まだ35%だったのが、2006年には過半数を超える52%となり、米国債は、海外の資金を当てにして、発行が続いているのである。
他の証券区分も、海外保有率は拡大しており、株式も、政府機関債も、企業社債も、全ての証券(お金集め)が海外保有を当てにしていると言えます。
では、この当てにされている海外諸国はどこか。
同じく、2006年6月の保有国・地域別の数字を紹介します。
日本の米国証券保有額は、1兆1,060億ドル(約133兆円)。
中国6,990臆ドル、英国6,400臆ドル、ルクセンブルグ5,490臆ドル、ケイマン諸島4,850臆ドル、カナダ3,820臆ドル、ベルギー3.331億ドル、オランダ2,800億ドル、スイス2,620臆ドル、中東産油国2,430臆ドル。
上記のうち、英国、ケイマン諸島、ベルギー、オランダ、スイスは、国際的な資金のターンテーブル(資金が集まり、出て行く)であり、その資金のかなりが、日本、中国、中東産油国、(加えて、アジア諸国、ロシア)から出て行っている可能性がある。
対米証券投資において、日本・中国とその他の諸国で投資内容に大きな違いがある。その他諸国として、英国、ケイマン諸島、中東産油国を見てみます。
国別の対米証券投資の特徴(単位:10億ドル)
国・地域 | 株 式 | 米国債 | 政府機関債 | 社 債 | 短期証券 |
日 本 | 195 | 535 | 184 | 108 | 85 |
中 国 | 4 | 364 | 255 | 59 | 17 |
英 国 | 300 | 47 | 28 | 249 | 16 |
ケイマン諸島 | 178 | 19 | 38 | 220 | 31 |
中東産油国 | 111 | 64 | 14 | 13 | 41 |
日本と中国が、米国債(財務省証券)、政府機関債を大量に保有しているのに対して、英国、ケイマン諸島、中東産油国は、株式や社債という民間証券を保有している。
ベネルクス3カ国(ルクセンブルグ、ベルギー、オランダ)、スイスも民間証券の保有が主体です。
米国の資金調達は、本来は自国民が負うべき公的債務(米国債、政府機関債)を、日本や中国(加えて他のアジア諸国)に押し付けている。
そして、米英、ケイマン諸島、欧州金融拠点国(ベネルクス3カ国とスイス)にある、欧米金融機関が、株式市場や社債(ジャンク債も含む)市場で、マネーゲームを行なっている様子が数字で現れています。
(国際金融勢力は、このマネーゲームから運用利益という暴利を得ている!)
米国政府と国際金融勢力が、一番脅威を感じるのは、日本と中国が連携して、この構造に異議が出ること。
だから、常に、分断策が講じられる。
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コメント3件
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通行人 | 2007.07.27 22:14
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ロシアウオッチには、佐藤優氏と鈴木宗男氏は外せませんね。