2007-06-29

国際金融勢力は、何故、日本と中国を分断する必要があるのか

国際金融のグローバル化という名の元に、巨額の資金が米国に流入している。

米国財務省から毎月、対米証券投資の数字が発表される。

米国以外からの対米証券投資は、毎月500億ドル〜800億ドル(6兆円〜10兆円)の買い越しである。 買い越しということは、米国への資金流入です。

  月別対米証券投資の推移(単位:10臆ドル)
  security_purchases.gif

大起産業さんの米国経済指標レポート>対米証券投資から利用させてもらいました。
リンク

例えば、2007年4月の対米証券投資では、全体で841臆ドル(約10兆円)の買い越し。3月は512億ドル(約6兆円)、2月は581億ドル(約7兆円)。
2006年5月からの1年間を見ると、約7600億ドル(約92兆円)の資金が、買い越しの形で、米国に流入している。

投資先としては、米国内の企業株式、米国財務省証券(米国債)、米国政府機関の債権、民間企業の社債が区分されている。

投資先を2月〜4月の3ヶ月の平均で見ると、米国債が175億ドル(約2.1兆円)、政府機関債178臆ドル(約2.1兆円)、株式186臆ドル(約2.2兆円)、社債が268臆ドル(約3.2兆円)の買い越しであった。

では、海外諸国が、どれくらい、米国証券を購入し、保有しているのかを米国財務省の資料からみてみます。

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まずは、発行証券の総額と海外の保有額、海外保有率です。

 海外の米国証券保有(2006年6月末、単位:10億ドル)

証券区分  発行総額  同(兆円) 海外保有額 海外保有率 2000年の海外保有率
株 式  23,750  2,850  2,430  10.2%     6.9%
米国債   3,321    399  1,727  52.0%    35.2%
政府機関債   5,874    705    984  16.8%     7.3%
社 債   9,893  1,187  2,021  20.4%    12.3%
合  計  42,838  5,141  7,162  16.7%     9.7%

米国債の海外保有率は、2000年では、まだ35%だったのが、2006年には過半数を超える52%となり、米国債は、海外の資金を当てにして、発行が続いているのである。

他の証券区分も、海外保有率は拡大しており、株式も、政府機関債も、企業社債も、全ての証券(お金集め)が海外保有を当てにしていると言えます。

では、この当てにされている海外諸国はどこか。

同じく、2006年6月の保有国・地域別の数字を紹介します。

日本の米国証券保有額は、1兆1,060億ドル(約133兆円)。

中国6,990臆ドル、英国6,400臆ドル、ルクセンブルグ5,490臆ドル、ケイマン諸島4,850臆ドル、カナダ3,820臆ドル、ベルギー3.331億ドル、オランダ2,800億ドル、スイス2,620臆ドル、中東産油国2,430臆ドル。

上記のうち、英国、ケイマン諸島、ベルギー、オランダ、スイスは、国際的な資金のターンテーブル(資金が集まり、出て行く)であり、その資金のかなりが、日本、中国、中東産油国、(加えて、アジア諸国、ロシア)から出て行っている可能性がある。

対米証券投資において、日本・中国とその他の諸国で投資内容に大きな違いがある。その他諸国として、英国、ケイマン諸島、中東産油国を見てみます。

 国別の対米証券投資の特徴(単位:10億ドル)

国・地域 株 式  米国債  政府機関債 社 債 短期証券
日 本   195   535    184   108    85
中 国     4   364    255    59    17
英 国   300    47     28   249    16
ケイマン諸島   178    19     38   220    31
中東産油国   111    64     14    13    41

日本と中国が、米国債(財務省証券)、政府機関債を大量に保有しているのに対して、英国、ケイマン諸島、中東産油国は、株式や社債という民間証券を保有している。

ベネルクス3カ国(ルクセンブルグ、ベルギー、オランダ)、スイスも民間証券の保有が主体です。

米国の資金調達は、本来は自国民が負うべき公的債務(米国債、政府機関債)を、日本や中国(加えて他のアジア諸国)に押し付けている。
そして、米英、ケイマン諸島、欧州金融拠点国(ベネルクス3カ国とスイス)にある、欧米金融機関が、株式市場や社債(ジャンク債も含む)市場で、マネーゲームを行なっている様子が数字で現れています。

(国際金融勢力は、このマネーゲームから運用利益という暴利を得ている!)


米国政府と国際金融勢力が、一番脅威を感じるのは、日本と中国が連携して、この構造に異議が出ること。

だから、常に、分断策が講じられる。

List    投稿者 leonrosa | 2007-06-29 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨3 Comments » 

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コメント3件

 通行人 | 2007.07.27 22:14

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ロシアウオッチには、佐藤優氏と鈴木宗男氏は外せませんね。

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