2011-03-01

止まらない円高=世界通貨戦争どうなる?12〜世界通貨戦争の行方は?【前編】〜

こんにちは
 
数回前のシリーズで世界通貨戦争の構造について追求した:D  

ここまで整理して、改めて今言われる「国際通貨戦争」を捉え直してみたい。
もとはと言えば、リーマンショック後の国内経済建て直しのため、アメリカの金融緩和→ドル安誘導に始まる。
アメリカから見れば、為替市場の力によって発展途上国を中心に一定の成果を上げているといえよう。しかし、その中でも最も解決すべき、貿易赤字の主たる要因になっている中国だけはそうはいかない。
つまり、国際通貨戦争の本質は、ドル元レートを巡るアメリカと中国との通貨戦争に求めることができる。
止まらない円高=世界通貨戦争どうなる?8〜世界通貨戦争の構造は?【前編】より

 

  
では、今後この世界通貨戦争の行方はどうなっていくのか?
今日は、原田武夫氏が、世界通貨戦争の勝者は一体誰かについて予見した著書『世界通貨戦争後の支配者たち』をサロンメンバーで読みながらポイントなる箇所を抜粋・紹介する。
 
ちなみに原田氏の著書『狙われた日華の金塊』を、当ブログの記事『ゴールドの真相に迫る18〜「狙われた日華の金塊」とは?』で詳しく紹介している よろしければご覧下さい
 
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■米国のシナリオ
 
米国は「デフレ⇒インフレ(金買い)⇒デフレ(金売り)」といった3段階のシナリオを描こうとしていると原田氏は読んでいるようだ。
 
まず現在のデフレの状況から、米国は政治(選挙)の季節に金価格を高騰させ、インフレ(ドル安)を引き起こす。
これは、オバマ政権が拠って立つ二つの柱の一つである労働組合らにとっては、輸出の増加、ひいては雇用の改善に繋がるためである。
そのため、彼ら大勢の票が正しく必要な「選挙」という局面が続く限り、オバマ政権はデフレ対策として行う金買いの「副作用」としての米ドル安を甘んじて受け続けることになる。
そして、「政治の季節」が過ぎると今度は、米ドル高へ誘導する為、金価格を下落させる。これは、米ドル安を続けているともうひとつの権力基盤であるウォール・ストリートの金融機関たちが大いに怒り始めるからだ。彼らは米ドル建てで資産をもっている。
だからこそ、その価値が米ドル安によって減ることは絶対に許せないのである。
 
 
■欧州のシナリオ 
 
米国のシナリオは上記にある。
一方で、欧州のシナリオは別にある。
 
欧州は、「BIS金スワップ」(中央銀行が一定以上金を売れないという取り決めをしたワシントン合意に対して、合意の参加者でないBISに金を預けることで、間接的に金売却が可能にする仕組み。)という離れ技を行うことで、米国の思うとおりの金価格操作が出来ないようにする。

>一方、欧州勢の中央銀行たちは、1999年のワシントン合意以降、「金(ゴールド)は大量には売らない」と表立って言ってきた。ワシントン合意に基づけば欧州勢は金を売れないことになるが、そこには大きな抜け道がある。国際決済銀行BISは「金を売らない」という拘束に縛られていない。つまり、金を売ろうとすればいつでも売ることができる。欧州勢はBISに金(ゴールド)を預け、それを担保に現金を大量に借り受けるという仕組みである。このBIS金スワップという「打ち出の小槌」は、2010年のギリシア・ショックの時にフル活用された可能性が高い。
借り手である欧州勢の中央銀行たちが借りた現金を返さない場合、貸し手である国際決済銀行は担保である金を売るに違いない。欧州勢の中央銀行たちが「確信犯」として「踏み倒す」ことを前提にこのBISスワップを、「ワシントン合意」に対する抜け道として使っているのだとすれば、欧州勢がこの仕組みを使って大量の金を売り始める可能性もある。
欧州勢は、このBIS金スワップという離れ業を使い、自らも「金融メルトダウンの被害者」を装いつつ、他方でアメリカ勢の生殺与奪を握ろうと画策している。

肝心のアメリカ勢についても果たして「デフレ対策(金買い)」から「インフレ対策(金売り)」へとすんなり進むことが出来るのかというと甚だ疑問だ。
ドル高を喜ぶ「ウォール・ストリート」とドル安を喜ぶ「労働組合」。この天秤の微妙なバランスの上に立っているのが、繰り返しになるがオバマ政権なのだ。いくら政治の季節(選挙)が済んだからと言って、直ちにドル高を事実上認め、あるいはドル高に転換する政策をとれないことも十二分ある。
そうなった場合、あげすぎた金価格が高止まりする一方で、米国債は売れず、それだけにアメリカ勢はいよいよデフォルトへと突き進む危険性が高まってくるに違いない。
 
 
■人民元が切り上がらない理由も、この米欧の対立構造にある 

>アメリカ勢は盛んに「人民元切り上げに伴うドル安誘導」を求めてきたものの、それからしばらくしたならば今度は逆の状況をアメリカ勢自身が創り出すかもしれなかったのである(金買いに伴うインフレ期待が高まりすぎ、金売り、と政策金利引き上げでこれを抑える一方、米国債・米ドルへの買い誘導が行われる可能性)。つまりアメリカ勢は舌の根の乾かない間に「ドル高」へと自ら走り始める可能性があったというわけなのである。
(中略)
また目を欧州勢に転ずれば、明らかにそこにはアメリカ勢とは全く違う「意思」があったことも忘れられない。BIS金スワップのスキームがフル回転し始めてからというものの、欧州勢はいつ大量の金(ゴールド)を売り始めるか分からなかったのである。そしてこの場合もドル高への転換が見込まれる以上、その前に「ドル安」のための「人民元切り上げ」を強行してしまうと全くの無意味になってしまう可能性がある。
(中略)
世間では「通貨戦争」が語られるが、その実、行われているのは、「金戦争(ゴールド・ウォー)」なのだ。
金(ゴールド)は高騰もするが、暴落もする。他方でアメリカ勢はドル安を誘導し、デフォルト(国家債務不履行)を選ぶと思いきや、ドル高に転換すらし得る。また、その間隙を縫って欧州勢はアメリカ勢より一歩先んじたポジションをとろうとし、金(ゴールド)を売り始めるかもしれない。<

アメリカ側は元高ドル安にもっていきたいという思惑があったが、もし欧州側が金を売ったなら元安ドル高になる。
思い悩んだ中国はのらりくらりと様子をみる戦略をとった、と著者は見ている
 
  
■アメリカのデフォルト可能性〜おびき出される金塊? 
オバマ勢はデフォルトすることによって日華の金塊を奪取する狙いをもっていると著者は述べている。

オバマ大統領率いるアメリカ勢にはデフォルトになるための十分な理由がある。なぜなら、そうすることにより日本勢にとっては引当金としての「日華の金塊」がいよいよその姿を現す可能性が出てくるからだ。

日華の金塊については当ブログ記事『ゴールドの真相に迫る18〜「狙われた日華の金塊」とは?』にて詳しく紹介している
 
 
■余裕なきオバマのルール変更 
 
またアメリカは、金融システムを使わずして、大胆にルールを変更するカードも持っている。

「地政学リスクが炸裂した」という名目で戦争を起こすのだ。しかも、アメリカ勢自身と深く関わっていつつ、地理的には遠い地域において。この時、考えられるターゲットが一つある。「イスラエル勢を中心とした中東勢だ」
(中略)
つまり「戦争」を起こすも、終わらずも、腕力をもってすればアメリカ勢の好きなままに出来るということなのである

もっとも、「大量破壊兵器」の存在をでっちあげて、イラク戦争が行われたことが決定的だったように、アメリカ発の戦争戦略に、世界を巻き込むことは至難の業になるだろう。
しかし、腕力で世界屈指の実力を誇るアメリカであるからこそ、戦争カードが彼らの武器になっている点は言うまでもない。
  
 

  
この続きは止まらない円高=世界通貨戦争どうなる?12〜世界通貨戦争の行方は?【後半】〜へ

List    投稿者 akika | 2011-03-01 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨4 Comments » 

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