プーチンと金貸しとの戦い(3) 歴史的考察② アメリカ南北戦争
引き続き、参考図書として、「世界を操る支配者の正体」(馬渕睦夫著、講談社)より、歴史の紹介部分を引用します。話がロシアから飛びますが、金貸しはアメリカ支配も策謀し、後の米ソ冷戦の対立構造を作って行きます。金貸しのアメリカ支配の原点は、アメリカ南北戦争にまで遡るようです。
●国際金融勢力対ロシアの200年戦争
2. アメリカ南北戦争
○リンカーンに高利子を要求
>私たちは南北戦争は奴隷解放をめぐる北部と南部の戦いだと教えられてきました。しかし、これは正しくありません。北部のリンカーン大統領は連邦制維持のためには奴隷制度を認めてもよいと考えていたのです。>戦争の原因は北部と南部の経済状況の差にありました。(中略)北部の工業化が進むと北部は南部に高価格の北部製工業製品を強制的に買わせようとしたため、北部と南部に経済的利害をめぐり深刻な軋轢が生じていたのです。
>ここにイギリスがつけこみます。イギリスは南部からの綿花輸入を禁止するとともに、不満を持った南部に対し、連邦から離脱して独立国となるよう扇動工作を開始しました。
>イギリスの金融資本家にすれば、経済的にも金融的にも強力なアメリカ合衆国が一つにまとまっている限り、アメリカは彼らの金融力をもって世界を支配しようとの野望の障害になると考えたのです。この時代のアメリカには、彼らの金融支配の手段であるアメリカの中央銀行がジャクソン大統領の拒否権によって期限切れとなって、存在していませんでした。>1861年に大統領に就任したエイブラハム・リンカーン(1809年~1865年)の下で南北戦争がはじまりました。(中略)リンカーンは戦費の調達に苦労するのですが、ロスチャイルド家は36パーセントもの貸付金利を要求しました。リンカーン大統領はこの申し出を断り、連邦政府自らがアメリカ国家の信用のみに基づく紙幣を発給することにしたのです。
>この法定通貨発給は実に画期的なことでした。つまり、銀行が発給する通貨と違って債務を負わずに発給された紙幣であったからです。(中略)ロンドン・タイムズは、この法定通貨が債務を負わずに発給されている点に噛みつきました。債務を負わずに紙幣が発給されると政府の負債は完済されてしまう。そうなれば、世界の富と頭脳は北アメリカに向かってしまう。こんな政府は破壊しなくてはならない。さもなければ、地球上のすべての君主国が破壊されてしまうことになるだろうと。それから3年後、リンカーンはロンドン・タイムズの予言通り暗殺されました。
○アレクサンドル二世もロスチャイルドから恨まれる
>リンカーン大統領がイギリスとフランスによる南部支援への対応に苦慮しているとき、リンカーンに援助の手を差し伸べたのはロシアのアレクサンドル二世(1818年~1881年)でした。>アレクサンドル二世はリンカーンと同じく、民間の中央銀行設立には応じず、国立の中央銀行を設立しました(1860年)。(中略)政府の部局である中央銀行がロスチャイルド家の策謀する民間の中央銀行とは真逆の存在であったことは、ロシアに対する国際金融勢力の反発を増長させました。
>アレクサンドル二世は、1866年以降数回にわたり暗殺未遂事件を経験していましたが、1881年首都サンクトペテルブルクで、ついに社会主義革命をめざす人民主義者(ナロードニキ)に暗殺されました。彼らナロードニキがロスチャイルド家などの国際金融資本家の支援を受けていたことは想像に難くありません。>この頃、ロシアにおけるユダヤ人迫害が顕著になっていました。(中略)ユダヤ人たちの対応は社会主義革命によって皇帝政府を転覆する以外にないとの方向に向かっていったのです。(中略)ユダヤ人に対する迫害を阻止するためにはロマノフ王朝そのものを打倒しなければならないとする急進的革命思想であり、ユダヤ人たちが自民族の開放に大挙して社会主義革命運動に邁進するようになったのです。
<「世界を操る支配者の正体」元駐ウクライナ大使:馬渕睦夫著、講談社より引用>
歴史の教科書には書かれていませんが、ロシアとアメリカは、その成り立ちからして、どちらも金貸しに支配された国家です。ロシアのアレクサンドル二世は、アメリカの南北戦争でリンカーンの北軍を支援していましたが、2人とも金貸しの中央銀行に反対したため、暗殺されています。
どちらも金貸しに支配された国家でありながら、その後ロシアはロシア革命によって社会主義国家となり、自由主義国家のアメリカと対立するように仕掛けられて行きます。次回は、いかにしてロシア革命が起こったかを見て行きます。
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